主要成果
GoogleのTPU v9ラインナップにおいて、MediaTekが設計を担当する「HumuFish」および「TriggerFish」がIntelのEMIB-Tを採用することが確認されました。特にHumuFishについては、基板の歩留まり低下によるTSMCのCoWoS-Lへの切り替えの可能性が取り沙汰されていましたが、現状では「100%」EMIB-Tにコミットしている状況です。
技術・詳細
EMIB-Tの基板製造において、歩留まりを押し下げている主な要因として以下の2つの技術的課題が挙げられています。
- 熱膨張係数の差:ABF基板と埋め込みシリコンブリッジの間で熱膨張の差があるため、高温処理時の精密なアライメント(位置合わせ)が困難であること。
- 気泡の混入:ブリッジのTSV(シリコン貫通電極)下に適用されるNCF(非導電性フィルム)において、ボンディング中に気泡が閉じ込められ、密着性が弱まる可能性があること。
これらの影響により、2026年第3四半期のEMIB-T基板歩留まりは約35%となり、年末目標の50%に届いていません。これに対し、Intelは基板の電気メッキ工程を調整し、Ibiden、Unimicron、Shinkoなどのサプライヤーが歩留まり改善に取り組んでいます。
背景・業界の文脈
GoogleのTPU v9は3つのバリエーションで構成されており、設計とパッケージングの組み合わせが分かれています。
- WhaleFish(Broadcom設計):TSMCのCoWoS-Lを採用し、2027年後半に量産予定。
- HumuFish(MediaTek設計):IntelのEMIB-Tを採用し、2028年上半期に量産予定。
- TriggerFish(MediaTek設計):IntelのEMIB-Tを採用し、2028年後半以降に量産予定。
特にTriggerFishは、HumuFishに比べてSRAM容量を2〜3倍に増やし、シミュレーションダイを追加したほか、メモリをHBM4からHBM4Eへ移行させることで、CPUおよびメモリのボトルネックを解消するアップグレード版として位置づけられています。
今後の展望
HumuFishのスケジュールには不透明感が出ています。TSMCのN2プロセスで製造されるCompute Die Aのテープアウトが10月後半にずれ込んだほか、設計変更によりMediaTekが関わるプロジェクトのテープアウトが2027年1月まで延期され、出荷が2028年第1四半期まで遅れる可能性が指摘されています。量産目標である2028年上半期までには時間的猶予があるものの、テープアウトの遅延はEMIB-Tの歩留まり改善に充てられる期間を圧縮することになります。基板歩留まりの回復速度と設計マイルストーンの遵守が、今後の量産スケジュールの鍵となります。
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