主要成果:面積利用率の劇的な向上
先端パッケージングをウェハからパネルへ移行させる最大のメリットは、経済性と面積利用効率の向上にある。AIやHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)向けのパッケージは大型化し、形状も矩形(長方形)になる傾向がある。円形の300mmウェハでは、外周部分に利用不可能な領域が多く発生するが、矩形のパネルを用いることでこの無駄を排除できる。
具体的な数値として、Intel Foundryが510×515mmのパネルを用いた検証では、約4倍のレティクルサイズを持つパッケージにおいて、300mmウェハでは約10ユニットだったところ、パネルでは約48ユニットまで生産量が増加することが示された。また、300mmウェハで搭載可能な最大正方形サイズは約210×210mmという物理的な限界があるが、パネルはこの制約を解消できる。
技術的詳細:プロセス上の課題と変更点
一方で、数十年にわたり円形ウェハ向けに最適化されてきた製造インフラの転換が大きな課題となっている。具体的には以下のプロセス変更が必要となる。
- 塗布プロセス: 放射対称性を前提とするスピンコーティングは、矩形基板では四隅の膜厚が不均一になり、材料廃棄量も増える。そのため、600mmパネルフローではスリットまたはスロットダイコーティングによる塗布(有効面積 約586×586mm)が採用される。
- リソグラフィ: 従来のウェハステッパーに代わり、マスクレスのダイレクトイメージングが多くのパネルフローで導入されている。
- プロセス制御: ウェハレベルでは片面処理が主であったが、パネルでは両面処理となる。また、大面積における温度管理やプロセスの均一性、Cpk(工程能力指数)の維持が困難となる。
さらに、ガラスパネル上の微細配線(RDL)では、ライン&スペースが5µmから2µm以下へと微細化しており、後工程に近いパッケージングプロセスに、前工程に近い高精度な制御が求められている。
背景と業界の戦略的アプローチ
製造インフラがパネルスケールに完全に対応していないため、リスクを抑えた段階的な移行戦略が検討されている。ASEのTeck Chong Lee氏は、600mmパネルでインターポーザを製造した後、アセンブリやC4プロセス(バンプ接続)の前にパネルを4分割して処理するアプローチを提案している。この手法は、フルサイズの600mmパネルをそのまま処理するよりもリスクを低減できる。
なお、面積効率の比較では、5.5倍レティクルサイズのインターポーザを製造する場合、300mmウェハでは9ユニット、300mmパネルでは16ユニット、600mmパネルを4分割した場合は64ユニット、そして600mmパネルをそのまま処理した場合は72ユニットとなる。フルサイズパネルはウェハの約8倍のユニット数を生産可能であり、単純な面積差(約5倍)以上の効率を実現する。
今後の展望
パネルレベルパッケージングは、単にウェハフローをスケールアップさせることではなく、新たな製造プロセスの構築に近い。フロントエンドの設備は300mmウェハを前提としており、従来の基板設備は許容誤差や機能サイズが異なるため、パネルレベルパッケージングはその中間に位置する新しい領域を切り拓くことになる。AIの進化に伴い超大型システムへの需要が高まる中、パネルへの移行は不可避な選択肢となっている。
元記事: https://semiengineering.com/what-breaks-when-packaging-moves-from-wafer-to-panel/
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