主要成果
Reach Power(以下、Reach)は、ワイヤレス・パワー・ビーミング技術を活用し、クアッドコプターによる10時間の自律飛行実証実験を完了した。この成果により、テスト構成におけるバッテリー単独の飛行時間である約90秒に対し、飛行持続時間を約400倍にまで延長させた。本実証は、2026年9月22日にバージニア工科大学先端コンピューティング研究所にて、オペレーショナル・エナジー・イノベーション(OE-I)の「2026 Energy Sentry」イベントの一環として実施され、米国防総省(ペンタゴン)の参加者にライブ配信された。
技術・詳細
今回の実証で特筆すべきは、GPSや外部の飛行追跡センサー、物理的な有線テザー、および手動制御を一切使用せず、完全自律的な運用を実現した点にある。システムは以下の技術的要素で構成されている。
- 自律的エネルギー管理:機内プロセッサがリアルタイムで充電状態を監視し、満充電になると給電リンクを解除して範囲外へ移動する。また、あらかじめ設定された閾値に達すると、自律的に給電位置へ帰還し電力を要求する。
- 動的なRFビームステアリング:送信機側は機械的な駆動を伴わず、ソフトウェア定義のエレクトロニクスによってエネルギービームを受信機へ向けて照射する。
- エッジAIによるナビゲーション:機上ビジュアルナビゲーションとエッジAI処理により、外部依存なしに任務を遂行し、送信機とのマシン・ツー・マシン(M2M)通信で給電サイクルを完結させる。
なお、使用された機体はModalAI社が米国で製造したシステムであり、米国防権限法(NDAA)に準拠した部品が採用されている。
背景・業界の文脈
小型無人航空機システム(sUAS)にとって、バッテリー寿命は自律運用の規模拡大における最大の障壁となっている。通常、バッテリー交換や再充電が必要になるまでの飛行時間は30〜40分程度に制限されており、継続的な情報収集・警戒監視・偵察(ISR)や通信中継などのミッションクリティカルな機能の遂行に制約があった。Reachの技術は、稼働中のプラットフォームに直接エネルギーを届けることで、充電インフラやバッテリー交換作業、およびそれを維持するための人員コストを削減することを目的としている。
今後の展望
本プロジェクトは、米国防総省の作戦エネルギー能力向上基金(OECIF)を通じて資金提供を受けており、実戦配備に向けた開発が進められている。また、この無線給電技術は防衛分野にとどまらず、産業用ロボティクス、インフラ点検、公安など、バッテリー制約が生産性を制限している幅広い市場への適用が可能とされる。人の手を介さない長時間のデバイス動作を実現することで、自律化技術を普及させるための不可欠なインフラ基盤となることが期待されている。
元記事: https://drone.jp/news/20261030150149130275.html
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