主要成果
ウクライナ軍の第92独立強襲旅団に所属する49歳の兵士Kostiantyn氏が、ドローンによって戦闘地域から救出されました。これは世界で初めて、ドローンを用いて負傷者を空中搬送した事例となります。激しい砲撃が続く「グレーゾーン」に孤立し、重い脚部の負傷を負っていた同氏を、特別に改修されたヘキサコプター「Ayudag-6」が吊り上げ、安全圏まで搬送することに成功しました。救出された兵士はその後、ハルキウ軍病院へ搬送され、容体は安定していると報告されています。
技術・詳細
今回の作戦に投入されたのは、ウクライナのドローンメーカーGurzuf Defence社が開発した「Ayudag-6」です。本来は重量物の物流や重量弾薬の配送を目的としたモジュール式ヘキサコプターであり、機体重量は98 kg (216 lb)、最大で130 kg (287 lb) の吊り上げ能力を備えています。今回の任務にあたり、第10軍団と第92旅団が同社と協力し、以下のような大幅な仕様変更を加えました。
- 通信・ナビゲーション:ジャミング(電波妨害)対策機能を備えたStarlink通信システムを搭載。
- 搬送メカニズム:物資の搬出および負傷兵の搬送を可能にするモジュール式ハーネスと、電動カーゴウィンチを装備。
- 視認性向上:夜視装置および熱線映像(サーマルイメージング)機能を実装。
- 飛行安定性:搬送中の患者が過度に揺さぶられるのを防ぐため、機体フレームをアップグレードし、飛行時の安定性を向上。
実際の運用では、第92旅団の無人システムユニットのオペレーターが操縦し、まずハーネスを負傷兵に届けました。兵士は仲間の兵士からの指示に従って自身を固定し、その後、紛争地域を横断して安全な場所まで吊り上げられました。
背景・業界の文脈
空中での医療後送(medevac)の歴史は古く、第一次世界大戦中のフランス空軍によるDorand AR.1複葉機の改造機を用いた小規模な搬送にまで遡ります。その後、第二次世界大戦では欧州および太平洋戦域で数万人の負傷者が航空機で搬送され、1944年には米陸軍航空軍がビルマで初のヘリコプターによる搬送を実施しました。現代の軍事医療後送は、集中治療設備や専門のトラウマチームを搭載したヘリコプターを用いることが一般的となっています。
今後の展望
今回の事例は、従来の地上搬送やヘリコプターによる救出が不可能な状況下での有効性を証明しました。具体的には、地上ルートが地雷で封鎖され、かつ激しい敵軍の射撃にさらされているため、装甲車や標準的なヘリコプターの投入が不可能と判断されたケースです。救出までの数日間、ドローンを用いて食料、水、医療品を直接届けて生存を維持させた後、最終的に機体そのもので搬送するというプロセスは、今後の戦地における救出作戦に新たなパラダイムを提示するものと考えられます。
元記事: https://newatlas.com/military/ukrainian-hexacopter-drone-world-first-aerial-medevac/
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