主要成果
ドイツのドローンメーカーであるQuantum Systems社は、バッテリー駆動の実験用航空機「Apex Recordhunter」が、速度記録への挑戦において時速483マイル(777km/h)、秒速200メートル以上の速度に達したことを発表した。この結果は、同社が本年6月に直線・水平飛行で記録した時速434マイル(699km/h)を上回る数値である。なお、公式な記録として認定されるには、風の影響を相殺するための復路飛行を完了させる必要があるため、現時点では未確定の数値となっている。
技術・詳細
Apex Recordhunterは、同社の実験チーム「N3XT」が約1年をかけて開発した技術実証機である。実運用機ではなく、推進システム、エネルギー管理、および高速飛行性能をテストするためのプラットフォームとして機能する。具体的なバッテリーパック、モーター、推進システムの仕様は公開されていないが、6月のテストで使用されたバッテリーセルはポルシェの子会社が開発した特製のものであるという。
時速483マイルという極限の速度域では、エネルギー管理が極めて重要なエンジニアリング課題となる。機体が高速での安定飛行を維持しつつ、十分な出力を供給し続けなければならないためだ。同社はエネルギー消費量やバッテリー容量、飛行時間などの詳細な測定値は公表していないが、今回の飛行を通じてバッテリー駆動の推進システムにおける性能と限界に関するデータを収集した。
背景・業界の文脈
この高速化技術の追求は、高速で移動する空中脅威に対抗する迎撃ドローンの開発という実用的な目的と密接に関連している。具体的に同社が挙げているのが、ロシアのジェット駆動ドローン「Geran」であり、これは時速311〜373マイル(500〜600km/h)に達すると報告されている。こうした高速機の出現により、より高速な迎撃システムの必要性が高まっている。
Quantum Systems社は、キエフを拠点とするWIY Drones社と合弁会社「Quantum WIY Industries」を設立し、迎撃ドローンの開発に取り組んでいる。すでにウクライナ国家警備隊向けに、迎撃ドローン「Strila」15,000機の受注を確保している。また、同社はウクライナ軍で広く利用されている偵察ドローン「Vector」でも知られており、本年、防衛技術活動への資金として12億ドルの資金調達ラウンドを完了している。
今後の展望
Apex Recordhunter自体は兵器ではなく、戦闘システムとハードウェアを共有していない。しかし、本プロジェクトで得られた電気推進やエネルギー管理に関する知見は、今後の迎撃機開発に直接的に反映される。次回の飛行試験では、今回の性能が公式な記録として認められるかどうかが決定される予定であり、得られたエンジニアリングデータは将来の航空機開発に適用される。
元記事: https://interestingengineering.com/innovation/electric-drone-hits-483-mph-in-record-attempt
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