主要成果
NVIDIAは、汎用ロボットの開発サイクルを高速化するため、リファレンス人型ロボット、データセット、ランタイム、およびロボット学習フレームワークを統合した「NVIDIA Isaac」プラットフォームの拡張を公開しました。これにより、開発者はデータの収集からトレーニング、そして実機へのデプロイメントまでをシームレスに移行できる統合パスを確保できます。ジェンスン・ファンCEOは、ロボティクスにおける「ChatGPTモーメント」が近づいているとし、物理AIを産業界に導入するためのフルスタックプラットフォームを提供すると述べています。
技術・詳細
今回の発表の中心となる「Agile ONE SN」は、Agile Robots社が開発したフルスタックのリファレンス人型ロボットです。本機はNVIDIA Isaac GR00TおよびエッジAIプラットフォーム「NVIDIA Jetson Thor」を搭載しており、以下の仕様を備えています。
- ハードウェア構成: 身長1.40メートル、重量40キログラム。31自由度を持ち、片腕あたり3キログラムのペイロードに対応。
- ハンド性能: 5本指の「WUJI Hand 2」を左右に装備し、それぞれ20自由度、1kHzの力制御と触覚センシングを実現。
- 演算能力: Jetson Thorにより、オンボードでの推論とリアルタイム制御に2,070 FP4テラフロップスの演算性能と128GBのユニファイドメモリを提供。
- センシング: 頭部と手首のカメラ、LiDAR、慣性計測装置(IMU)によるマルチモーダルセンシングを実装。
また、ソフトウェア面では、2,000以上のシミュレーション資産を含む「SimReady Central Library」や、多様な人間活動を収録した「Human 1M Dataset」をHugging Faceで公開しました。さらに、オープンソースの学習フレームワーク「Isaac Lab 3.0」や、決定論的なリアルタイム性能を実現するランタイム「Isaac OS」を提供し、物理エンジンのNewtonやPhysXを用いた効率的なポリシー学習を可能にしています。
背景・業界の文脈
汎用ロボットの開発において、シミュレーションと実機展開の乖離は大きな課題となっていました。NVIDIAはDGX Station向けに、ChatGPT Astra、Isaac、Cosmosを組み合わせた3つのオープンソース・リファレンスワークフローを公開し、合成データの生成や強化学習によるモデルの精緻化を加速させます。また、安全性の確保に向けて、NVIDIA IGX Thorベースの安全プラットフォーム「NVIDIA Halos」を導入し、Agile Robots、Agility、Dexory、FORT Robotics、KIONなどの企業が倉庫ロボットの安全性向上に活用しています。欧州ではABB RoboticsやKUKA、Universal Robotsなどの主要企業が、このオープンプラットフォームを基盤に自律ロボットシステムを構築しています。
今後の展望
リファレンスプラットフォームであるAgile ONE SNは、2027年初頭に提供される予定です。すでにスタンフォード大学やETH Zurichなどの主要研究機関が関心を示しており、人型ロボットが多様なスキルを学習し、人間向けに設計された環境で適応して動作する「スケール可能な有用性」の実現に向けた研究開発が進められます。
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