主要成果
TSMCは、先進パッケージング技術であるCoWoSにおいて、5.5倍レティクルサイズを用いた複数のAI顧客製品で98%を超える非常に高い歩留まりを安定的に達成していることを公表しました。これにより、CoWoSの生産能力は過去3年間で毎年倍増し、現在の需要レベルに極めて近づいています。しかし、半導体サプライチェーンにおけるボトルネックは高帯域幅メモリ(HBM)からABF(Ajinomoto Build-up Film)基板へと移行しており、これが今後のAIチップ拡張における主要な制約となる見込みです。
技術・臨床詳細
TSMCの先進パッケージング担当副社長であるHe Jun氏によると、同社のCoWoS技術は、特にAI関連の高性能チップにおいて卓越した生産効率を示しています。加えて、TSMCのSoIC(System-on-Integrated-Chips)技術も急速な成長期に入っており、既に6ミクロン(µm)のハイブリッドボンディングピッチでの量産を実現しています。この技術はさらに進化し、2029年までには4.5ミクロンへのピッチ縮小を目指しており、これによりより高密度な3D積層が可能となります。CoWoSの今後の拡張ロードマップでは、2029年までに14倍レティクルサイズへの対応が計画されており、さらなる大規模AIチップの統合が期待されます。
背景・業界文脈
AI需要の爆発的な増加は、高性能チップのパッケージング技術への要求を飛躍的に高めています。CoWoSのような2.5D/3Dパッケージング技術は、複数のダイ(論理、メモリなど)を高度に統合することで、データ転送速度の向上と消費電力の削減を実現します。しかし、この複雑なパッケージングには、特定の材料と製造装置が不可欠です。これまでHBMの供給がボトルネックとされてきましたが、その生産能力が着実に向上する一方で、ABF基板の供給が新たな懸念事項として浮上しています。ABFは、高性能パッケージ基板の絶縁材料として不可欠であり、AIプロセッサの処理能力向上に伴い、より大型で複雑な基板が必要とされています。
今後の展望
ABF基板の供給不足に対処するため、世界最大のABF供給企業である味の素は、2030年までに群馬工場を含む既存施設での生産能力を段階的に拡大する計画です。さらに、2030年以降の需要に対応するため、第3の工場建設も検討されており、長期的な供給安定化を目指しています。TSMCのSoIC技術の進化とCoWoSの拡張計画は、将来のAIおよびHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)チップの性能向上を支える基盤となりますが、サプライチェーン全体のバランス、特にABFのような重要材料の安定供給が、今後の半導体産業の成長を左右する重要な課題となります。
元記事: https://xenospectrum.com/en/tsmc-cowos-memory-abf-bottlenecks/
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