主要成果
欧州委員会(EC)は、切除可能な筋層浸潤性膀胱がん(MIBC)の成人患者を対象に、Pembrolizumab(Keytruda)とEnfortumab Vedotin(Padcev)の併用療法を、術前補助療法および根治的膀胱全摘術後の術後補助療法として承認した。この承認は、シスプラチン投与の適格性にかかわらず適用される。また、Pembrolizumabの皮下投与製剤であるPembrolizumabおよびberahyaluronidase alfa(Keytruda Qlex)についても同様に承認された。
技術・詳細
本決定の根拠となったのは、オープンラベル、ランダム化第3相試験「KEYNOTE-B15/EV-304」の結果である。シスプラチン適格患者において、本併用療法を術前補助療法として投与し、その後手術を行う群と、術前補助療法としてGemcitabine(Gemzar)とCisplatin(Platinol)を投与し手術を行う群を比較した。ランダム化からデータカットオフまでの期間中央値33.6ヶ月において、推定2年イベントフリー生存率(EFS)は併用療法群が79.4%であり、化学療法群の66.2%を上回った(ハザード比 0.53; 95% CI, 0.41-0.70; P < .0001)。
その他の主要な評価項目では、推定2年全生存率(OS)が併用療法群で86.9%(化学療法群は81.3%; ハザード比 0.65; 95% CI, 0.48-0.89; P = .006)、病理学的完全奏効(pCR)率が併用療法群で55.8%(化学療法群は32.5%; P < .001)であった。安全性に関しては、グレード3以上の有害事象(AE)の発現率は併用療法群で75.7%、化学療法群で67.2%であった。併用療法群で頻見された有害反応(20%以上)には、発疹(63%)、疲労(48%)、皮膚瘙痒症(46%)、末梢神経障害(43%)などが含まれる。
背景・業界の文脈
MIBCにおいてシスプラチンベースの化学療法は標準的な治療アプローチであったが、再発が大きな課題となっていた。本試験の主要研究者であるAlfonso Gómez de Liaño医師は、今回の承認がEUにおけるMIBC患者にとって意味のある前進であり、シスプラチンの適格性に左右されない化学療法フリーの周術期治療オプションを拡大させると述べている。なお、米国FDAにおいても2026年7月に、シスプラチン適格性の有無にかかわらず、本併用療法を術前および術後療法として承認しており、以前のシスプラチン不適格患者に限定されていた適応が拡大されている。
今後の展望
本試験では、808名の成人患者を対象に、主に尿路上皮組織学であり、臨床的にT2-T4aN0M0またはT1-T4aN1M0の疾患を持つ患者が組み入れられた。併用療法群では、術前にPembrolizumab(200 mg)とEnfortumab Vedotin(1.25 mg/kg)を4サイクル投与し、手術後にEnfortumab Vedotinを5サイクル、Pembrolizumabを13サイクル投与するレジメンが採用された。化学療法を用いないこの新しい治療戦略が、今後のMIBC治療の標準的な選択肢としてどのように浸透していくかが注目される。
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