主要成果
Odyssey-3の最大の特徴は、極めて少ないデータ量で実世界に適用可能な制御ポリシーを構築できる点にある。具体的には、実道路や実センサーを一切使用せず、生成された約20時間のシミュレーション動画のみで学習させた自動運転ポリシーが、先週インドの実際の路上で走行した。このデータ効率の高さは、高精度な合成トレーニング環境が実走行データの代替となり得ることを示唆している。
技術・詳細
Odyssey-3は「自己回帰ディフュージョン・トランスフォーマー(autoregressive diffusion transformer)」アーキテクチャを採用している。これは、言語モデルのように過去のフレームから次を予測する因果的時間予測と、反復的なデノイジングによる空間生成を組み合わせたものである。また、推論速度を向上させるため「敵対的蒸留(adversarial distillation)」を用いて生徒モデルを訓練しており、ベース層では832×480ピクセルで16fps、Pro層では1,280×720ピクセルの出力を実現している。
本モデルは単一タスク用ではなく、事前学習済みの重みが異なる制御インターフェースや形態に汎用化される基盤モデルとして設計されている。これにより、以下の多様なドメインでの適用が実証された。
- ヒューマノイド:Flexion社と共同開発した制御ポリシーにおいて、学習データにない照明変化などの環境変化への適応力が向上した。
- ロボットアーム:数十時間のデモンストレーション学習により、未学習のリカバリー動作(掴み損ねへの対応など)を完遂した。
- ドローン:屋内障害物回避のナビゲーションポリシーをシミュレーションで学習し、物理環境で評価した。
- AIエージェント:インタラクティブな環境を生成し、エージェントの訓練とモデルの精度向上を同時に行うフィードバックループを構築した。
- ゲーム:Grand Theft Auto Vをプレイ可能であり、追加学習なしでRed Dead Redemption 2やSleeping Dogsへの行動転移を示した。
性能評価
物理実験の継続性を測定する「Physics-IQ Verified」ベンチマークのvideo-to-videoトラックにおいて、8つの候補から最良を選択するプロトコルで66.1という最高スコアを記録した。また、image-to-videoトラックでは54.7(同様にbest-of-eight)を記録している。さらに、制御追従や視覚品質などを測定するWorldMarkにおいても、4つの分割項目のうち3つでリードしているとしている。
今後の展望
Odyssey-3のリリースは、合成トレーニング環境と実ロボット展開の間にある「sim-to-realギャップ」を埋める重要なマイルストーンとなる。2026年10月8日に公開された本モデルは、現在experience.odyssey.systemsにてAPIキー不要のリサーチプレビューが提供されており、物理AI開発におけるデータ収集のコスト構造を根本的に変える可能性がある。
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