主要成果
Quantinuumは、量子コンピュータにおいて100万回の信頼性の高い操作を実行できる「megaquop」と呼ばれる領域への到達に向けた大きな前進を達成した。同社が開発した量子コンピュータ「Helios」を用いた実験において、100万回の操作に対しエラーがわずか約5回という極めて低いエラー率を記録したことが、2026年10月19日に同社ウェブサイトおよびarXiv.orgで公開された論文で報告された。
技術・詳細
Heliosは、チップ上に浮遊させた電気的に帯電した原子(イオン)を量子ビット(qubit)として利用する方式を採用しており、計98個の量子ビットを備えている。量子ビットは非常に繊細であり、意図せず状態が反転して計算ミスを誘発する性質があるため、本研究では「量子エラー訂正」技術を導入した。
量子エラー訂正とは、複数のエラーが発生しやすい物理量子ビットを組み合わせて、一つの「論理量子ビット(logical qubit)」を構成することで、ミスが起きにくい高精度なユニットを作る手法である。論理量子ビットの規模を拡大(例:物理量子ビット数を7から19へ増加)させるたびに、エラー率が減少する割合を示す指標が「lambda(ラムダ)」である。Googleが2024年にNatureで報告したエラー訂正のデモンストレーションではlambdaは約2であり、規模拡大ごとにエラーが半分に減少していた。対してQuantinuumのシステムではlambdaが約10に達しており、論理量子ビットを大きくすることでエラー率が急速に低下することが確認された。具体的に37個の物理量子ビットで構成された論理量子ビットでは、100万回の操作でエラーが5回という、megaquop体制に迫る精度を実現した。
背景・業界の文脈
量子計算において、物理的な量子ビットの不安定さを克服し、信頼性の高い計算を大量に実行できる体制を構築することは最大の課題の一つである。今回の成果で示された高いlambda値は、目標とするエラー率を達成するために必要な物理量子ビットの数を大幅に削減できることを意味する。デューク大学の量子エンジニアでありLogiqalの科学顧問を務めるケン・ブラウン氏は、この物理量子ビット数の削減は非常に大きなメリットであると指摘している。
今後の展望
今回の実験は単一の論理量子ビットを用いたものであるが、実際にmegaquop体制を実現するためには、50から100程度の論理量子ビットが必要になると考えられている。Quantinuumのデビッド・ヘイズ氏は、今回の統計結果はmegaquopマシンの優れた構成要素になり得ると述べており、今後はシステムのスケールアップが不可欠となる。
元記事: https://sciencenews.org/article/quantum-computer-megaquops-error-correction
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