主要成果
材料メーカーのProterialとエンジニアリングサービスのFEVは、シミュレーションを通じて、アモルファス合金コア材料と重希土類(HRE)フリーのネオジウム焼結磁石を組み合わせたEV駆動モータのコンセプトを評価しました。その結果、ピーク出力が従来の230 kWから300 kWへと向上し、モータ重量を27%削減できる可能性が明らかになりました。また、走行サイクルにおけるモータ効率についても、WLTP Class 3サイクルで95.5%から97.9%へ、ARTEMIS MW 150ドライブサイクルで95.3%から97.4%へと上昇することが示されています。
技術・詳細
本コンセプトでは、溶融合金を急冷することで結晶構造を持たない金属である「アモルファス合金」をコア材料に採用しています。アモルファス合金は、一般的なモータコアに使用される電磁鋼板よりも鉄損が低いという特性があります。Proterialは、アモルファス合金リボンをモータコア用にパンチング加工することが可能にする、連続積層・接合プロセスを開発しました。
また、磁石にはテルビウムやジスプロシウムなどの重希土類を含まないネオジウム焼結磁石を使用しています。この磁石は、高い残留磁束密度と高い保磁力を両立させているのが特徴です。
FEVは、現代の乗用BEVを代表するシリコン鋼コア採用の230 kW駆動ユニットをリファレンスモデルとして構築し、電磁シミュレーションを用いてアモルファス合金の効果を検証しました。具体的な設計変更は以下の通りです。
- 最大モータ回転数:リファレンスの14,900 rpmから20,000 rpmへ引き上げ、アモルファス合金の低鉄損特性を最大限に活用。
- 減速比:10.8から14.4へ変更し、車両走行時の最大トルクと速度をリファレンスと同等に維持。
- 構成:極数を8極から12極へ変更。スロット数(72スロット)とステータ外径(200 mm)はリファレンスを維持し、有効長はリファレンスの77.1%に短縮。
背景・業界の文脈
EV駆動モータの製造において、テルビウムやジスプロシウムといった重希土類元素は、資源の制約や調達リスクという大きな課題を抱えています。これらの材料を排除しつつ、高性能な磁石を実現することは、サプライチェーンの安定化において極めて重要です。同時に、アモルファス合金による鉄損の低減は、EVの航続距離に直結するエネルギー効率の向上と、車両全体の軽量化に寄与します。
今後の展望
今回のシミュレーション結果は、材料レベルの革新(アモルファス合金および重希土類フリー磁石)と、それに最適化したモータ設計を組み合わせることで、出力向上と大幅な軽量化、そして高効率化を同時に達成できる可能性を示しています。
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