主要成果
欧州委員会は2024年9月、REACH規則の附属書XVIIを改正する規則(EU) 2024/2462を採択した。これにより、一般消費者向けの衣類、アクセサリー、およびすべての靴に使用されるテキスタイル、皮革、毛皮、皮におけるPFHxA(ペルフルオロヘキサン酸)、その塩、およびPFHxA関連物質の特定の濃度が禁止される。適用開始日は2026年10月10日である。
技術・詳細
本規制で設定された濃度制限値は、均質材料(homogeneous material)あたりで測定され、以下の通りである。
- PFHxAおよびその塩:25 ppb(parts per billion)以上を禁止
- PFHxA関連物質:1,000 ppb以上を禁止
ここで「PFHxA関連物質」とは、その分子構造に基づきPFHxAに分解される可能性が高い物質と定義されている。また、適用範囲は段階的に拡大し、2027年10月10日からは、一般消費者向け以外のすべてのテキスタイル、皮革、毛皮、皮にも同様の濃度制限が適用される。ただし、特定の個人用保護具(PPE)や建設用テキスタイルは除外されるほか、適用日より前に市場に出された製品には適用されないという移行規定が設けられている。
特筆すべきは、本規制が特定の試験方法を規定していない点である。PFHxA関連物質の検出手法は現在も進化し続けているため、企業は分析試験だけでなく、上流工程での化学物質管理やサプライヤーからの情報収集、適合性文書の確認を組み合わせた対応が求められる。
背景・業界の文脈
PFHxAは、撥水性、撥油性、防汚性を付与するためにアパレルやテキスタイル分野で広く使用されてきたPFAS(ペルフルおよびポリフルオロアルキル物質)の一種である。今回のEU全体での規制に加え、欧州各国ではより広範なPFAS規制が先行して導入されている。
- フランス:2026年1月1日より、消費者向け衣類・靴のPFAS含有を禁止。ターゲット分析によるPFAS(ポリマー除く)は25 ppb、合計PFASは250 ppb、ポリマーを含むPFASは50 ppmという制限値を設定している。
- デンマーク:2026年7月1日より、特定の消費者向け衣類、靴、防水製品において、全フッ素量(total fluorine)が50 mg F/kg以上の製品の輸入および販売を禁止。
今後の展望
本規制はEU規則であるため、加盟国による国内法への落とし込みを待たず、全加盟国に直接適用される。ただし、執行体制や違反に対する罰則は各加盟国が個別に設定するため、国によって運用が異なる可能性がある。企業は、管轄区域ごとに異なるPFAS化合物の範囲、濃度閾値、免除規定、試験アプローチを精査し、サプライチェーン全体の評価を行う必要がある。
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