PFAS規制の具体的内容と閾値
EUの包装および包装廃棄物規則(PPWR)に基づき、2026年8月12日から食品接触包装におけるPFASの濃度制限が適用されている。具体的には、以下の3つの濃度閾値が設定されており、いずれか一つでも超過した包装材はEU市場への投入が禁止される。
- ターゲット分析で測定される個別のPFAS:25 ppb(10億分の25)
- ターゲットPFASの合計(前駆体の分解を含む):250 ppb(10億分の250)
- ポリマーを含むPFAS:50 ppm(100万分の50)
この規制は食品への移行量ではなく、包装材自体の含有量を制限するものである。また、リサイクル材料を含む包装材であっても例外は認められない。さらに、2026年10月10日からは、紙および段ボールの食品接触材料におけるPFHxA、その塩および関連物質を対象としたREACH規制も適用されている。
サプライチェーンにおける検証の課題
製造現場では「意図的にPFASを添加していない」という宣言だけでは不十分である。2025年に発表されたスウェーデンの研究では、紙ベースの包装材60サンプルを調査したところ、47%から抽出可能な有機フッ素が検出された。これは意図しない混入によるものと考えられている。買い手側は、サプライヤーの宣言が最終製品、コーティング、あるいは上流の原材料のどこまでをカバーしているかを明確にし、処方や材料ソースの変更時に再評価を行う必要がある。
分析手法の限界と精度向上
分析における課題として、ターゲット分析では特定の化合物しか測定できず、すべてのPFASの不在を証明できない点が挙げられる。また、広範なフッ素測定ではPFAS以外の物質も検出されるリスクがある。2026年2月の研究(Nestlé Quality Assurance CenterおよびCentre Technique du Papier)では、水抽出法では無機フッ化物が完全に除去されず、有機フッ素量を過大評価する可能性があることが示された。これに対し、熱処理による前処理法の導入など、分析精度の向上が検討されている。
代替技術の現状と展望
フッ素化学物質に頼らない耐油紙の製造手法として、Ahlstrom社が提案する機械的な精製および緻密化による手法がある。これは繊維ネットワークを密に結合させることで、材料自体の構造によって耐油バリアを形成するアプローチである。また、UPM、BOBST、Siegwerkの3社は、水性インクと熱封止ラッカーを用いたコーティング紙および非コーティング紙の試験を実施し、既存のフレキソ印刷設備において良好な印刷品質と熱封止性を確認している。
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