主要成果
LIFE Programmeの支援を受けたプロジェクト「LIFE BIOBCOMPO」は、再生可能なセルロース繊維を利用した軽量バイオ複合材を開発し、実際の自動車部品への適用に成功した。この成果により、車両の軽量化を通じた燃料消費量の削減とCO2排出量の抑制が可能となる。すでに実用化段階にあり、2022年以降、約10,000台の車両にこのバイオ複合材を用いた部品が搭載され、欧州の道路を走行している。
技術・詳細
本プロジェクトでは、従来の自動車部品に使用されていた鉱物充填材(ミネラルフィラー)の代わりに、再生可能なセルロース繊維を採用した。開発されたバイオ複合材の構成成分のうち、非化石由来の割合は約20%を占める。この素材を用いた部品は、従来の鉱物充填材を用いた部品と比較して、重量を約8%削減することに成功した。
技術的な特筆点は、標準的な射出成形機で加工が可能であることだ。これにより、メーカーは既存の生産ラインに大きな変更を加えることなく、新素材を導入できる。また、本素材は研究室レベルのテストに留まらず、実際の車両走行条件下での検証(バリデーション)を完了している。具体的には、Stellantis社のLancia Ypsilonのダッシュボードに工業化・採用された。
背景・業界の文脈
本プロジェクトは、コンポーネントメーカーのSAPAが主導し、FCA Italy(現Stellantis Europe)、Centro Ricerche Fiat、Sòphia High Tech Groupがパートナーとして参画した。最終顧客となったStellantisは、Fiat、Lancia、Alfa Romeo、Peugeot、Jeepなどのブランドを展開する自動車メーカーである。
自動車業界が直面している課題は、車両重量の削減によるCO2排出量の低減と、化石燃料由来の原材料や鉱物資源への依存からの脱却という2点にある。LIFE BIOBCOMPOは、天然繊維への置換によってこれら両方の課題に同時にアプローチした。特に、研究段階から工業的応用への移行(ブリッジング)において、LIFE Programmeによるビジネスコーチングや戦略開発、専門家ネットワークへのアクセスなどの「close-to-market」支援が、市場投入への準備を加速させた。
今後の展望
プロジェクト自体は2023年に終了したが、その波及効果は継続している。SAPA社では本プロジェクトを通じて約36人の雇用が創出された。同社は今後も、自動車セクター向けにリサイクル素材やバイオベース素材を用いた配合開発を継続的に進めていく方針である。
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