主要成果
ドイツの化学メーカーであるHenkelは、韓国の松島(ソンド)に位置する半導体接着剤専用工場を通じて、AIチップ向け高度パッケージング材料の供給体制を強化している。2022年に約3,500万ユーロ(3,920万ドル)を投じて完成したこの施設は、面積10,144平方メートルに及び、同社が韓国に展開する4つの工場の中で唯一、半導体接着剤を生産する拠点となっている。これは買収を除き、同社にとって韓国における単一投資として最大規模となる。
技術・詳細
松島工場では、年間最大250トンの半導体接着剤を生産できる能力を備えている。同社の半導体向けポートフォリオは、チップを支持面に接合するダイアタッチ材、チップ下の接続部を補強するアンダーフィル、コンポーネントを保護する封止材(エンカプサント)など、半導体パッケージングや電子部品組立向けに500種類以上の接着ソリューションを展開している。
特にAIやハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)向けには、より大きなダイや複雑なパッケージ構造に対応した材料を拡充しており、次世代通信やAI向けに熱伝導性ダイアタッチフィルム「Loctite Ablestik CDF900」シリーズを導入している。製造工程は、原材料の検査・計量から混合、添加剤の粉砕、製品テスト、シリンジへの充填まで7段階で構成される。品質管理面では、クラス10,000のクリーンルームを運用し、統計的工程管理(SPC)を用いて製造中のばらつきを追跡している。
背景・業界の文脈
AIチップの高性能化に伴い、プロセッサの複雑なパッケージングにおいて、熱管理や機械的ストレスの軽減、微細な接続の保護という課題が深刻化している。チップやコンポーネント間のスペースが縮小する中で、顧客はより流動性が高く、より薄い接合層を形成できる接着剤を求めている。こうした要求に応えることで、パッケージ全体の薄型化が可能となる。
また、松島という立地は、サムスン電子やSKハイニックスといったメモリ巨人が集結する韓国の半導体エコシステムへの近接性を確保している。さらに、仁川国際空港まで約30分という地理的利点と、韓国の航空会社による競争力のある貨物運賃が、海外顧客への迅速な供給を可能にする生産拠点としての魅力を高めている。
今後の展望
Henkelは、さらなる技術要求への対応として、研究開発体制の拡充を計画している。2027年3月には、ソウルのガサンデジタルコンプレックスにある既存のR&D拠点を拡張し、新たなテクニカルセンターを開設する予定だ。このセンターは松島工場と密接に連携し、チップメーカーが直面する高度な統合化や熱管理の課題を解決するための新材料開発とアプリケーション研究を推進する。
元記事: https://www.koreaherald.com/article/10915087
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