主要成果
バッテリー開発企業のGreater Bay Technology(GBT)は、中国・広州の南沙工場において、全固体電池セルの量産を開始した。今回の量産は、既存のリチウムイオン電池生産ラインのうち1 GWh分のキャパシティを転換して実現したものである。同社は、この転換済みラインを用いて、中国の国家電力電池イノベーションセンターによる試験において、全固体電池の定義を定めた新規格「GB/T 48093.1-2026」の全要件を満たすセルを生産したとしている。
技術・詳細
GBTが採用した技術的アプローチは、有機・無機複合電解質を液体前駆体としてセルに導入し、その後で固化させるという手法である。このプロセスにより、電極の調製、積層、フォーメーション、およびテストにおいて、従来のリチウムイオン電池用設備をそのまま利用することが可能となった。唯一の変更点として、電解質充填ステーションを、酸素のないドライな微環境下で注入とキュアリング(硬化)が行えるよう再構築している。
性能面では、世代に応じて260〜480 Wh/kgの比エネルギーをサポートするプラットフォームを構築した。第1世代では、車両プログラムでの認定を容易にするため、車載グレードのポーチ形式と既存の電極材料を採用している。また、安全性に関しては、中国の安全規格「GB 38031-2025」が求めるセルレベルの試験をすべてパスしており、第三者機関による試験では、フル充電状態のセルに釘を完全に打ち込んでも火災や爆発が発生しなかったという。
背景・業界の文脈
全固体電池の量産化における最大の課題の一つは、莫大な設備投資を伴う専用ラインの構築である。しかし、GBTの事例では、4 GWh規模の工場の一部を転換して運用しており、注文に応じて残りのキャパシティを転換できるほか、必要に応じてリチウムイオン電池の生産に戻すことも可能としている。同社のCTOであるHuang Xiangdong氏は、本ラインがゼロから構築されたものではなく、「新しいコアを持つ既存ライン」であるとし、4月のAサンプルから10月の量産開始まで短期間で移行したことを強調している。
今後の展望
GBTは今後、同じプラットフォームを用いて、リチウム金属負極を採用したより高エネルギーな次世代セルの展開を予定している。また、戦略的パートナーシップの拡大も進めており、リチウムイオン電池パックメーカーのHubei Liming Lithium Technologyや、電動垂直離着陸機(eVTOL)開発プラットフォームであるShenzhen Vertical Take-off and Landing Aircraft Innovation Centerと協力協定を締結した。欧州では、電動小型商用車開発企業のFLYNTと戦略的パートナーとして連携している。
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