主要成果
ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は、複数の治療歴を持つ進行前立腺がん患者を対象とした、経口投与の新型小分子「JNJ-6143(旧称:HLD-0915)」の第1相試験において有望な結果を得た。画像診断で測定可能な病変を持つ患者のうち、75%(16人中12人)がRECIST基準による完全奏効または部分奏効を達成した。
特に50mgの1日1回投与群では、前立腺がんの腫瘍マーカーであるPSA(前立腺特異抗原)値において顕著な減少が確認された。同群の77%がPSA値の50%以上の減少を達成し、さらにそのうち48%が90%以上の大幅な減少を示した。また、解析時点で50mg投与群の71%が治療を継続しており、追跡期間の中央値は5.6ヶ月であった。
技術・詳細
JNJ-6143は、同社の「RIPTAC(Regulated Induced Proximity Targeting Chimera)」プラットフォームから初めて臨床試験へと進んだ分子である。この新規メカニズムは、細胞の生存に不可欠なタンパク質である「BRD4」と、前立腺がん細胞に高度に発現している腫瘍選択的タンパク質「アンドロゲン受容体(AR)」との間に、標的を絞ったデュアルタンパク質ロックを形成させる。これにより、がん細胞の機能を破壊し、細胞死を誘発させる設計となっている。
安全性に関しては、治療に関連する有害事象の多くが軽度から中等度であった。主な有害事象は、コレステロール値の上昇(18%)、吐き気(16%)、トリグリセリド値の上昇(16%)であった。有害事象による投与中断は11%(4人)、減量は3%(1人)、治療中止は3%(1人)に留まっている。
背景・業界の文脈
進行前立腺がん治療においては、AR経路を標的とした治療や化学療法、PSMA(前立腺特異的膜抗原)を標的とした放射性リガンド療法などの進展があるものの、依然として多くの患者が病勢進行に直面している。特に、転移性アンドロゲン経路変調耐性前立腺がん(mAPMR)、あるいは転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)の生存期間中央値は約2〜3年であり、異なる作用機序を持つ新しい治療アプローチが強く求められていた。今回の試験参加者は、化学療法やPSMA標的放射性リガンド療法を含む、中央値4つの治療歴を持つ患者群であった。
今後の展望
今回の第1相試験の結果に基づき、J&Jは1日1回50mgの投与量を今後の臨床開発の最適量として選定した。今後は、転移性前立腺がんを対象とした第2相試験(NCT07832292)へと移行する。また、同社はこのRIPTACプラットフォームの可能性を広げ、前立腺がん以外の複数のがん種への適用についても探索を進める方針である。
元記事: https://www.aol.com/articles/johnson-johnson-reports-75-tumor-073000000.html
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