主要成果
Ascletis Pharma Inc.(Ascletis)が発表した米国での第II相試験(NCT07321678)において、経口小分子GLP-1受容体作動薬「ASC30」は、2型糖尿病(T2D)治療において主要およびすべての副次評価項目を達成した。12週時点の主要評価項目であるHbA1cの減少率(プラセボ調整後)は、投与量40 mgで1.7%、60 mgで1.6%、80 mgで1.7%(最小二乗平均)となり、統計的に有意な(p < 0.0001)改善を示した。なお、被験者のベースライン時の平均HbA1cは8.3%であった。
また、副次評価項目である体重減少についても、13週時点でプラセボ比で40 mgが4.4%、60 mgが3.8%、80 mgが4.0%の減少を記録し、プラトー(停滞期)は観察されなかった。被験者のベースライン時の平均体重は93.7 kgであった。
技術・詳細
ASC30は、同社が自社開発した経口小分子GLP-1Rフルバイアス作動薬であり、1日1回投与の錠剤として設計されている。本試験では100名の糖尿病患者を対象に、週1回の増量(タイトレーション)を経て維持量(40 mg、60 mg、80 mg)に到達させる投与スケジュールが採用された。
安全性に関しては、胃腸管(GI)関連の有害事象による試験中止者はゼロであり、良好な耐容性が確認された。同社は、今後の第III相試験において増量ペースを「4週に1回」へと緩やかにすることで、GI耐容性がさらに向上すると見込んでいる。全有害事象による中止は1名(1.3%、しゃっくり)のみであり、薬物関連の有害事象はすべてグレード1(軽度)またはグレード2(中等度)に留まり、重篤な有害事象(SAE)は報告されなかった。また、ALT、AST、総ビリルビン(TBL)の上昇は見られず、肝安全性に関するシグナルも検出されなかった。
背景・業界の文脈
GLP-1受容体作動薬は、血糖コントロールと体重減少の両面で高い効果を発揮するため、糖尿病および肥満症治療の主軸となっている。ASC30は、注射剤ではなく経口小分子化合物として開発されており、患者の利便性を大幅に向上させることが期待されている。同社は、肥満症または過体重者を対象とした別の第II相試験(NCT07002905)の結果と、今回の糖尿病患者での結果が整合していることを強調している。
今後の展望
ASC30は現在、肥満症を適応としたグローバル第III相プログラム(AURORA-1およびAURORA-2)を米国、欧州、カナダで展開しており、約4,600名の被験者を登録中である。肥満症治療薬としてのトップラインデータは2028年第3四半期に発表予定で、2028年末までに米国FDAへ新薬申請(NDA)を、2029年初頭までに欧州EMAへ販売承認申請(MAA)を行う計画である。承認されれば、米国および欧州で2番目の経口小分子GLP-1受容体作動薬となる可能性がある。
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