主要成果
ESMO 2026(欧州臨床腫瘍学会)にて発表された第3相試験「DeLLphi-305」の結果、ImdelltraとImfinziの併用療法が、広範期小細胞肺がん(ES-SCLC)患者の一次維持療法において、主要評価項目である全生存期間(OS)を大幅に改善した。中央値16ヶ月の追跡調査において、併用群はImfinzi単剤群と比較して死亡リスクを58%低減させた。生存期間の中央値は、併用群が21.1ヶ月であったのに対し、単剤群は12.7ヶ月にとどまった。
また、中央値13.9ヶ月の追跡調査では、病勢進行または死亡のリスクを66%低減させ、無増悪生存期間(PFS)の中央値は、単剤群の1.9ヶ月に対し、併用群は7.4ヶ月に達した。
技術・詳細
Imdelltraは、DLL3およびCD3タンパク質を標的とする二重特異性T細胞誘導剤であり、T細胞を活性化させてがん細胞への攻撃を促す設計となっている。本試験の対象は、Imfinzi、プラチナ系化学療法、エトポシドによる治療を完了し、病勢が進行していないES-SCLC患者563名である。特筆すべき点として、脳転移を有する患者を含む臨床的に重要なグループ全体で一貫したベネフィットが確認された。
安全性に関しては、併用療法の重度または医学的に重大な有害事象の発現率は20.9%であり、Imfinzi単剤群の10.8%を上回った。また、細胞療法に特有の一時的な全身性炎症反応であるサイトカイン放出症候群(CRS)が患者の約半数に認められたが、その多くは軽度または中等度であり、死亡例は報告されていない。
背景・業界の文脈
Imdelltraは2024年5月にES-SCLC向けに承認されているが、現在の適応はプラチナ系化学療法後に病勢が進行した患者に限定されている。Truist Securitiesの分析によれば、一次維持療法への適応が拡大した場合、米国における対象患者数は現在の約12,900人から、約1.7倍の21,600人まで拡大する可能性がある。Guggenheim Partnersは、一次維持療法への移行は治療期間の延長につながるため、同製品にとって最大の増分機会になると予測し、今年の米国売上高を約10億ドルと見込んでいる。
今後の展望
AmgenはDeLLphi-305の結果を速やかに世界各国の規制当局に提出する計画である。さらに、抗体薬物複合体(ADC)との併用療法の開発も進めており、MediLink TherapeuticsおよびRocheのADC「YL201」を組み合わせるDeLLphi-310試験や、Zai Labの「ZL-1310」を組み合わせる第1相試験(DeLLphi-313)が進行中である。また、今後は神経内分泌癌をはじめ、メラノーマ、特定の神経膠腫(グリオーマ)、小児の神経芽細胞腫など、他のDLL3発現腫瘍への適応拡大も検討されている。
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