ナトリウムイオン電池|東京理科大学がスカンジウム添加で寿命を延ばす手法を開発

Electronic Design(東京理科大学の研究) アメリカ
概要
東京理科大学の研究チームが、スカンジウムを用いることでナトリウムイオン電池(SIB)の耐久性と性能を大幅に向上させる手法を開発しました。バルクドーピングと表面コーティングという2つのアプローチにより、充放電サイクル後の容量維持率を劇的に改善させています。これにより、リチウムイオン電池よりも低コストで長寿命な次世代電池の実現に寄与することが期待されます。
詳細

主要成果

東京理科大学の駒場真一教授と熊倉真一准教授らが率いる研究チームは、ナトリウムイオン電池(SIB)の正極材料にスカンジウム(Sc3+)を導入することで、電池の寿命を大幅に延ばすことに成功しました。特に、正極の劣化を抑制する2つの異なるメカニズムを解明し、容量維持率の劇的な向上を実証しています。

技術・詳細

本研究では、NNMOと呼ばれるナトリウムイオン化学に基づいた正極材料を対象に、スカンジウムを用いた「バルクドーピング」と「表面コーティング」の2つの戦略を検証しました。バルクドーピングは電池のバルク結晶構造を安定化させ、表面コーティングは表面の劣化を抑制する働きがあり、これらが互いに補完的に作用します。

具体的な性能試験の結果、100回の充放電サイクル後の容量維持率は、未処理の電極では18.6%であったのに対し、スカンジウムをドーピングした電極では67.8%、表面コーティングを施した電極では75.4%まで向上しました。さらに、フルセル(完全電池)での検証では、スカンジウムコーティングを施した正極が300サイクル後も初期容量の91.2%を維持しており、長期的な耐久性が大幅に改善されたことが示されました。

背景・業界の文脈

ナトリウムイオン電池は、リチウムに比べて資源量が多く豊富に存在するナトリウムを利用するため、リチウムイオン電池(Li-ion)よりもkW/hあたりのコストを大幅に抑えられる可能性があります。また、安全性や低温環境下での性能においても優位性を持つと考えられています。これらの利点から、低コストで長寿命なSIBセルの供給手段を確立することは、電池メーカーにとって大きなメリットとなります。

今後の展望

SIBは現在、定置型のグリッド接続蓄電システム(BESS)やバックアップ電源などの分野で商用化が進んでおり、これらの領域ではリチウムイオン電池を凌駕する可能性があります。さらに、ポータブル電子機器から電気自動車(EV)に至るまで、幅広いアプリケーションへの導入が進んでいます。本研究成果は、これらの分野におけるSIBの普及を加速させる技術的基盤となることが期待されます。

元記事: https://www.electronicdesign.com/technologies/power/news/55414857/new-research-shows-scandium-doping-can-significantly-boost-sodium-ion-battery-life

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