主要成果:故障率の劇的な低下
Electric Power Research Institute (EPRI) の報告書によると、リチウムイオン電池エネルギー貯蔵システム(BESS)の年間故障率(導入容量1 GWhあたりの事故件数)は、2018年から2025年の間に世界で98%減少しました。2024年には導入容量343 GWhに対して26件の事故が記録されていましたが、2025年には容量が634 GWhに増加したにもかかわらず、事故件数は24件に減少しており、前年比で故障率は50%低下しています。
技術的詳細と地域別傾向
本報告書は、アークフラッシュ、火災、爆発などの内部故障による大規模な熱イベントを対象としており、住宅用システムや電気自動車は除外されています。地域別の故障率減少幅は、中国が99%と最も高く、次いで米国が97%、韓国が91%、欧州が85%となりました。また、2025年のオセアニア地域では故障が記録されませんでした。
設置環境による被害の差も顕著に現れています。68件の事故分析において、屋内システムは損壊した容量の中央値が100%であったのに対し、屋外コンテナ設置型は6%にとどまりました。具体例として、カリフォルニア州モスランディングでの火災では約660 MWh(設置容量の55%)が損壊しましたが、2022年9月の屋外エルクホーン施設での事故では損壊分は3 MWh(容量の0.4%)に限定されました。
背景と安全性の分析
2018年から2025年の期間に記録された全150件の事故のうち、18件(12%)が爆発を伴い、計24名の負傷者と4名の死者が発生しました。内訳としては、消防士に死者3名・負傷者22名、従業員に死者1名・負傷者2名が含まれます。一方で、一般市民への急性的な負傷は報告されていません。また、BESSの故障率は年平均0.04%から0.14%と推定されており、これは大型の油入式変圧器の故障率と同等であると分析されています。
今後の展望と課題
EPRIは、運用年数が1年増えるごとに故障率が31%減少し、設置年が新しくなるごとに44%減少するという相関を確認しました。しかし、5年以上運用されている容量は全体の約3%に過ぎず、長期的なデータは不足しています。また、米国や欧州では故障報告の義務化がなされていないため、実際の事故数は報告数より多い可能性があると警告しています。今後は、安全基準を満たさない旧型システムの更新や、熱監視および爆発防止策を含む防御的な事故対応戦略の導入が推奨されます。
毎週の技術動向レポートを無料でお届け
各分野の分析レポートを読む価値があるかどうか一目で判断できるインフォグラフィックをメールで受け取れます。
📢 メールマガジンに無料登録(週刊・技術動向レポート)
ご登録いただくと、Troy-Technical から週刊で技術動向レポート(メールマガジン)をお届けします。
- 取得したメールアドレス・選択分野は配信目的にのみ使用します。
- 第三者へ提供することはありません。
- 配信はいつでも解除できます(各メール下部のリンクから)。
詳しくはプライバシーポリシーをご覧ください。
登録は1分・いつでも解除できます



