主要成果
シンガポール国立大学(NUS)およびシンガポール太陽エネルギー研究機構(SERIS)、上海交通大学、ポツダム大学などの共同研究チームは、逆構造ペロブスカイト太陽電池において、認証電力変換効率27.2%(安定化効率26.6%)を達成しました。この成果は、活性面積1.02 cm²のセルで確認されており、外気中での1,000時間の連続光照射後も、初期効率の98%以上を維持する高い安定性を示しています。
技術・詳細
本研究では、逆構造ペロブスカイト太陽電池の大きなボトルネックとなっていた、C60電子選択接合部における界面非放射再結合の原因を特定しました。従来の研究は主にペロブスカイト表面のトラップ状態のパッシベーション(不活性化)に焦点を当てていましたが、本チームはC60フィルム内の強い分子間結合によって生じる、C60の最低空軌道(LUMO)由来のバンド状状態が界面再結合を促進していることを突き止めました。
この課題を解決するため、研究チームはトリアルキルアミンを用いた気相分子パッシベーション戦略を開発しました。この手法でC60分子のパッキングを乱すことで、LUMO由来のバンド状状態を実質的に弱め、界面での非放射損失を抑制することに成功しています。具体的には、C60堆積後の準フェルミ準位分裂損失を89 meVから41 meVまで低減させ、さらに標準的な表面パッシベーションを併用することで、この損失を17 meVまで抑え込みました。
背景・業界の文脈
ペロブスカイト太陽電池の効率向上において、電子輸送層として用いられるフラーレンベースのC60は一般的ですが、なぜこれが深刻な界面再結合を引き起こすのかというメカニズムは長らく不明なままでした。本研究は、この根本的な原因を明らかにした点において重要な意義を持ちます。また、本研究の責任著者の一人であるNUSのYi Hou氏は、以前に認証効率26.4%のペロブスカイト・有機タンデム太陽電池を報告した実績を持つ研究者です。
今後の展望
C60が界面再結合を誘発する理由が解明されたことで、今後はより包括的な界面パッシベーション戦略の設計が可能になると期待されています。界面でのエネルギー損失を極限まで抑えるアプローチは、今後のペロブスカイト太陽電池のさらなる高効率化および実用化に向けた重要な指針となるでしょう。
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