主要成果
フロリダ国際大学(FIU)のエンジニアチームは、太陽光を電気に変換する発電機能と、逆電流によって近赤外光を放出する発光機能を併せ持つ、超薄型かつ柔軟なデュアル目的太陽電池を開発しました。このデバイスは、紙1枚よりも薄いフィルム状でありながら、最大22%の電力変換効率を達成しています。具体的には、0.12 cm²のセルで22.02%、1.1 cm²のデバイスで20.43%の効率を記録しました。
技術・詳細
本技術の核心は、半導体材料の改良により、通常の太陽電池では困難な「バイアス印加による発光」を可能にした点にあります。電流を反転させることで、デバイスは即座に光源へと切り替わり、ピーク波長818 nmの狭帯域近赤外光を放出します。この光は暗所では人間の目にはかすかなピンク色の光として見えますが、暗視装置(ナイトビジョン)では明確に検知可能です。
また、薄膜太陽電池に共通する課題である「光吸収率の低下」を克服するため、微小な境界内に太陽光を閉じ込めて吸収率を高める設計を採用し、従来の厚い太陽電池に匹敵する高効率を実現しました。耐久性面では、非常に強靭なポリマーベースを採用することで、繰り返しの曲げやねじれによるシリコン半導体特有の割れを防いでいます。さらに、封止層によって水や塵の浸入を遮断し、豪雨や泥などの過酷な環境下でも電気接点を保護する構造となっています。
背景・業界の文脈
本開発の主な目的は、歩兵が装備するバッテリーパックの負荷軽減です。一般的に歩兵は、暗視ゴーグル、無線機、GPS機器などの電源として、約20ポンド(約9kg)ものリチウムバッテリーを携行しています。このような重量のあるバッテリーを、衣服に直接統合可能な軽量太陽電池に置き換えることで、装備重量を大幅に増やさずに電力を確保することを目指しています。
今後の展望
今後は、このデュアル目的フィルムを軍用ユニフォームなどの衣服サイズまでスケールアップさせることが課題となります。研究チームは、大面積の柔軟な基板ロール全体で正確な温度制御を行う特殊な化学堆積プロセスを用いていますが、大面積化に伴う化学堆積の不均一性が効率低下やデッドスポットを招くリスクがあります。量産プロセスにおける効率維持が、自律電源および発光機能を備えた戦闘服の実用化時期を決定づける鍵となります。
元記事: https://www.ecoportal.net/en/miami-engineers-thin-solar-cell/43484/
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