主要成果
研究チームは、普魯士青(プルシアンブルー)ナノ粒子を鉛ハロゲン化物ペロブスカイトに導入することで、薄膜形成時とデバイス動作時の両段階において調控作用を持たせることに成功した。これにより、小面積の逆置構造電池において、第三者機関による認証で26.2%という高い光電変換効率を達成した。また、正置モジュール(6cm×6cm)で23.4%、逆置モジュール(30cm×30cm)で22.9%の効率をそれぞれ記録した。
技術・詳細
普魯士青は鉄イオンがシアノ基配位子で接続されたオープンフレーム構造(開放的な枠組み構造)を持つ化合物であり、内部に規則的な空腔を有している。この構造的特徴がペロブスカイト太陽電池において以下の二つの機能を発揮する。
- 成膜プロセスの最適化:ペロブスカイトの結晶成長時に有利な起点を提供し、結晶の配向性を高め、局所的な格子歪みを低減させる。これにより、電荷収集効率が向上する。
- イオン移動の抑制:デバイス動作中、普魯士青の空腔が陽イオン(特にセシウムイオン)と相互作用し、電界によるイオンの再分布を抑制する。また、鉄イオンの価数変化(酸化還元活性)を利用して、ゼロ価の鉛やヨウ素などの異常価数種を本来のイオン状態に戻し、欠陥を調節する。
安定性試験では、85℃・相対湿度85%の暗状態で2500時間経過後も初期効率の90%以上を維持し、65℃・相対湿度50%の最大出力点追従条件下での2200時間試験では80%以上の効率を維持した。また、珠海での151日間にわたる屋外モニタリングにおいて、商業用シリコン太陽電池と比較して相対効率に顕著な低下は見られなかった。
背景・業界の文脈
ペロブスカイト太陽電池は高い発電効率を持つ一方で、溶液法による成膜過程での結晶格子の乱れや、動作中のイオン移動に伴う性能劣化が大きな課題となっていた。今回の研究は、無機化学の基礎知識に基づき、普魯士青とペロブスカイトが共に八面体配位ユニットを持つ三次元フレーム構造であるという構造的共通点に着目したことで実現した。古くから顔料として利用されてきた材料を、エネルギー材料の視点から再定義したアプローチである。
今後の展望
今後は、大面積塗布への適用可能性、製造バッチ間の一貫性、およびより長期的な信頼性の検証が必要とされる。研究チームは、普魯士青のような「構造誘導・酸化還元緩衝・イオン調控」の機能を兼ね備えた他のオープンフレーム材料の探索や、普魯士青自体の化学的修飾(組成、粒径、表面分子の調整)を通じて、さらなる性能向上を目指すとしている。
元記事: https://www.stdaily.com/web/gdxw/2026-10/23/content_601751.html
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