主要成果
AbbVie社が開発中の抗体薬物複合体(ADC)であるTemab-A(別名:ABBV-400、telisotuzumab adizutecan)が、米国FDAより2つの画期的新薬指定を受けた。一つはベバシズマブ(Avastin)との併用による難治性・転移性大腸がんへの適応であり、もう一つはc-Metタンパク質を発現する局所進行または転移性のEGFR野生型・非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)への単剤療法としての適応である。
技術・詳細
Temab-Aは、がん細胞の表面に存在するc-Metタンパク質を標的とするヒト化抗体薬物複合体である。切断可能なリンカーを介してトポイソメラーゼ1阻害剤を直接がん細胞へ届ける設計となっており、従来の化学療法と比較して正常組織へのダメージを抑えつつ、がん細胞を死滅させることを目的としている。
今回の指定の根拠となった第1相試験(M21-404)では、BRAF野生型かつマイクロサテライト安定(MSS)の転移性大腸がん患者122名を対象に以下の結果が得られた。
- 客観的奏効率(ORR):15.6%
- 病勢コントロール率(DCR):74.6%
- 無増悪生存期間(PFS)の中央値:4.6か月
- 全生存期間(OS)の中央値:10.4か月
- 奏効期間の中央値:5.9か月
副作用については、主に胃腸および血液関連の症状が確認された。副作用により治療を中止した患者は10%で、治療関連死は3%であった。
背景・業界の文脈
画期的新薬指定は、既存の治療法に対して臨床的に意味のある改善を示す初期的な証拠がある薬剤に対し、開発と審査を迅速化させるための制度である。これにより、開発者はFDAからより頻繁で密接なガイダンスを受けることが可能になる。AbbVie社にとって、今回の指定で同社のADCポートフォリオにおける画期的新薬指定の総数は4つとなった。これは、固形がんにおける治療標的としてc-Metの重要性が高まっていることを示唆している。
今後の展望
肺がん領域では、第1b/2相試験(M24-536)において、化学療法を用いない一次治療の選択肢として、単剤またはPD-1阻害剤との併用療法を検討している。また、オシメルチニブ(Tagrisso)との併用を含むEGFR変異陽性NSCLCへの適用も別途試験中である。さらに、頭頸部扁平上皮がん、胃食道腺がん、膵管腺がん、卵巣がんなどの難治性固形がんに対しても、単剤または併用療法の第2相および第3相試験が進められている。
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