主要成果
カリフォルニア大学バークレー校の研究チームは、世界初のオープンソース・レイヤーレス3Dプリンターである「OpenCAL」を公開した。この装置は、回転する樹脂容器(バイアル)の中で部品全体を同時に凝固させる体積型積層造形(VAM)を採用しており、参照部品を90秒で造形できる性能を持つ。ハードウェアの部品コストは約1,600ドルに抑えられており、設計図、コード、樹脂の配合などの詳細な情報がすべて公開されている。
技術・詳細
OpenCALは、2017年に同大学のHayden Taylor教授の研究室とローレンス・リバモア国立研究所(LLNL)によって発明された「計算軸リソグラフィ(CAL)」に基づいている。CALは、プロジェクターから計算された一連の光パターンを回転する光硬化性樹脂に照射し、光が蓄積した箇所を同時に硬化させる手法である。これはCTスキャンの原理を反転させたものであり、プリントヘッドの移動やサポート構造を必要とせずに物体を形成できる。
ハードウェア構成は以下の通りである。
- コンシューマー向けLEDプロジェクター、Raspberry Pi 5、ステッパーモーター駆動のバイアルマウントを搭載。
- アルミフレームとレーザーカットアクリルパネルで構成され、カメラケースに収まるサイズ。
- PETG、PLA、TPUを用いた3Dプリントパーツを使用し、1人で5〜6時間で組み立て可能。
ソフトウェア面では、STLファイルをプリントシーケンスに変換する無料のWindowsアプリ「Tomo」と、オープンソースのPythonライブラリ「VAMToolbox」を使用する。また、これまで調製が困難だった樹脂については、Formlabs社が量産化した「OpenCAL Resin」が提供されており、米国ではPrusa Research社が1Lあたり119.99ドルで販売している。
背景・業界の文脈
CAL技術はこれまで研究室レベルに留まっていたが、Taylor Waddell氏が主導し、40名以上の学生らが2年をかけてOpenCALプロジェクトを推進した。このアプローチは、2005年のRepRapプロジェクトがフィラメント方式の3Dプリンターを普及させ、結果的にPrusa Researchのような企業を誕生させた歴史と同様のパターンを目指している。また、CALはすでにバイオプリンティングやガラス製造に適用されており、NASAの支援による亜軌道飛行での微小重力下プリントの実証も行われている。
今後の展望
OpenCALのハードウェアはPrusa社のOpen Community License (OCL 1.1)の下で公開され、ソフトウェアはGitHub、モデルデータはPrintablesで提供されている。すでにMIT、パデュー大学、LLN、米国国立標準技術研究所(NIST)などの機関で導入が進んでいるほか、2,200人以上のメンバーを抱えるDiscordサーバーを通じてホビーユーザーによる構築も始まっている。2027年2月には、年次シンポジウム「VAM27@Berkeley」に合わせて、1日の構築ワークショップが開催される予定である。
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