主要成果
Nano24社が発表した、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)患者を対象としたランダム化二重盲検プラセボ対照Phase 2b試験(NCT05947747)において、吸入型EXO-CD24が顕著な治療効果を示した。主要評価項目である「投与7日目時点での呼吸不全からの回復(酸素飽和度/吸入酸素分率比が315超)」について、EXO-CD24群は85%が達成したのに対し、プラセボ群は33.3%にとどまった(p<.0001)。
また、調整済みCoxモデルによる解析では、28日時点の死亡リスクが72%低減(ハザード比 0.28)した。この有益性は6ヶ月後まで持続し、全死因死亡率はプラセボ群の43.3%に対し、EXO-CD24群は13.3%(相対的に69%低減、p=.003)であった。入院期間についても、プラセボ群の平均14.4日に対し、EXO-CD24群は6.5日へと大幅に短縮された(p=.0001)。
技術・詳細
EXO-CD24は、免疫調節タンパク質であるCD24を搭載したエンジニアリング・エキソソーム(人工的に設計された細胞外小胞)療法である。この技術は、免疫系が病原体を認識し排除する能力を維持しつつ、損傷によって引き起こされる炎症のみを選択的に制御するように設計されており、吸入投与によって肺に直接作用させる。本試験では、原因や段階を問わないARDS患者90名を対象に、EXO-CD24群(60名)とプラセボ群(30名)に2:1の割合で割り付け、1回あたり10^10粒子の用量を1日2回、5日間投与した。
安全性に関しては、治療に関連する重篤な有害事象は報告されなかった。また、重篤および非重篤な有害事象の発生頻度はプラセボ群よりも低かった。過去にギリシャで行われた軽度から中等度のCOVID-19関連ARDS患者91名を対象とした単盲検用量設定試験においても、EXO-CD24に関連する有害事象は認められていない。
背景・業界の文脈
ARDSは、感染症、外傷、急性膵炎など80以上の原因で誘発される重篤な肺炎症であり、酸素供給能の低下から呼吸不全や多臓器不全へと進行する。国際的なLUNG SAFE研究によれば、ARDSの院内死亡率は軽症で34.9%、中等症で40.3%、重症で46.1%に達しており、依然として深刻な臨床的課題となっている。そのため、既存の治療法以外の新たな選択肢が強く求められている状況にある。
今後の展望
Nano24社は、今回のPhase 2b試験の結果に基づき、より大規模な国際的なPhase 3試験への移行を計画している。なお、本結果はCHEST Annual Meeting 2026にて発表されたものであり、査読付きジャーナルには未掲載である。また、試験規模が90名であるため、稀なリスクについての結論を出すには限界があることや、死亡率の知見が信頼区間の広い調整モデルに基づいていることが指摘されている。
元記事: https://www.biopharminternational.com/view/nano24-inhaled-exo-cd24-ards-phase-2b-mortality
毎週の技術動向レポートを無料でお届け
各分野の分析レポートを読む価値があるかどうか一目で判断できるインフォグラフィックをメールで受け取れます。
📢 メールマガジンに無料登録(週刊・技術動向レポート)
ご登録いただくと、Troy-Technical から週刊で技術動向レポート(メールマガジン)をお届けします。
- 取得したメールアドレス・選択分野は配信目的にのみ使用します。
- 第三者へ提供することはありません。
- 配信はいつでも解除できます(各メール下部のリンクから)。
詳しくはプライバシーポリシーをご覧ください。
登録は1分・いつでも解除できます



