血管化心臓オルガノイド|hPSCsを用いた心臓・前腸様中間体の構築と成熟化

bioRxiv
概要
ヒト多能性幹細胞(hPSCs)から、血管を備えた心臓オルガノイドを構築する手法が開発されました。心臓と前腸に似た中間構造(Seed)を支持細胞(Soil)で包み込む「Soil-Seedシステム」により、心筋細胞や内皮細胞を含む心室構造を持つオルガノイドへの分化を実現しています。この手法は、ヒトの初期発生における心臓と前腸の自己組織化メカニズムを解明するためのモデルとして期待されます。
詳細

主要成果

ヒト多能性幹細胞(hPSCs)を用いて、血管化された心臓オルガノイド(hCOs)を構築することに成功しました。この研究では、初期の心臓形成過程において心臓領域が前腸内胚葉と密接に接触し、栄養分やシグナル伝達を受けて原始心管の組み立てが行われるという生物学的プロセスを再現しています。

技術・詳細

本研究で導入された手法は「Soil-Seedシステム」と呼ばれています。まず、hPSCsから心臓および前腸に似た構造である「Seed(種)」を形成させます。このSeedを、マトリックス微小環境を提供する支持細胞である「Soil(土壌)」で包み込むことで、自己組織化を促進させています。

このシステムを通じて開発された心臓オルガノイド(hCOs)には、以下の細胞群が含まれていることが確認されました。

  • 心筋細胞(CMs)
  • 心外膜細胞
  • 心臓線維芽細胞
  • 内皮細胞

さらに、誘導システムの最適化を行うことで、hCOsの成熟度および血管化がさらに向上し、心室構造を持つオルガノイドへと発展させることが可能となりました。

背景・業界の文脈

心臓の初期発生において、前腸内胚葉は心臓の形成に不可欠な栄養供給源およびシグナル源として機能します。従来のオルガノイド作製では、こうした複雑な細胞間相互作用や微小環境の再現が課題となっていました。本研究は、心臓と前腸という異なる組織の相互作用を模倣した中間体を経由させることで、より生体に近い心臓構造の再現を目指したものです。

今後の展望

構築されたSoil-Seedシステムは、ヒトの初期発生における心臓と前腸の自己組織化プロセスを詳細に解析するためのモデルとして活用されます。血管化と成熟度が向上した心臓オルガノイドの実現により、心疾患の病態解明や、より高度な心臓組織の工学的作製に向けた基礎的な知見が得られると考えられます。

元記事: https://www.biorxiv.org/content/10.64898/2026.10.21.758395v1

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