主要成果
塩野義製薬は、D-Wave Quantum Inc.の量子アニーリング技術を生成AIモデルに統合し、創薬における分子設計の質を向上させた研究成果により、NEDOの量子コンピューティング・チャレンジ「社会課題解決!」のQOL部門で1位に選出された。この受賞に伴い、4,000万ドルの賞金が授与され、今後の量子コンピューティングを用いた創薬研究の継続的な支援に充てられる。
技術・詳細
本研究の核心は、D-Waveの量子アニーリング技術を分子設計のための生成AIモデルに組み込んだ点にある。2026年7月に「Scientific Reports」誌で発表された査読付き論文によると、量子支援モデルと従来の古典的モデルを比較した結果、以下の性能向上が確認された。
- 化学的妥当性: 量子支援モデルによって生成された分子表現の97%が化学的に妥当であったのに対し、同等の古典的モデルでは73%に留まった。
- 薬物らしさ(Drug-likeness): 量子支援モデルは、古典的モデルおよびトレーニングデータセットの両方を上回る割合で、高い「薬物らしさ」スコアを持つ分子を生成した。
このアプローチは、D-Waveの量子コンピューティングと古典的なハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)を組み合わせることで、有望な新薬候補分子の生成と評価を行うものである。
背景・業界の文脈
製薬業界において、有望な新薬候補分子の設計は最も複雑な課題の一つであり、初期段階での効率的な分子設計が開発期間の短縮に直結する。D-Waveは、量子アニーリングとゲートモデルの両方のプラットフォームを提供する唯一の企業として、塩野義製薬のような製薬企業に量子コンピューティングの商用利用を支援している。今回の成果は、量子コンピューティングが単なる理論的な研究段階を越え、生成AIの出力を最適化することで実務的な創薬プロセスを加速させる具体例となった。
今後の展望
塩野義製薬は、今回のNEDOからの賞金を活用し、量子支援による創薬研究をさらに推進させる方針である。同社のリード著자인国木隼研究員は、量子コンピューティングとHPCの統合による分子設計の効率化が、最終的に患者への新薬提供の迅速化に寄与することを期待している。D-WaveのCEOであるAlan Baratz博士も、量子コンピューティングとAIの融合が科学的進歩を加速させ、世界的な重要課題の解決に向けた新たな道を切り拓くと述べている。
元記事: https://jen.jiji.com/jc/eng_bw?k=20261028058314
毎週の技術動向レポートを無料でお届け
各分野の分析レポートを読む価値があるかどうか一目で判断できるインフォグラフィックをメールで受け取れます。
📢 メールマガジンに無料登録(週刊・技術動向レポート)
ご登録いただくと、Troy-Technical から週刊で技術動向レポート(メールマガジン)をお届けします。
- 取得したメールアドレス・選択分野は配信目的にのみ使用します。
- 第三者へ提供することはありません。
- 配信はいつでも解除できます(各メール下部のリンクから)。
詳しくはプライバシーポリシーをご覧ください。
登録は1分・いつでも解除できます



