量子状態スムージング|理研と東大が実証した光の量子状態推定、精度向上の仕組み

日本経済新聞(理研・東大のプレスリリース) 日本
概要
理化学研究所と東京大学の国際共同研究グループが、光の量子状態のダイナミクスを推定する「量子状態スムージング」を世界で初めて実証しました。過去の観測記録に加えて「未来」の記録を組み合わせることで、従来よりも真の状態に近い高精度な推定を実現しています。この技術は、測定誘起型の量子コンピュータをはじめとする量子情報処理の性能を極限まで高めるための基盤技術として期待されます。
詳細

主要成果

理化学研究所(理研)と東京大学の研究チームは、光の量子状態のダイナミクスを推定する手法である「量子状態スムージング」の実験的な実証に成功しました。本研究では、推定したい時刻までの記録だけでなく、その後の未来の観測記録を併せて活用することで、過去の量子状態をより詳細かつ正確に調べられることを示しました。実験の結果、過去の記録のみを用いる従来の手法と比較して、基準となる量子状態(真の状態)により近い推定が可能となり、量子状態の純度やスクイージングの改善も確認されました。

技術・詳細

量子状態の推定において、未来の記録を導入して精度を高めるという考え方はありましたが、古典的な計算法をそのまま適用すると量子力学の原理と矛盾する結果を招くという課題がありました。この問題を回避するために理論的に提案されていたのが「量子状態スムージング」ですが、検証の難しさからこれまで実験的な実証には至っていませんでした。

今回の研究グループは、以下の手法を用いてこの課題を解決しました。

  • 「推定を行う観測者には見えていない情報を、別の隠れた観測者が測定している」という理論上の設定を光の実験で再現し、推定結果の検証を可能にした。
  • 実験装置を精密に較正し、光の損失や検出効率などの特性を反映したモデルを用いて解析を行った。

背景・業界の文脈

量子技術の性能を極限まで引き出すためには、量子状態を高精度に推定する技術が不可欠です。特に、測定記録を事後処理できる量子情報処理の分野において、状態の推定や評価の精度向上は重要な課題となっています。本研究で実証された手法は、理論上の矛盾を避けつつ、観測データの活用効率を最大化させるアプローチであると言えます。

今後の展望

本成果は、測定誘起型の量子コンピュータなどのデバイスにおいて、状態の推定や評価への活用が期待されます。量子状態のダイナミクスをより正確に把握できるようになることで、量子情報処理全体の制御精度や性能の向上が見込まれます。なお、本研究の詳細は、科学雑誌『npj Quantum Information』のオンライン版(10月21日付)に掲載されました。

元記事: https://www.nikkei.com/article/DGXZRSP714661_Q6A031C2000000/

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