主要成果
聖均館大学の新聖植教授研究チームは、韓国化学研究院、米国カリフォルニア大学サンディエゴ(UCサンディエゴ)、プリンストン大学との国際共同研究により、極めて欠陥の少ないペロブスカイト半導体薄膜の開発に成功した。特筆すべきは、単一の素材と同一の素子構造を用いて、高性能な太陽電池と発光ダイオード(LED)の両方を同時に実装した点にある。これにより、光を電気に変換する機能と、電気を光に変換する機能の両立を証明した。
技術・詳細
研究チームは、異なる物質を混合した際に融点が個々の物質よりも大幅に低下する「共晶(Eutectic)」現象に着目した。具体的には、高い融点を持つMAClとハロゲン化亜鉛(ZnX₂)を混合することで、より低い温度で液体状態を形成させ、薄膜の結晶成長過程を精密に制御した。
製造プロセスでは、作製した薄膜を約100℃で熱処理し、結晶粒界に存在する混合物を薄い液体層へと転換させる。固体よりも原子の移動速度が速い液体状態を形成させることで、小さな結晶同士が迅速に結合し、欠陥が少なく均一で大きな結晶へと成長した。この過程で、結晶成長を助けたMAClは揮発して除去され、残った亜鉛(Zn)が結晶粒界に集まって欠陥を抑制する役割を果たす。研究チームは、この世界初の揮発性共晶混合物を開発し、薄膜の品質を飛躍的に向上させた。
開発された薄膜の性能は、以下の通りペロブスカイト薄膜として最高水準を記録した。
- 電荷寿命:約295マイクロ秒(μs)で、過去最長水準を記録。
- 表面再結合速度:秒速0.3cmと、ペロブスカイト素材の中で最低水準を達成し、既存のシリコン半導体の最高水準に匹敵する性能を示した。
- 太陽電池の光電変換効率:26.5%を達成。特にn-i-p構造の太陽電池において、開放電圧1.208Vという公認最高記録を樹立した。
- LEDの外部量子効率:26.1%を実現した。
背景・業界の文脈
ペロブスカイトは製造コストが低く、工程が簡便であるため、次世代の太陽電池やLEDの核心素材として注目されている。しかし、液体溶液から薄膜状に固化させる過程で微細な結晶が形成され、その境界面や表面に欠陥が生じやすいという課題があった。これらの欠陥は、光吸収によって生成された電荷が移動する際に損失を引き起こし、デバイスの効率と寿命を低下させる主要因となっていた。
今後の展望
今回の研究は、共晶現象を用いることで半導体薄膜の結晶成長と欠陥を精密に制御できることを示した点で大きな意義を持つ。この新素材プロセス技術は、高効率な太陽電池や高性能LEDのみならず、次世代の光電子デバイス開発全般に活用されることが期待される。
元記事: https://www.lecturernews.com/news/articleView.html?idxno=212158
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