主要成果
中国のペロブスカイト太陽電池メーカーである日耀光電(Riyao Solar)は、プレシリーズAラウンドにおいて天津創業投資管理と吉林省科技投資基金から数千万元(数億円)の資金調達を実施した。この資金は、年産100キログラム規模の新材料パイロット生産ラインの整備および開発人員の拡充に充てられる。また、車載用や航空宇宙向け製品の開発を目的とした大型太陽電池モジュールの試験ラインも構築する計画である。
技術・詳細
同社が中核技術として開発したのは、正孔輸送層に使用する新型のラジカルSAM(自己組織化単分子)材料である。この材料は分子内に官能基やねじれ構造を取り入れることで溶液中での分散性を向上させており、従来困難であった広面積への均一な塗布と薄膜形成を実現したという。
このSAM材料の導入により、一般的な製造工程で用いられる酸化ニッケルを排除したプロセスを確立することを目指している。同社の試算によれば、工程の簡略化によって生産ラインへの投資を約20%、電池の製造コストを約10%削減できるとしている。また、この材料を適用したペロブスカイト・結晶シリコンのタンデム型太陽電池(隆基緑能と共同開発)は、米国立再生可能エネルギー研究所(NREL)の認証で34.2%の変換効率を記録した。
さらに、同社は厚さ2~3ナノメートルという極薄のSAM薄膜をその場で評価できる一体型検査装置を開発した。複数の測定方法を組み合わせることで、高精度かつ短時間での材料選別や生産ライン上での品質管理を可能にする。現在は製品化に向けた改良段階にある。
背景・業界の文脈
ペロブスカイト太陽電池は、軽量で柔軟性が高く、低コスト製造が期待される次世代技術である。特に結晶シリコンと組み合わせたタンデム型は、理論上の変換効率が最大約43%に達し、従来の単接合型結晶シリコン電池を上回る性能を持つ。しかし、実用化に向けては、研究レベルの小型電池で得られた高効率を大面積で再現することや、長期的な安定性の確保、量産技術の確立が業界全体の課題となっている。
今後の展望
日耀光電は、材料からモジュールまでの一貫体制を構築しており、現在は最大300ミリメートル四方のデバイス試作が可能である。今後は、軽量・柔軟という特性を最大限に活用できる車載用および航空宇宙向け市場の開拓に注力する。これらの分野での実用化に向けては、搭載環境に合わせた形状への対応に加え、激しい温度変化への耐性や長期的な信頼性の検証が不可欠となる。
毎週の技術動向レポートを無料でお届け
各分野の分析レポートを読む価値があるかどうか一目で判断できるインフォグラフィックをメールで受け取れます。
📢 メールマガジンに無料登録(週刊・技術動向レポート)
ご登録いただくと、Troy-Technical から週刊で技術動向レポート(メールマガジン)をお届けします。
- 取得したメールアドレス・選択分野は配信目的にのみ使用します。
- 第三者へ提供することはありません。
- 配信はいつでも解除できます(各メール下部のリンクから)。
詳しくはプライバシーポリシーをご覧ください。
登録は1分・いつでも解除できます



