主要成果
Alconは2026年10月20日、Neurotech Pharmaceuticalsを5億5,000万ドルで買収したことを発表した。この買収により、特発性黄斑血管拡張症2型(MacTel)に対する唯一のFDA承認治療薬である「revakinagene taroretcel-lwey(製品名:Encelto)」がAlconの網膜疾患ポートフォリオに加わった。買収額の5億5,000万ドルに加え、商用マイルストーンの達成に応じた潜在的な条件付き支払いが発生する可能性がある。
技術・詳細
Enceltoは、Neurotech社が開発したカプセル化細胞療法プラットフォームに基づいている。この治療法は、治療用タンパク質を産生するように遺伝子操作された同種網膜色素上皮細胞を含む、小型の半透膜カプセルを用いる。このデバイスを硝子体内に外科的に植え込むことで、組換えヒト脈絡膜神経栄養因子(CNTF)が持続的に放出され、網膜細胞を保護し光受容体の喪失を軽減させる仕組みとなっている。
本剤の承認根拠となった2つのランダム化偽薬対照第3相試験(NTMT-03-AおよびNTMT-03-B)では、計228名の参加者を24ヶ月間追跡した。主要評価項目である楕円状帯(ellipsoid zone)の喪失率において、以下の結果が得られた。
- NTMT-03-A:治療群 0.075 mm²に対し、偽薬群 0.166 mm²(差:-0.091 mm²、p<.001)
- NTMT-03-B:治療群 0.111 mm²に対し、偽薬群 0.160 mm²(差:-0.049 mm²、p=.02)
米国国立眼科研究所(NEI)は、これらの結果がそれぞれ54.8%および30.6%の喪失抑制に相当すると報告している。なお、読書速度や網膜感度の結果については、2つの試験間で混在していた。
背景・業界の文脈
MacTelは成人に発症する両側性の神経変性網膜疾患であり、局所的な網膜変性、中心視力の漸進的な喪失、および網膜血管の二次的変化を引き起こす。Alconの推定によれば、米国で約25,000人の患者が診断されており、毎年2,000〜3,000人の新規患者が発生している。Enceltoが登場するまで、この疾患に対するFDA承認治療薬は存在せず、極めて高い未充足の医療ニーズがあった。
今後の展望
Alconは、本買収が2027年のコア1株当たり利益をわずかに希薄化させるが、その後は利益に寄与すると予想している。現在は米国でのみ利用可能だが、Alconのグローバルな展開力と臨床専門知識を組み合わせることで、より多くの患者へのアクセス拡大を目指す。一方で、第3相試験の2例目で治療効果が縮小した点や、機能的アウトカムが一貫して有意ではなかった点、また外科的植え込みが必要であるため、普及における課題が残っている。なお、米国以外の承認申請スケジュールや条件付き支払いの具体的な金額は開示されていない。
元記事: https://www.biopharminternational.com/view/alcon-550-million-neurotech-mactel-cell-therapy
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