燃料電池触媒|名古屋大学が開発した窒素ドープグラフェンによる白金耐久性の向上

Nagoya University 日本
概要
名古屋大学の研究チームが、白金ナノ粒子を窒素ドープグラフェンシェルで包み込み、単層カーボンナノチューブで支持した革新的な燃料電池用触媒を開発しました。この触媒は、30,000サイクルの加速耐久性試験後も白金活性表面積の96.9%を維持し、電圧低下を22.8ミリボルトに抑える高い耐久性を実証しています。高価な白金の使用量を削減しつつ性能を維持できるため、商用車や公共交通機関への水素エネルギー技術の普及を加速させる可能性があります。
詳細

主要成果

名古屋大学の研究チームは、燃料電池の触媒性能と耐久性を大幅に向上させ、かつ高価な白金の使用量を削減できる可能性を持つ新しい触媒材料を開発しました。開発された触媒は、白金ナノ粒子を窒素ドープグラフェンのシェルでカプセル化し、さらに腐食に強い単層カーボンナノチューブ(SWCNT)で支持した構造を持っています。

性能評価において、本触媒は1グラムあたり96.3平方メートルの白金活性表面積を記録し、市販の触媒が示す60.6平方メートルを大きく上回りました。また、加速耐久性試験では30,000サイクル後も活性表面積の96.9%を保持し、電圧低下はわずか22.8ミリボルトにとどまりました。さらに、高電圧サイクリング試験においても、カーボン支持体の腐食に対する強い耐性が確認されています。

技術・詳細

本技術の核心は、窒素を含む保護的なグラフェンシェルと単層カーボンナノチューブの組み合わせにあります。窒素ドープグラフェンシェルは、白金と相互作用することで酸素含有分子との反応性を調整し、白金ナノ粒子を保護しながら触媒活性を維持する役割を果たします。

また、支持体として採用された単層カーボンナノチューブは、構造的な耐久性を提供するだけでなく、白金粒子の移動を制限する効果があります。これにより、触媒の活性表面積を減少させる原因となる「粒子の凝集(粒子が合体して大きくなる現象)」を抑制することに成功しています。

背景・業界の文脈

燃料電池は、水素の化学エネルギーを直接電気に変換し、副産物として水のみを排出するため、大型車両や公共交通機関などのクリーンエネルギー技術として期待されています。しかし、実用化への大きな壁となっているのが、触媒に使用される白金のコストと耐久性の問題です。

従来の触媒では、運転に伴う白金粒子の凝集や、カーボン支持体の腐食によって徐々に効率が低下することが課題となっていました。これらの劣化を防ぎつつ、コストの高い白金の使用量を減らすことが、燃料電池の広範な普及には不可欠とされています。

今後の展望

研究チームは今後、白金の使用量をさらに削減しながら性能を向上させることを目標としています。これにより、燃料電池の製造コストを低減させ、水素ベースのクリーンエネルギー技術がより広く社会に導入されることを目指しています。

元記事: https://www.biocatalysiscongress.com/news/platinum-in-fuel-cells-lasts-longer-with-nitrogen-enhanced-graphene-wrapper/

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