主要成果
トヨタが開発した「Hilux FCEV」のプロトタイプは、ディーゼル車やBEVに代わる代替手段として、実用的な走行性能と環境性能を両立させている。走行試験では、騒音や振動が少なく、加速が非常にスムーズであるという評価を得ている。また、燃料電池の化学反応により排出ガスは一切なく、水のみを排出する仕組みとなっている。
技術・詳細
本車両は「Mirai」で採用されているFCEVシステムをベースに構築されており、具体的な構成は以下の通りである。
- パワートレイン:フロントに燃料電池システム、冷却システム、制御ユニットを配置。リアアクスル上に134 kW (182 hp) の出力と最大トルク 300 Nm を発生させる電気モーターを搭載している。
- エネルギー貯蔵:シャシー中央に700 barの圧力に耐えるカーボンファイバー製タンクを3基搭載し、水素 7.8 kg を貯蔵。また、容量 1.2 kWh 以上の小型バッテリーを併設している。
- 走行性能:航続距離は最大 650 km に達する。プロトタイプは後輪駆動(RWD)仕様だが、量産モデルでは四輪駆動(4WD)を搭載する計画である。
- 足回り:従来のディーゼル仕様のリジッドアクスルとは異なるリアサスペンション構成を採用しており、路面からの衝撃吸収性と快適性が向上している。
背景・業界の文脈
トヨタは、カーボンニュートラルの実現に向けて、BEVのみならずHEV、PHEV、e-fuels、バイオ燃料、そして水素という「マルチパスウェイ(多角的アプローチ)」戦略を推進している。水素分野では、本車両のようなFCEVだけでなく、GR Corolla H2 Conceptに代表される水素エンジン車(H2 ICE)の開発も並行して行っている。また、燃料電池技術の適用範囲を乗用車以外に広げ、バス(CaetanoBus社製)やトラック、船舶への展開も進めている。
今後の展望
今後の量産化における最大の焦点は、燃料電池システムのコスト低減である。トヨタはBMWと共同で第3世代燃料電池システムの開発に取り組んでおり、これにより航続距離の向上と大幅な価格抑制を目指している。コスト削減の試算では、年産10万ユニット体制で約37%、年産20万ユニット体制では最大50%のコスト低減が見込まれている。これらのコストダウンが実現すれば、BEVに対する競争力が高まり、Hilux FCEVの市販化に向けた決定的な要因になると期待される。
元記事: https://www.autotecnica-subaru.co.uk/13-709517972-toyota-hilux-fcev-driving-the-hydrogen-pick-up/
毎週の技術動向レポートを無料でお届け
各分野の分析レポートを読む価値があるかどうか一目で判断できるインフォグラフィックをメールで受け取れます。
📢 メールマガジンに無料登録(週刊・技術動向レポート)
ご登録いただくと、Troy-Technical から週刊で技術動向レポート(メールマガジン)をお届けします。
- 取得したメールアドレス・選択分野は配信目的にのみ使用します。
- 第三者へ提供することはありません。
- 配信はいつでも解除できます(各メール下部のリンクから)。
詳しくはプライバシーポリシーをご覧ください。
登録は1分・いつでも解除できます



