全固体電池|EVE Energyと奇瑞汽車、製品公開と2027年の量産ロードマップ

Shanghai Metals Market (SMM) 中国
概要
EVE Energyと奇瑞汽車(Chery Automobile)が、全固体電池の最新開発成果を相次いで公開した。EVE Energyは体積エネルギー密度1,045 Wh/Lを達成した脳コンピュータインターフェース(BCI)向け電池を、奇瑞汽車は2027年の生産開始を目指す試作ラインとパック製品を発表した。これにより、中国の全固体電池開発が技術検証からエンジニアリング検証の段階へ移行していることが明確になった。
詳細

主要成果

2026年10月20日、EVE Energyと奇瑞汽車がそれぞれ全固体電池の重要なマイルストーンを達成した。EVE Energyは、体積エネルギー密度1,045 Wh/Lを実現した全固体電池「Longquan No. 3 2.0」を公開した。一方、奇瑞汽車は2026年グローバル・イノベーション・カンファレンスにおいて、全固体電池「Kunpeng S」の試作生産ラインのロードマップを提示し、2027年の生産開始を予定している。また、その前日の10月19日には、全固体電池パック「Rhino」がラインオフし、初披露された。

技術・詳細

EVE Energyの「Longquan No. 3 2.0」は、直径23mm、厚さ4mmのチタンケース入りコインセルを採用したアノードレス(無負極)設計の製品である。本製品は、極めて厳格な体積、安全性、長期安定性が求められる埋め込み型脳コンピュータインターフェース(BCI)向けに特化している。アノードレス設計は、従来の負極活物質を排除し、リチウムイオンを集電体(銅箔など)に直接析出させる手法であり、体積効率を極限まで高められる一方、リチウムデンドライト(樹状結晶)による短絡や、反応に関与できなくなる「デッドリチウム」の蓄積によるサイクル寿命の低下という技術的課題を伴う。

奇瑞汽車の取り組みは、システム統合レベルへの進展を示している。「Rhino」パックの完成は、セルをパックに統合し、熱管理や構造安全、BMS(バッテリー管理システム)への適応がなされたことを意味する。また、2027年稼働予定の「Kunpeng S」試作ラインは、車載グレードの整合性を備えたセルの製造能力を検証するためのものである。

背景・業界の文脈

EVE Energyは、車載用とは異なる「ニッチ市場からの検証」という戦略を採っている。同社は既に車載向けの60 Ah全固体電池「Longquan No. 4」をラインオフさせており、5 MPa以下の圧力でサイクル動作が可能であることを確認している。あえてBCI向け製品を先行させたのは、コスト許容度が高く安全性の比重が大きい小規模市場で製造プロセスを完結させ、その知見を後の車載製品のインターフェース制御やパッケージングにフィードバックするためである。同社は既に京宇医療(Jingyu Medical)や四川省人民病院と戦略協定を締結し、研究開発から臨床応用までのチェーンを構築している。

今後の展望

今後の量産スケジュールについて、EVE Energyは2026年にエネルギー密度350 Wh/kg、体積密度800 Wh/Lの全固体電池1.0を投入し、2028年には1,000 Wh/Lを超える2.0製品へ進展させる計画である。奇瑞汽車は、2026年第4四半期に固体・液体のハイブリッド電池を車両に搭載し、2027年から全固体電池の車両実証を開始するとしている。両社の動向は、全固体電池が単なる技術コンセプトから、具体的な製品形態を伴うエンジニアリング検証段階に入ったことを示唆している。

元記事: https://news.metal.com/en/newscontent/104173879-solid-state-batteries-under-the-2027-consensus-eve-energy-and-chery-two-representative-players-unveil-products

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