主要成果
ペロブスカイト/シリコン(Si)タンデム太陽電池において、共蒸着法による組成制御を用いることで、エネルギー変換効率30.93%を達成しました。また、耐久性試験においても極めて高い安定性を示しており、窒素雰囲気下で1sunの光照射による最大電力点追従(MPPT)を1,820時間継続した後でも、初期性能の90%を保持しています。
技術・詳細
本研究では、溶媒を使用しない「共蒸着法」を採用し、界面の垂直方向における組成変調を実現しています。具体的には、以下の構成を構築しました。
- 2D/3Dシード層: フォームアミジニウムヨウ化物(FAI)を豊富に含む、混合2次元/3次元(2D/3D)構造のシード層を形成。
- 吸収層: 化学量論的なワイドバンドギャップ吸収層をその上に配置。
低線量の原子分解能透過電子顕微鏡(TEM)による解析の結果、2D/3Dシード層内およびシード層と吸収層の界面において、連続的なコーナー共有鉛ハライド八面体接続(corner-sharing lead-halide octahedral connectivity)が確認されました。この「ネイティブ陽イオンアーキテクチャ」により、従来の2Dパッシベーションで用いられていた嵩高い有機陽イオンによる電荷輸送の阻害を回避し、効率的な面外キャリア輸送を可能にしています。また、この構造はフォームアミジニウムやハロゲン空孔の形成、光誘起の相分離、および光キャリア介在の酸化還元反応を抑制する効果があります。
背景・業界の文脈
ペロブスカイト/シリコンタンデム太陽電池は、次世代のフォトボルタイクスとして非常に有望視されています。しかし、埋没界面(buried interfaces)における欠陥、移動イオン、光キャリアの蓄積と相互作用による劣化が、長期動作における大きなボトルネックとなっていました。一般的に広く利用されている溶液プロセスでは、後続の層を堆積させる際に下層の材料が溶解したり再構成されたりするため、界面を精密に制御することが困難であるという課題がありました。
今後の展望
今回の結果は、共蒸着法がペロブスカイト光電子デバイスにおいて、組成の進化をプログラムし、結晶成長、欠陥、およびキャリア輸送を制御するためのユニークな能力を持つことを証明しています。溶媒フリーのプロセスで界面の組成を精密に制御し、安定性と効率を同時に向上させた本手法は、タンデム太陽電池の実用化に向けた重要なアプローチになると期待されます。
元記事: https://doi.org/10.21203/rs.3.rs-11237567/v1
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