ナノ銀焼結|シアネートエステル複合材への直接接合、強度と信頼性の検証

Research Square (preprint, Europe PMC)
概要
非金属化されたシアネートエステル複合材基板へ、パワーチップを低温ナノ銀焼結で直接接合する手法の実現性が示されました。最大せん断強度は11.5 MPaに達し、600時間の高温エージング後も強度の低下は約19%に留まり9.3 MPaを維持しています。これにより、軽量で熱安定性が高く低誘電率なポリマー複合材とパワーチップを統合する有望なルートが提示されました。
詳細

主要成果

研究の結果、非金属化されたシアネートエステル複合材基板上に、低温ナノ銀焼結を用いてパワーチップを直接接合することが可能であることが実証されました。この接合部は最大で11.5 MPaのせん断強度を達成しています。また、長期的な信頼性の検証として600時間の高温エージング試験を行ったところ、せん断強度は9.3 MPaを維持しており、強度の低下は約19%という低い水準に抑えられました。

技術・詳細

本手法では、ナノ銀粒子が複合材の表面で合体し、機械的に結合した不均一界面を形成することで接合を実現しています。焼結条件による気孔率(ポロシティ)の変化についても検証されており、15 MPaで15分間焼結した際の焼結銀層の気孔率は10.1%でしたが、圧力を20 MPaに高めることで気孔率は6.5%まで低下することが確認されました。

接合部の破壊モードについては、時間の経過とともに変化することが明らかになりました。初期段階では銀層と複合材の界面での分離が主でしたが、エージングが進むにつれて、複合材基板内部での亀裂や剥離へと移行しました。

背景・業界の文脈

パワーチップの実装において、軽量化、熱安定性の確保、および低誘電率の実現は重要な課題です。シアネートエステル複合材はこれらの特性を備えたポリマー複合材であり、ここにパワーチップを直接統合できれば、デバイス全体の性能向上と軽量化に寄与します。通常、ポリマー基板への接合には金属化処理が必要となる場合がありますが、本研究は非金属化基板への直接接合というアプローチを採っています。

今後の展望

本研究により、非金属化シアネートエステル複合材への低温ナノ銀接合の実現性が証明されました。一方で、長期的な接合信頼性における主要な制限要因は、接合界面そのものではなく、基板側の熱劣化であることが特定されました。今後は、この基板の熱劣化をいかに抑制し、さらなる信頼性向上を図るかが、実用化に向けた焦点になると考えられます。

元記事: https://doi.org/10.21203/rs.3.rs-11259596/v1

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