主要成果
SpaceBlastは、宇宙空間でAIを稼働させ、取得したデータをその場で処理・軽量化して地上へ送信する仕組みの実現を目指している。その中核となるのが、手のひらサイズのコンピュータ「TENEDGE CORE」と、基盤となるデータ処理技術「TENEDGE」である。この技術により、メガバイト級の生データをキロバイト級のメタデータに加工して地上に送ることが可能になる。
技術・詳細
TENEDGEは、衛星上のエッジコンピュータで小型言語モデル(SLM)を動作させ、必要な情報だけを抽出する技術である。ハードウェアであるTENEDGE COREは、以下の特性を備えている。
- 演算性能:1機あたり60TOPS(1秒当たり60兆回の演算)程度。
- 耐環境性:放熱性の高い素材の採用に加え、メモリやラッチ回路にエラー検出・修復機能を組み込むことで、宇宙線(放射線)による誤作動を防ぎ、可用性を高めている。
- サイズ:手のひらに収まる小型設計。
将来的には「TENEDGE SPACE AI CLOUD」として、地上からLLM(大規模言語モデル)を通じて指示を出し、宇宙側のSLMがそれに沿ってデータを加工する仕組みも検討されている。
背景・業界の文脈
現在、衛星が撮影する画像などのデータ容量は非常に大きく、高速で周回する衛星から限られた回線を用いて地上にデータを転送することには困難が伴う。また、宇宙開発の加速に伴い、宇宙空間にデータセンターを設置する構想が現実味を帯びている。SpaceBlastの取り組みは、こうした通信帯域の制限という課題を、宇宙側でのエッジ処理(エッジコンピューティング)によって解決しようとするものである。同社は2026年2月にJAXAの支援基金事業に採択されており、その支援の一環として本開発が進められている。
今後の展望
同社は2031年度までの採択期間内に技術開発と実証を終え、商用化に向けた顧客開拓を進める計画である。実証実験として、少なくとも2回の衛星搭載および宇宙ステーションへの搭載を予定している。また、宇宙空間以外にも、南極や高山などの極限環境での利用も視野に入れている。
さらに、軌道上に複数のエッジコンピュータを展開して「宇宙データセンター」として運用し、建設、都市開発、農業向けの効率的な衛星画像取得に活用する構想を持つ。加えて、月面測位システムとAIによるデータ軽量化を組み合わせることで、月面ローバーの位置や観測状況をリアルタイムに把握させる月面データセンターの運用にも期待を寄せている。
元記事: https://www.itmedia.co.jp/news/article/2610/22/2000002510/
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