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InterBattery|全固体電池 機関解説

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INSTITUTION PROFILE / 全固体電池

InterBattery
― 韓国の電池メーカーが全固体電池の計画を「見せる場」

InterBatteryは韓国・ソウルで毎年開かれる電池の展示会です(近年は3月開催)。政府機関でも規格団体でもなく、 お金を配ったり、ルールを決めたりする権限はありません。 それでも本シリーズに登場するのは、サムスンSDI・LGエナジーソリューション・SKオンといった韓国の電池メーカーが、 全固体電池のロードマップや試作品を初めて公開する場として使っているからです。 本稿では、この展示会が全固体電池にどこまで影響を持つのかを、過大評価しないように整理します。

構成:InterBatteryの公式サイト(開催概要・過去の開催実績・欧州版・公式掲示板に掲載された主催者と出展企業の発表)、主管団体である韓国バッテリー産業協会の公式サイト、サムスンSDIの公式ニュースリリースを一次情報として使用/最終更新 2026年9月

この記事でわかること
  1. 30秒でわかるInterBattery
  2. どんな機関か ― 影響力の「型」
  3. 全固体電池で何が起きている場か
  4. 影響力の範囲(権限と地域)
  5. 関わっている企業・組織
  6. 今後の見通し
  7. 用語集/出典/主張と出典の対応表

1. 30秒でわかるInterBattery

正式名称InterBattery(인터배터리)韓国語では「インターバッテリー」。欧州版は InterBattery Europe
国・地域韓国(ソウル)会場はCOEX。欧州版はドイツ・ミュンヘン
機関の種類電池の展示会政府機関でも、規格団体でも、業界団体そのものでもない
主催・主管主催 韓国の産業通商部
主管 韓国バッテリー産業協会・COEX・KOTRA
2026年の表記。事務局はCOEX内
始まり2013年2026年が14回目
規模(2026年)出展667社・2,382ブース来場者77,250人(うち海外1,367人)
全固体電池への関与発表と情報が集まる場出展企業がロードマップや試作品を公開する
持っていない権限資金・規制・規格のすべて研究費も補助金も出さず、基準も決めない
まず押さえるべき1点

InterBatteryは政府機関でも規格団体でもなく、展示会です。 本シリーズでは記事のタグ付けで「機関」に分類されたため取り上げていますが、NEDOや経済産業省のような権限は何も持っていません。 影響力はただ1つ、韓国の電池メーカーが全固体電池の計画を発表する「舞台」になっていることです。 たとえばサムスンSDIは、900Wh/Lの全固体電池の量産ロードマップをInterBattery 2024で初めて公開しました 事実。 つまり、ここで出てくる数字は各社の発表であり、展示会が確かめた数字ではありません。

2. どんな機関か ― 影響力の「型」

全固体電池の記事に出てくる「機関」は、企業と違って自分では電池を作りません。 その代わりに、どういう経路で業界に影響を与えるかで4つの型に分けられます。

全固体電池を動かす「機関」の4つの型 機関は自分では電池を作らない。どの経路で業界に影響を与えるかで4つに分かれる 資金を出す 政策・規制を決める 標準を決める 場をつくる 研究開発に予算を配る 戦略・補助金・法律 試験方法・安全要求 展示会・業界団体 NEDO/DOE 経済産業省/DOE IEC InterBattery 何を研究させるか 何を国内で作らせるか どう測り、どう比べるか 誰が誰に会うか 届く範囲=自国の予算 届く範囲=自国の領域 届く範囲=加盟国 届く範囲=参加者 InterBatteryは右端の「場をつくる」型。権限は持たず、発表と商談が集まることが影響力になる 同じ全固体電池でも、どの型の機関かによって影響の届き方がまったく違う
図1 全固体電池に関わる機関の4つの型と、InterBatteryの位置。区分は本稿によるもので、機関名は本シリーズで扱う5機関から例示しています 本稿の計算。InterBatteryは5機関のうち唯一、権限を持たない「催し」です。

3. 全固体電池で何が起きている場か

InterBattery自身は全固体電池について何も決めません。起きているのは、出展企業が自社の全固体電池を発表することです 事実。一次情報で確認できた主な発表は次のとおりです。

回出展企業全固体電池について発表した内容発表者
InterBattery 2024
(2024年3月6〜8日)
サムスンSDI業界最高とうたう900Wh/Lの全固体電池の量産準備ロードマップを初公開サムスンSDIの公式リリース
InterBattery 2026
(2026年3月11〜13日)
SKオン次世代電池の紹介として硫化物系全固体電池(1,000Wh/L級)、高分子・酸化物の複合系電池、リチウム金属電池を展示すると発表SKオン(公式サイトの掲示板に掲載)
InterBattery 2026LGエナジーソリューションロボット向けの全固体電池技術と、全固体電池を含む次世代電池の開発状況を公開すると発表LGエナジーソリューション(同上)
InterBattery 2026主催者(産業通商部)次世代技術の戦略として全固体電池とナトリウム電池、シリコン負極材などを議論の主題に挙げた産業通商部の報道資料(同上)

※2026年の3件は、会期前に各社・主催者が「公開する予定」として出した発表で、展示会場で実際に何が示されたかを主催者が記録したものではありません。展示内容の数値(1,000Wh/L級など)は各社の自己申告です。

素材技術者の視点:何を読み取る場か

展示会での発表は、査読も第三者の検証もない「各社の見せ方」です。一方で、会期に合わせて 量産時期や目標のエネルギー密度が初めて数字で出てくることがあり、サムスンSDIの900Wh/Lがその例です。 材料を供給する立場から見ると、InterBatteryは韓国の電池3社がどの方式(硫化物系など)を前面に出しているかを 1か所で見比べられる場です。さらに2026年には、韓国の電池3社の購買担当者が参加する 素材・部品・装置企業との購買相談会が主催者の報道資料に書かれており、 韓国の電池サプライチェーンへの入口にもなっています 事実。

4. 影響力の範囲(権限と地域)

観点InterBatteryが持っているもの持っていないもの
権限出展・講演・表彰(InterBattery Awards)の場を運営すること研究資金を配る権限、補助金、規制、安全基準、規格を決める権限。どれも持っていない
影響の経路出展企業がロードマップや試作品を公開する舞台になり、報道・投資家・顧客の目に触れる。購買相談会や海外バイヤー向けの商談会で取引の入口をつくる発表内容を検証する仕組み。発表どおりに量産させる力
地域主に韓国。2026年は14か国の政府・研究機関・企業が参加。2023年からはドイツ・ミュンヘンで欧州版も開催来場者の大半は韓国国内。海外からの来場者は2026年で1,367人(全体の約1.8%)
規模出展667社・2,382ブース・来場者77,250人(2026年)職員数(事務局の人数は公表されていない)、全固体電池に関連する出展社の数
数字の読み方の注意

77,250人は展示会全体の来場者数で、全固体電池に関心のある人の数ではありません。 また、欧州版の「来場者115,000人」(2025年)は、同時開催の The smarter E Europe と区別されずに公式サイトに載っている数字で、 欧州版の出展は93社・235ブースにとどまります 事実。 欧州版の来場者のうちInterBatteryのブースを訪れた人数は公表されていません 未確定/将来。

開催規模の推移(ソウル)

回出展社ブース来場者うち海外
2023年477社1,36061,787人1,261人
2024年579社1,89670,508人1,280人
2025年688社2,33077,102人1,215人
2026年667社2,38277,250人1,367人

※数字はすべて公式サイトの過去開催の実績ページによる 事実。2026年は出展社数が前年より減った一方、ブース数と来場者数は増えています。

5. 関わっている企業・組織

InterBatteryをつくる側と、全固体電池を発表する側 展示会は「場」を用意するだけ。全固体電池の中身を決めて発表するのは出展企業 主催:産業通商部 韓国政府の省 主管:韓国バッテリー産業協会 2011年設立の業界団体 主管:COEX・KOTRA 会場の運営会社・貿易振興機関 InterBattery(ソウル・COEX) 2026年:出展667社・来場者77,250人 サムスンSDI 2024年 900Wh/Lの量産準備 ロードマップを初公開 SKオン 2026年 硫化物系全固体電池 (1,000Wh/L級)を紹介 LGエナジーソリューション 2026年 ロボット向けの 全固体電池技術を公開 数値はすべて各社の発表。InterBatteryの主催者が性能を確かめたものではない
図2 InterBatteryの主催・主管と、全固体電池を発表した出展企業。出典:InterBattery公式サイトの過去開催の実績ページと公式掲示板(産業通商部・SKオン・LGエナジーソリューションの発表)、サムスンSDIの公式ニュースリリース。出展企業は本シリーズの企業解説がある3社から、一次情報で全固体電池の発表を確認できたものを本稿が選びました 本稿の計算。
組織InterBatteryとの関係このシリーズとの関係
産業通商部(韓国政府)主催。2025年までの表記は産業通商資源部。開幕式で次官が支援策に言及本シリーズでは扱っていない
韓国バッテリー産業協会(KBIA)主管。2011年11月に「韓国電池産業協会」として会員43社で設立。2013年10月に第1回InterBatteryを開催本シリーズでは扱っていない
COEX・KOTRA主管。事務局はCOEX内に置かれている本シリーズでは扱っていない
サムスンSDI主要出展企業。2024年に全固体電池の量産準備ロードマップを初公開サムスンSDIの企業解説
SKオン主要出展企業。2026年に硫化物系全固体電池を紹介SKオンの企業解説
LGエナジーソリューション主要出展企業。2026年に全固体電池を含む次世代電池の開発状況を公開LGエナジーソリューションの企業解説

※韓国バッテリー産業協会の会員検索では、役員企業としてポスコフューチャーエム、LGエナジーソリューション、サムスンSDI、SKオンなどが並んでいます 事実。つまり展示会を運営する業界団体と、主要な出展企業はほぼ同じ顔ぶれです。協会の現在の会員社数は公式サイトに総数の記載がありません。

6. 今後の見通し

読み取れること根拠となる一次情報区分
韓国の電池3社の全固体電池の新しい数字(量産時期・エネルギー密度)は、今後も3月のInterBatteryに合わせて出てくる可能性が高い2024年のサムスンSDI、2026年のSKオン・LGエナジーソリューションが、会期に合わせて全固体電池の発表を出している。次回は2027年3月10〜12日の予定推測
全固体電池はEV向けだけでなく、ロボットなどの新しい用途の文脈で展示される傾向が強まる2026年の主催者の報道資料が防衛・ロボット・都市航空交通(UAM)での活用を挙げ、LGエナジーソリューションはロボット向けの全固体電池技術を出すと発表している推測
展示会としての影響力が及ぶのは主に韓国の電池サプライチェーンで、欧州版の存在感は限定的なままソウルの海外来場者は約1.8%。欧州版は2025年に93社の出展で、2026年は1年の間隔を置いて再開すると公式サイトが書いている推測

7. 用語集

主催・主管
韓国の催しでよく使う区分。主催(주최)は名義上の責任者、主管(주관)は実際の運営を担う組織。
韓国バッテリー産業協会(KBIA)
韓国の電池メーカーや材料・装置メーカーでつくる業界団体。2011年に「韓国電池産業協会」として設立。
COEX
ソウル・江南区にある大型の展示・会議施設、およびその運営会社。
KOTRA
大韓貿易投資振興公社。韓国企業の輸出や海外バイヤーとの商談を支援する政府系機関。
硫化物系全固体電池
固体電解質に硫黄を含む化合物を使う全固体電池。イオンが動きやすい一方、水分に弱い材料が多い。
電池展示会で全固体電池の試作品と製造技術が共有される様子の概念図AI生成の概念図
図3 InterBatteryが、電池メーカーや材料・装置企業の全固体電池技術を社会に見せる「場」として機能する様子の概念図(AI生成による概念図。実際の施設、装置、製品を写したものではありません)。

8. 出典

  1. InterBattery(公式サイト) 「Previous Show」。2013年以降の各回の会期・会場・主催(Host)・主管(Organizers)・出展社数・ブース数・来場者数と海外来場者数、主な出展企業。 https://www.interbattery.or.kr/sub-1-5
  2. InterBattery(公式サイト) 「Show Overview」。次回(2027年3月10〜12日、COEX)の会期と想定規模、展示品目。 https://www.interbattery.or.kr/sub-1-1
  3. InterBattery(公式サイト) 「InterBattery Worldwide」。欧州版の設立(2023年、ドイツ)、2023〜2025年の会期・会場・出展社数・ブース数・来場者数、併催展示会、2026年の再開。 https://www.interbattery.or.kr/sub-1-6
  4. 産業通商部(InterBattery公式掲示板に掲載) 報道資料「『インターバッテリー2026』開催」(2026年3月10日)。14回目、14か国667社の参加、全固体電池とナトリウム電池などの次世代技術戦略、電池3社の購買担当者による購買相談会。 https://www.interbattery.or.kr/boards/42/4503
  5. SKオン(InterBattery公式掲示板に掲載) 「SKオン、電気自動車を超えて領域拡大を本格化」(2026年3月2日)。硫化物系全固体電池(1,000Wh/L級)などの次世代電池の紹介。 https://www.interbattery.or.kr/boards/42/4475
  6. LGエナジーソリューション(InterBattery公式掲示板に掲載) 「LGエナジーソリューション『インターバッテリー2026』参加」(2026年3月2日)。ロボット向けの全固体電池技術と、全固体電池を含む次世代電池の開発状況の公開。 https://www.interbattery.or.kr/boards/42/4474
  7. サムスンSDI 公式ニュースリリース「SAMSUNG SDI to Present Essence of Super-Gap Battery Technology at InterBattery 2024」(2024年3月5日)。900Wh/Lの全固体電池の量産準備ロードマップを初公開。 https://www.samsungsdi.com/sdi-now/sdi-news/3522.html
  8. 韓国バッテリー産業協会(KBIA) 「沿革」。2011年11月に韓国電池産業協会として会員43社で設立、2013年10月に第1回InterBatteryを開催。 https://www.k-bia.or.kr/openIntroHistroy.do
  9. 韓国バッテリー産業協会(KBIA) 「会員社検索」。役員企業(ポスコフューチャーエム、LGエナジーソリューション、サムスンSDI、SKオンなど)。 https://www.k-bia.or.kr/openMemberInfo.do

9. 主張と出典の対応表

本文の主張区分出典
主催・主管、2013年からの開催、2023〜2026年の出展社数・ブース数・来場者数・海外来場者数、主な出展企業事実出典1 https://www.interbattery.or.kr/sub-1-5
次回の会期(2027年3月10〜12日)と会場、事務局がCOEX内にあること事実出典2 https://www.interbattery.or.kr/sub-1-1
欧州版の設立年・会場・2025年の93社・235ブース・115,000人、併催展示会、2026年の再開事実出典3 https://www.interbattery.or.kr/sub-1-6
2026年が14回目、14か国の参加、全固体電池を含む次世代技術戦略、購買相談会、防衛・ロボット・UAM事実出典4 https://www.interbattery.or.kr/boards/42/4503
SKオンの硫化物系全固体電池(1,000Wh/L級)の紹介事実出典5 https://www.interbattery.or.kr/boards/42/4475
LGエナジーソリューションのロボット向け全固体電池技術と次世代電池の開発状況の公開事実出典6 https://www.interbattery.or.kr/boards/42/4474
サムスンSDIがInterBattery 2024で900Wh/Lの全固体電池の量産準備ロードマップを初公開事実出典7 https://www.samsungsdi.com/sdi-now/sdi-news/3522.html
韓国バッテリー産業協会の設立(2011年11月・会員43社)と第1回InterBattery(2013年10月)事実出典8 https://www.k-bia.or.kr/openIntroHistroy.do
協会の役員企業に電池3社が並ぶこと事実出典9 https://www.k-bia.or.kr/openMemberInfo.do
機関の4つの型の区分、関係図に載せる出展企業の選定、海外来場者の比率(1,367÷77,250=約1.8%)本稿の計算本稿による整理(出典1の数値から計算)
事務局の職員数、全固体電池に関連する出展社の数、欧州版のInterBattery単独の来場者数、協会の会員社数未確定/将来出典1〜9に記載なし。本稿では推計しない
第6章の見通し3項目推測出典1〜7の開催実績と発表内容からの本稿の解釈

最終更新:2026年9月23日/Troy Technical
本稿の数値はInterBatteryの公式サイト、主管団体である韓国バッテリー産業協会の公式サイト、出展企業の公式発表に基づきます。出展企業の性能値は各社の自己申告で、展示会の主催者が検証したものではありません。「推測」と記した箇所は、一次情報から本稿が読み取った解釈です。