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Stellantis|全固体電池 企業解説

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COMPANY PROFILE / 全固体電池

ステランティス
― 液系電池の合弁を次々にたたむ一方で、全固体電池だけは前に進めている

全固体電池でステランティスの名前が挙がるのは、 2021年に米Factorialへ7,500万ドルを出資し、 2026年6月にDodge Charger Daytonaの開発車に全固体電池セルを載せて公道試験を始めたからです。 一方で同社は2025年に、LGエナジーソリューションとの電池合弁から撤退し、 欧州の電池合弁ACCへの出資を全額減損しています。 液系をたたみながら全固体電池だけを残したという、この分野では珍しい構図です。 本稿では自動車事業の規模は最小限にとどめ、全固体電池に何を投じ、誰と組み、何を目指しているかに絞ります。

構成:ステランティスが米国SECに提出した2025年12月期 Form 20-F(2026年2月26日提出)、同社の公式プレスリリース、およびFactorial Energy社の米国SEC提出書類を一次情報として使用/最終更新 2026年9月

この記事でわかること
  1. 30秒でわかるステランティスと、全固体電池での立ち位置
  2. ロゴと社名の表記について
  3. 全固体電池の世界で、この会社はどこにいるか
  4. 会社の規模(自動車事業は簡潔に)
  5. 全固体電池にかけているリソース
  6. これまでの取り組み
  7. 今後の計画
  8. この会社は全固体電池で何を目指しているか
  9. 全固体電池分野の提携マッピング
  10. 採用している技術方式
  11. この企業が抱えるリスク
  12. 用語集/出典/主張と出典の対応表

1. 30秒でわかるステランティスと、全固体電池での立ち位置

正式名称Stellantis N.V.2021年にFCAとPSAが統合して発足
本社オランダ・
アムステルダム
20-F記載の登記上の本店
上場NYSE: STLA
Milan/Paris
Euronext Milan STLAM/Paris STLAP
この分野での区分自動車メーカー
(出資型)
セルは自社で作らない
出資先Factorial
(米Nasdaq: FAC)
2021年に7,500万ドル
検証済みのセル性能375Wh/kg
77Ah
2025年4月に両社が公表
実証車Dodge Charger
Daytona
2026年6月に公道試験を開始
20-Fでの言及なし法定開示に全固体電池の記載はない
まず押さえるべき1点

全固体電池に取り組む企業は、大きく自動車メーカー・電池メーカー・スタートアップの3種類に分かれます。 ステランティスはこのうち自動車メーカーで、セルは作らず出資と共同開発で確保する型です 事実。 他社と決定的に違うのは、電池への投資全体を縮めている最中であることです。 2025年、同社はLGエナジーソリューションとの北米の電池合弁NextStar Energyからの撤退を決め、 欧州の電池合弁ACCへの出資を全額減損し、水素燃料電池事業も打ち切りました。 そのなかで全固体電池だけは止まっていません。 ただし、その法定開示である2025年12月期のForm 20-Fには 「全固体電池」も「Factorial」も一度も登場しません。 この落差が、ステランティスを読むときのいちばんの手がかりになります。

2. ロゴと社名の表記について

表記の注意:持株会社は Stellantis N.V.(オランダ法人)で、 Factorialへの出資を持っているのはStellantis Europe S.p.A.(旧FCA Italy S.p.A.、イタリア・トリノ)と Stellantis Ventures B.V. という2つの子会社です。 また、全固体電池を載せた開発車はDodgeブランドの車で、 ステランティスはAbarth・Alfa Romeo・Chrysler・Citroën・Dodge・DS・FIAT・Jeep・Lancia・Maserati・Opel・Peugeot・Ram・Vauxhallなど 多数のブランドを束ねる持株会社です。本稿では必要な箇所で法人名・ブランド名を書き分けます。

公式サイト:https://www.stellantis.com/en

3. 全固体電池の世界で、この会社はどこにいるか

全固体電池に取り組む企業の3つの類型 同じ「全固体電池をやっている会社」でも、立場と狙いがまったく違う 自動車メーカー 電池メーカー スタートアップ 自社の車に載せるために作る 電池を売るために作る 技術を実証し出資を集める ステランティス/VW BMW/メルセデス/トヨタ ほか CATL/Samsung SDI LG Energy Solution/SK On Factorial/QuantumScape Solid Power/ProLogium ほか 量産の出口を自分で持つ 複数の顧客に供給できる 量産設備を自前で持たない 失敗しても車は売れる 採用されないと売れない 資金が尽きると終わる ステランティスは左端だが、2025年に液系電池の合弁を2つとも切り離している 真ん中の電池メーカーとしての足場を縮め、右端のスタートアップへの出資だけを残した形になっている
図1 全固体電池に取り組む企業の3類型と、ステランティスの位置づけ。区分は本稿によるもので、企業名は本シリーズで扱う23社から例示しています 本稿の計算。2025年のNextStar Energyからの撤退決定とACCの全額減損は、同社の2025年12月期Form 20-Fの記載に基づきます。

4. 会社の規模(自動車事業は簡潔に)

自動車事業そのものは本稿の主題ではないので、規模だけを押さえます 事実。数値はいずれも2025年12月期のForm 20-Fからの引用です。

指標(百万ユーロ)2024年12月期2025年12月期
純収益156,878153,508
研究開発費5,78411,145
営業損益(△は損失)3,687△26,254
当期純損益(△は損失)5,520△22,332
項目内容
出荷台数5,415千台(2024年)→ 5,484千台(2025年)
平均従業員数259,118人(2024年)→ 253,654人(2025年)
本社オランダ・アムステルダム(Stellantis N.V.)
上場市場ニューヨーク(NYSE: STLA)、Euronext Milan(STLAM)、Euronext Paris(STLAP)
ここで注意

上の数字は会社全体のものです。全固体電池の事業規模を示す数字ではありません。 それどころか、2025年12月期のForm 20-Fには「全固体電池」も「Factorial」も一度も出てきません 事実。 2025年に研究開発費が57億ユーロから111億ユーロへほぼ倍増していますが、 会社の説明では主因は製品計画の見直しやプロジェクト中止に伴う開発費の償却であり、 全固体電池への投資が増えたからではありません 未確定/将来。 この会社については、法定開示ではなくプレスリリースと、出資先であるFactorial側のSEC提出書類を読むしかありません。

5. 全固体電池にかけているリソース

ステランティスが自ら公表している金額は1つだけです。2021年のFactorialへの出資額7,500万ドル。 それ以外の数字は、2026年に米国で上場したFactorial側の開示から得られます。 本稿では、どちらの開示によるものかを毎回明記します。

リソースの種類公表されている内容区分
外部への出資(金額・時期)2021年にFactorialへ7,500万ドルを出資。ステランティス自身が2024年10月と2025年4月の両方のプレスリリースでこの金額を明記している事実
外部への出資(持分)Factorialの米国上場時点で、Stellantis Europe S.p.A.が8,234,493株、Stellantis Ventures B.V.が435,502株、合計8,669,995株を保有。シリーズA普通株の9.5%、全株式の8.1%にあたる事実(出資先の開示)
外部への出資(追加の貸付)2025年8月の転換社債で、Stellantis Ventures B.V.が200万ドルを引き受け(2025年12月31日時点で全額残高)。同額をメルセデス・ベンツの投資子会社も引き受けている事実(出資先の開示)
外部への出資(ガバナンス)ステランティス関係者がFactorialの取締役に就任。上場前の取締役会にはStellantis Europeの関連会社に雇用されるMichael Bly氏、上場後の取締役会にはStellantis Financial Services CEOのJon K. Nelson氏が名を連ねる事実(出資先の開示)
共同開発契約2025年8月1日付の共同開発契約が、2021年11月20日付の契約を置き換えた。技術目標・マイルストーン・成果物を定め、開発活動を分担する事実(出資先の開示)
自社の設計資産全固体セルを既存の電池パックに収めるための特許取得済みの新しい機械構造をステランティスが設計。制御系とパック設計も作り替えた事実
人(専任人員)全固体電池の専任人員数非公表
金(投資額)出資以外の全固体電池向け開発費・設備投資額非公表
大学・研究機関との連携全固体電池に関する大学との共同研究は、同社の公式資料で確認できなかった確認できず
素材技術者の視点:「既存のパックに入れた」ことの重さ

2026年6月の発表でいちばん技術的に重いのは、 FESTセルを既存の電池パックに、新しい機械構造を使って組み込んだという記述です 事実。 全固体電池を車に載せるとき、ふつうはパックごと新設計になります。 セルが充放電で厚みを変えるので、外から押さえる機構が要り、 その機構が既存のパックの隙間に収まらないからです。

ステランティスはそこを特許を取った機構で解いたと書いています 事実。 メルセデスが空気圧アクチュエータ、BMWが動作圧力の制御と表現している問題に対して、 ステランティスは機械構造という答えを出したことになります。 同社が「FESTは液系リチウムイオン電池の製造工程との親和性が高く、それが規模拡大への重要な道筋になる」と強調しているのも同じ発想で、 作り方も載せ方も、今あるものを大きく変えずに済ませたいという一貫した姿勢が読み取れます。 電池への投資を縮めている会社が全固体電池だけを続けられている理由も、おそらくここにあります。

6. これまでの取り組み

時期できごと意味
2021年Factorialへ7,500万ドルを出資。同年11月20日付で共同開発契約を締結ステランティスが自ら金額を公表した唯一の数字
2024年10月23日STLA Largeプラットフォームの車両による実証フリート計画を発表。先頭はDodge Charger Daytona。2026年までに公道へ。FESTのエネルギー密度は390Wh/kg超と説明STLA Largeは世界で最大200万台を支える設計とされる
2025年4月24日車載サイズのFESTセルの検証に成功と発表。77Ahセルで375Wh/kg、600サイクル超、15%→90%を18分、−30℃〜45℃で動作、最大4C放電セル単体の数値が初めて具体的に公表された
2025年実証フリートの1台目を製作(Factorial側の開示)公道試験の前段階
2025年一方で、LGエナジーソリューションとの電池合弁NextStar Energyからの撤退を決定(16億ユーロの費用)。欧州の電池合弁ACCへの出資を全額減損(5億ユーロ)。水素燃料電池事業も打ち切り液系の自社生産から手を引く動き
2025年8月1日Factorialとの共同開発契約を締結し直す(2021年11月の契約を置き換え)技術目標とマイルストーンを設定し直した
2026年6月11日Dodge Charger Daytona開発車にFESTセルを搭載し、公道試験を開始。ステランティス車への全固体電池搭載は初。北米では自動車として初の統合と説明特許取得済みの機械構造で既存パックに収めた

7. 今後の計画

現在の段階公道試験と
キャリブレーション
パック性能・信頼性・安全性の確認
実証フリート複数段階の
開発車プログラム
2026年6月の車はその1台目
プラットフォームSTLA LargeJeep・Dodge・Chrysler・Alfa Romeo・Maserati
量産時期公表なし量産車種・工場も未公表

会社は、公道試験とキャリブレーションのプログラムによって 充電時・走行時のパック性能と信頼性、および車両安全性をさらに検証すると述べています 事実。 これは「実証フリート」の次の段階ではなく、実証フリートそのものの1台目という位置づけです。

確認できなかったこと

次はいずれも公式資料に記載がありません 未確定/将来。

全固体電池の量産開始年/量産車種/セルを作る工場/ 実証フリートの台数/パック容量(kWh)と車両の航続距離/ Factorialへの追加出資の有無/全固体電池向けの開発費と専任人員数。 2024年10月の発表にあった「2026年までに公道へ」という目標は、 2026年6月に開発車1台の公道試験開始という形で満たされていますが、 フリートの規模については何も公表されていません。 報道ベースの量産時期・台数は本稿では採用しません。

8. この会社は全固体電池で何を目指しているか

ここは会社が直接には述べていない部分を含みます。一次情報から読み取れる範囲の推測として、根拠とともに書きます。

読み取れること根拠となる一次情報区分
セルを自社で作る意思はもうない2025年にLGとの合弁から撤退し、ACCへの出資を全額減損した。一方でFactorialへの出資は維持している推測
狙いは性能ではなくコストと軽さ発表で繰り返されるのは「軽く・効率よく・顧客のコストを下げる」。航続距離の具体値は示されていない推測
既存の作り方を変えたくない「FESTは液系リチウムイオン電池の製造工程との親和性が高く、それが規模拡大への重要な道筋」とCTOが明言事実
最初の適用先は高性能車選んだのがDodge Charger DaytonaとSTLA Large。会社は同プラットフォームを「大量販売のEV SUVと高性能車」向けと説明推測
パック設計こそ自社の付加価値だと考えている機械構造を自社で設計し特許を取得している。セル自体はFactorial製推測
投資家に対してはまだ売り込んでいない2025年12月期のForm 20-Fに全固体電池・Factorialの記載が一切ない事実
推測の根拠を1つだけ詳しく

本稿がいちばん重いと考えるのは、Form 20-Fに全固体電池が一度も出てこないという事実です 事実。 20-Fは米国証券取引委員会に提出する法定開示書類で、記載内容には法的責任が伴います。 だからこそ各社は、投資判断に重要だと考える取り組みはここに書きます。 トヨタは20-Fに全固体電池の商用化目標を明記し、ホンダも次世代電池の一つとして言及しています。

ステランティスがそうしていないのは、この取り組みを まだ業績を語る文脈に置いていないということだと読めます 未確定/将来。 同じ20-Fが、液系電池の合弁2つの整理には数ページを割いていることと合わせると、 全固体電池は「お金の話」ではなく「技術の話」の段階に留められているという整理になります。 プレスリリースは技術部門の発信、20-Fは財務の発信です。この2つのあいだにある距離が、 現時点でのステランティスの全固体電池の位置づけをよく表しています。

9. 全固体電池分野の提携マッピング

ステランティスを中心とした電池分野の関係 公式発表・Form 20-F・Factorial側のSEC提出書類に記載のある関係のみ。報道ベースの関係は含まない ステラン ティス Factorial Energy(スタートアップ) 米Nasdaq: FAC・リチウム金属 出資7,500万ドル・持分8.1% Dodge Charger Daytona(グループ内) STLA Largeプラットフォーム 2026年6月に公道試験を開始 ACC(合弁・液系) Automotive Cells Company 2025年に全額減損 NextStar Energy(合弁・液系) LGエナジーソリューションと 2025年に撤退を決定 出資:2021年にFactorialへ7,500万ドル 持分8.1%(2026年、Factorial側のSEC提出資料による) 全固体電池の共同開発(実線) グループ内(実線) 液系電池の合弁(実線)
図2 ステランティスを中心とした電池分野の関係。Factorialとは出資(点線)と共同開発(実線)の両方でつながっています。オレンジの2件は液系リチウムイオン電池の合弁で、全固体電池ではありません。出典:ステランティス公式プレスリリース(2024年10月23日・2025年4月24日・2026年6月11日)、2025年12月期Form 20-F、およびFactorial Energy社のSEC提出書類。持分8.1%はFactorial側の開示で、ステランティス自身は持分比率を公表していません。

10. 採用している技術方式

項目公表されている内容
セルの供給元米Factorial(マサチューセッツ州)。技術はFEST®(Factorial Electrolyte System Technology)
負極リチウム金属。FESTは黒鉛負極をリチウム金属に置き換えられる、とFactorialが説明
電解質固体電解質。硫化物系か酸化物系かの明示はない。液系リチウムイオン電池の製造工程との親和性が高いとステランティスのCTOが強調
検証済みのセル77Ah、エネルギー密度375Wh/kg、600サイクル超(2025年4月に両社が公表)
充電室温で15%から90%超まで18分
動作温度・出力−30℃〜45℃で動作。放電レートは最大4C
パックへの収め方ステランティスが設計した特許取得済みの機械構造で、既存の電池パックに全固体セルを組み込んだ。制御系とパック設計も自動車要件に合わせて適合
2024年時点の説明FESTのエネルギー密度は390Wh/kg超とされていた。2025年の検証値375Wh/kgはこれより低い
素材技術者の視点:390から375へ下がった数字の読み方

2024年10月の発表では「390Wh/kg超」、2025年4月の検証結果では「375Wh/kg」 事実。 数字が下がったのは後退ではなく、測っているものが変わったと読むのが自然です 本稿の計算。 前者はFactorialの技術ポテンシャルとして語られた値で、後者は 77Ahという車載サイズのセルで、600サイクル超の寿命と18分の急速充電と−30℃動作を同時に満たしたうえでの値です。

電池開発では、エネルギー密度だけを上げるのは比較的簡単です。 正極を厚く塗り、電解質を薄くし、加圧を強くすれば数字は出ます。 しかしそれをやると寿命が落ち、急速充電ができなくなり、低温で動かなくなります。 Factorial自身のCEOが「電池開発は妥協の技術で、ひとつの指標を最適化するのは簡単だが、 高いエネルギー密度・寿命・急速充電・安全性を車載サイズで両立させることが突破なのだ」と述べているのは、まさにこの点です。 本シリーズでセルの数字を比べるときは、「何を同時に満たしたうえでの値か」を必ず確認してください。

11. この企業が抱えるリスク

リスク内容区分
会社全体が赤字2025年12月期は営業損失262.5億ユーロ、当期純損失223.3億ユーロ。長期テーマへの投資判断は厳しくなる事実
電池関連の整理が進行中同じ2025年にNextStar Energyから撤退(16億ユーロ)、ACCを全額減損(5億ユーロ)、水素燃料電池も打ち切り事実
法定開示に記載がないForm 20-Fに全固体電池・Factorialの記載がなく、投資家向けの重要事項として位置づけられていない事実
セルを作る手段を持たない自社の電池生産は縮小方向で、量産をどこに委ねるのかが示されていない推測
出資先が非独占で他社とも組むFactorialはメルセデス・ベンツ、現代自動車、起亜とも共同開発契約を結んでいる。メルセデスは同じくFactorialの8.1%株主事実
出資先が上場したばかりFactorialは2026年にSPACを通じて米国上場したばかりで、量産実績はない推測
実証の規模が不明公表されているのは開発車1台の公道試験開始のみ。フリートの台数・累計走行距離は公表されていない未確定/将来

12. 用語集

全固体電池
電解質を液体ではなく固体にした電池。新しい負極材を使えるようになる。
FEST
Factorial Electrolyte System Technology。Factorialの固体電解質技術の名称。
Ah(アンペア時)
セルが蓄えられる電気の量。車載用は40Ah以上が目安とされる。
Wh/kg
重量1kgあたりのエネルギー。量産中のリチウムイオン電池はおおむね250〜330Wh/kg。
4C放電
容量の4倍の電流を流せること。15分で使い切る勢いの出力を出せる目安。
STLA Large
ステランティスの大型車向け共通プラットフォーム。Jeep・Dodge・Maseratiなどが使う。
ACC
Automotive Cells Company。ステランティスなどが出資する欧州の電池合弁。液系。
Form 20-F
米国上場の外国企業が米国SECに提出する年次報告書。監査済みで法的責任を伴う。
概念図:既存の電池パックの枠を変えずに、機械構造だけを作り替えて全固体セルを収める考え方AI生成の概念図
図3 ステランティスの全固体電池への取り組み方の概念図(AI生成による概念図。実際の設備や製品を写したものではありません)。

13. 出典

  1. Stellantis N.V. Form 20-F for the fiscal year ended December 31, 2025(米国SEC提出、2026年2月26日)。純収益・研究開発費・営業損益・当期純損益・出荷台数・平均従業員数・本社所在地・上場市場、NextStar Energyからの撤退とACCの全額減損、水素燃料電池事業の打ち切り。全固体電池およびFactorialへの言及がないことの確認にも使用。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1605484/000160548426000021/stellantis-20251231.htm
  2. Stellantis プレスリリース「Stellantis and Factorial Take Next Step to Accelerate the Future of Electric Vehicles with Solid-State Battery Technology」(2024年10月23日)。2021年の7,500万ドル出資・Dodge Charger Daytonaによる実証フリート・STLA Largeの選定理由・390Wh/kg超。 https://www.stellantis.com/en/news/press-releases/2024/october/stellantis-and-factorial-take-next-step-to-accelerate-the-future-of-electric-vehicles-with-solid-state-battery-technology
  3. Stellantis プレスリリース「Stellantis and Factorial Energy Reach Key Milestone in Solid-State Battery Development」(2025年4月24日)。77Ahセル・375Wh/kg・600サイクル超・15%→90%を18分・−30℃〜45℃・4C放電・パック設計の共同最適化。 https://www.stellantis.com/en/news/press-releases/2025/april/stellantis-and-factorial-energy-reach-key-milestone-in-solid-state-battery-development
  4. Stellantis プレスリリース「Stellantis and Factorial Integrate Advanced Solid-State Battery into Stellantis Development Vehicle and Launch Road Testing」(2026年6月11日)。Dodge Charger Daytona開発車への搭載・公道試験の開始・特許取得済みの機械構造・CTOの発言・Factorialの出資者一覧。 https://media.stellantisnorthamerica.com/newsrelease.do?id=27822
  5. Factorial Energy Inc. 目論見書 Form 424B3(米国SEC提出、2026年9月21日)。Stellantis Europe S.p.A.およびStellantis Ventures B.V.の保有株式数と持分比率・2025年8月1日付の共同開発契約・2025年8月の転換社債200万ドル・取締役の関係・FESTの技術内容・77Ahセルの性能・実証フリート1台目の製作時期。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/2049662/000110465926109360/tm2618963d3_424b3.htm

14. 主張と出典の対応表

本文の主張区分出典
純収益・研究開発費・営業損益・当期純損益(2024年・2025年12月期)事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1605484/000160548426000021/stellantis-20251231.htm
出荷台数5,484千台・平均従業員数253,654人・本社アムステルダム・上場市場事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1605484/000160548426000021/stellantis-20251231.htm
NextStar Energyからの撤退(16億ユーロ)、ACCの全額減損(5億ユーロ)、水素燃料電池事業の打ち切り事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1605484/000160548426000021/stellantis-20251231.htm
2025年の研究開発費増加が製品計画見直し・プロジェクト中止によること事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1605484/000160548426000021/stellantis-20251231.htm
Form 20-Fに全固体電池・Factorialの記載が一度もないこと事実出典1の全文を検索して確認 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1605484/000160548426000021/stellantis-20251231.htm
2021年のFactorialへの7,500万ドル出資事実出典2・3 https://www.stellantis.com/en/news/press-releases/2024/october/stellantis-and-factorial-take-next-step-to-accelerate-the-future-of-electric-vehicles-with-solid-state-battery-technology
Dodge Charger Daytonaによる実証フリート計画(2024年10月)とSTLA Largeの選定理由、390Wh/kg超という当時の説明事実出典2 https://www.stellantis.com/en/news/press-releases/2024/october/stellantis-and-factorial-take-next-step-to-accelerate-the-future-of-electric-vehicles-with-solid-state-battery-technology
77Ahセルの375Wh/kg・600サイクル超・18分の急速充電・−30℃〜45℃・4C放電事実出典3 https://www.stellantis.com/en/news/press-releases/2025/april/stellantis-and-factorial-energy-reach-key-milestone-in-solid-state-battery-development
2026年6月11日の開発車搭載と公道試験開始、特許取得済みの機械構造、CTOの発言事実出典4 https://media.stellantisnorthamerica.com/newsrelease.do?id=27822
Factorialの出資者にメルセデス・ベンツ、現代自動車、起亜が含まれること事実出典4 https://media.stellantisnorthamerica.com/newsrelease.do?id=27822
保有株式数8,669,995株・シリーズA普通株の9.5%・全株式の8.1%事実(出資先の開示)出典5 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/2049662/000110465926109360/tm2618963d3_424b3.htm
2025年8月1日付の共同開発契約(2021年11月20日付を置き換え)、転換社債200万ドル、取締役の関係、実証フリート1台目の製作事実(出資先の開示)出典5 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/2049662/000110465926109360/tm2618963d3_424b3.htm
FESTがリチウム金属・黒鉛・シリコン負極に対応すること、量産リチウムイオン電池が250〜330Wh/kgであること事実(出資先の開示)出典5 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/2049662/000110465926109360/tm2618963d3_424b3.htm
全固体電池の3類型の区分(自動車/電池/スタートアップ)本稿の計算本稿による整理。企業名は本シリーズの23社から例示
全固体電池向けの開発費・専任人員数未確定/将来非公表。本稿では推計もしない
量産開始年・量産車種・セルを作る工場・実証フリートの台数・パック容量と航続距離未確定/将来出典1〜5に記載なし。報道ベースの数値は採用しない https://media.stellantisnorthamerica.com/newsrelease.do?id=27822
FESTの固体電解質が硫化物系か酸化物系かの別未確定/将来公式資料に明示なし。本稿では推定しない https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/2049662/000110465926109360/tm2618963d3_424b3.htm
全固体電池に関する大学・研究機関との共同研究未確定/将来公式資料で確認できず。本稿では存在しないとも断定しない https://www.stellantis.com/en/news/press-releases/2025/april/stellantis-and-factorial-energy-reach-key-milestone-in-solid-state-battery-development
セルを自社で作る意思がもうないという読み推測液系合弁2件の整理とFactorial出資の維持からの本稿の解釈
狙いが性能ではなくコストと軽さにあるという読み推測発表で繰り返される表現からの本稿の解釈
最初の適用先が高性能車になるという読み推測実証車とプラットフォームの選定からの本稿の解釈
パック設計こそ自社の付加価値だと考えているという読み推測機械構造を自社設計し特許を取得していることからの本稿の解釈
390Wh/kgから375Wh/kgへの変化が「測っているものの違い」だという読み推測電池開発におけるトレードオフに関する本稿の解説
全固体電池がまだ「お金の話」に置かれていないという読み推測Form 20-Fに記載がないことからの本稿の解釈
セルを作る手段を持たないこと、出資先が上場したばかりであることというリスク推測提携構造と出資先の状況からの本稿の解釈

最終更新:2026年9月23日/Troy Technical
本稿の数値はすべてステランティスが米国証券取引委員会(SEC)に提出した法定開示書類、同社の公式プレスリリース、およびFactorial Energy社がSECに提出した法定開示書類に基づきます。調査会社の推計値・報道ベースの数値は使用していません。「推測」と記した箇所は、一次情報から本稿が読み取った解釈であり、会社の公表内容ではありません。