COMPANY PROFILE / 全固体電池
東風汽車(Dongfeng Motor Corporation)
― 「まず半固体、次に全固体」と自ら手順を明言している中央国有の自動車メーカー
全固体電池の話題で東風汽車の名前が出るのは、 350Wh/kgの固体電池を2026年下半期に量産搭載すると公表しているからです。 ただし同社の固体電池室の責任者は公式サイト掲載の記事のなかで 「先に半固体をやり、そのあとで全固体に挑む」と明言しています。 つまりいま量産に向かっている製品が全固体かどうかは、一次情報では確定できません。 本稿ではこの点を伏せずに書き、自動車事業の規模は最小限にとどめます。
- 30秒でわかる東風汽車と、全固体電池での立ち位置
- ロゴと社名の表記について
- 全固体電池の世界で、この会社はどこにいるか
- 会社の規模(自動車事業は簡潔に)
- 全固体電池にかけているリソース
- これまでの取り組み
- 今後の計画
- この会社は全固体電池で何を目指しているか
- 全固体電池分野の提携マッピング
- 採用している技術方式
- この企業が抱えるリスク
- 用語集/出典/主張と出典の対応表
1. 30秒でわかる東風汽車と、全固体電池での立ち位置
有限公司英文名 Dongfeng Motor Corporation。旧称は東風汽車公司
中央企業親会社自体は非上場。前身は1969年設立の第二汽車製造廠
(中国・中央国有)電池専業でもスタートアップでもない
航続1,000km超2026年下半期に量産搭載と公表
次に全固体固体電池室責任者の説明
複合酸化物系固体電解質とポリマー電解質を組み合わせる
全固体電池に取り組む企業は、大きく自動車メーカー・電池メーカー・スタートアップの3種類に分かれます。 東風汽車はこのうち自動車メーカーで、しかも中国政府が直接持つ中央国有企業(央企)です 事実。 他の多くの自動車メーカーと違うのは、電池を外から買わず、材料から電池パックまで自社で開発していると明言している点です。 公式サイト掲載の記事では、担当者が「自研率100%」と述べています。
そして本稿を読むうえで最も重要な注意があります。 東風の固体電池室の責任者は同じ記事のなかで 「東風は段階を踏む道を行く。まず半固体をやり、そのあとで全固体に挑む」と述べています 事実。 つまりいま量産に向かっている350Wh/kg品が「全固体」だとは、会社は言っていません。 会社が使っているのは「固態電池(固体電池)」という語だけです。 本稿ではこの製品を全固体と断定せず、「未確定」として扱います 未確定/将来。
2. ロゴと社名の表記について
東風汽車のロゴは同社の商標です。本稿では生成画像による再現を行わず、
公式サイトから取得した画像を img/dongfeng_logo.png として設置しています。
表記の注意:この分野の記事で「東風汽車」と書かれるとき、 実際には3つの別法人が混在します。 (1)東風汽車集団有限公司(Dongfeng Motor Corporation、非上場の中央企業。本稿の主役)、 (2)東風汽車集団股份有限公司(Dongfeng Motor Group Company Limited、香港上場0489。(1)の子会社)、 (3)東風汽車股份有限公司(DFAC、上海A株600006。(2)の子会社)。 固体電池の開発を公表しているのは(1)の研究開発本部です。
公式サイト:https://www.dfmc.com.cn/zoujindf/qiyegaikuang/qiyejieshao.html3. 全固体電池の世界で、この会社はどこにいるか
4. 会社の規模(自動車事業は簡潔に)
自動車事業そのものは本稿の主題ではないので、規模だけを押さえます 事実。金額は人民元(CNY)のままで、為替換算はしていません。 親会社(非上場)と上場子会社で開示の性格が違うため、2つに分けます。
| 東風汽車集団有限公司(親会社・非上場) | 数値 |
|---|---|
| 総資産(2024年末) | 4,703.86億元 |
| 従業員数(2024年末) | 11.7万人 |
| 2024年の販売台数 | 248万台(端末納車255万台) |
| うち新エネルギー車 | 86万台(前年比+64.4%) |
| うち自主ブランド | 137万台(前年比+34.8%) |
| 創業からの累計生産販売 | 6,200万台超(56年間) |
| 保有する有効特許 | 2.52万件 |
| 生産拠点 | 武漢・十堰・襄陽・広州・柳州・鄭州・成都・大連など20都市以上 |
| 東風汽車集団股份有限公司(香港0489・上場子会社) | 2025年1〜6月 | 前年同期 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 54,533百万元 | 51,145百万元 |
| 粗利益 | 7,599百万元 | ―(粗利率11.6%) |
| 粗利率 | 13.9% | 11.6% |
| 親会社所有者帰属利益 | 55百万元 | ― |
| 販売台数 | 約82.39万台(▲14.7%) | ― |
| うち新エネルギー車 | 20.44万台(+33.0%) | ― |
| 総資産(2025年6月30日) | 317,786百万元 | 325,052百万元 |
1点目。上の数字は会社全体のものであり、固体電池の事業規模を示す数字ではありません。 東風汽車は固体電池に関する売上・投資額・専任人員数をいずれも公表していません 未確定/将来。
2点目。2026年2月13日、親会社と東風汽車集団(武漢)投資有限公司および上場子会社(0489)は連名で、 吸収合併による0489の私有化・VOYAH株式の分配・0489の上場廃止を提案する共同公告を出しました 事実。 実行されれば香港取引所への法定開示という情報源がなくなります。 この分野の数字を追う読者にとっては、今後公式サイトの発表しか材料がなくなる可能性がある、という意味を持ちます。
5. 全固体電池にかけているリソース
金額と人数は非公表ですが、組織・設備・産学連携については公式サイトの記事から具体名で読み取れます。
| リソースの種類 | 内容 | 区分 |
|---|---|---|
| 専任組織(人) | 研究開発総院 先行技術研究院(準備中)固体電池室という専任部署が存在し、責任者は張薇氏。2018年に固体電池プロジェクトチームを設立している | 事実 |
| 設備 | 実験室・試作ライン・パイロットライン(中試線)を一体化した開発生産拠点を武漢経済技術開発区に構築。パイロットラインは0.2GWhで2025年6月稼働 | 事実 |
| 大学・研究機関との連携 | 2026年5月8日、東風汽車が主導し、武漢大学・華中科技大学など計18の大学・企業で「湖北省固体電池産業技術創新聯合体」を設立 | 事実 |
| 知的財産 | 10項目余りの基幹技術を突破し、発明特許を180件余り出願。電極・固体電解質・電池パック統合まで自研率100%と説明 | 事実 |
| 投資額(金) | 固体電池向けの設備投資額・研究開発費。パイロットラインの建設費も含めて金額の公表はない | 非公表 |
| 専任人員数 | 固体電池室の人員数。専任組織の存在は公表されているが人数は出ていない | 非公表 |
| 外部への出資 | 固体電池関連のスタートアップ出資・合弁。公式サイトの発表にも0489の開示にも記載を確認できなかった | 確認できず |
| 量産ラインの規模 | 2026年下半期の量産搭載に向けた量産ラインの容量・所在地・投資額 | 確認できず |
東風の説明でいちばん実務的に重いのは、実験室・試作ライン・パイロットラインの3段階を1か所に揃えたという記述です 事実。 固体電池は実験室で数cm角のサンプルを作ることと、車載サイズを毎日何百枚も作ることの間に、途方もない差があります。 粉を大面積に均一に塗り、乾かし、圧力をかけて積む工程は、1枚ずつ手で作るのとは要求がまったく違うからです。
0.2GWhという数字は、車載電池の量産としては極めて小さい規模です 本稿の計算。 一般的な車載用リチウムイオン電池工場は数十GWh級で語られるので、0.2GWhは量産ラインではなく 工程条件を詰めるための試験ラインと理解するのが正確です。 逆にいえば、この段階を飛ばして一気に量産へ行こうとする会社より、手順としては堅い構えです。
6. これまでの取り組み
| 時期 | できごと | 意味 |
|---|---|---|
| 2018年 | 固体電池プロジェクトチームを設立。目標は「高安全・車載グレードの高比エネルギー固体電池」 | 取り組みの起点。トヨタや日産と比べても早い部類ではない |
| 2019年 | 第1世代の固体電池システムの開発を完了 | システムとして成立させた段階 |
| 2021年12月 | 中国国内初の固体電池乗用車の公告(型式認可)を取得。直後に50台の実証運行車を投入 | 規制当局に認められた最初の例。以降の累計安全走行距離は320万kmを突破 |
| 2022年 | 50台の固体電池車を世界初公開。正負極材・セパレーター・モジュールまでの開発能力を保有と説明 | 実証フェーズ |
| 2024年9月23日 | 秋季発表会・第9回科技創新週で、エネルギー密度405Wh/kgの固体電池パックを展示。▲30℃で容量維持率80%超と説明 | 展示品であり量産品ではない点に注意 |
| 2025年6月 | 固体電池実験室が完成・稼働し、0.2GWhのパイロットラインが建設・稼働。実験室―試作線―中試線が揃う | 技術から量産への経路がつながったと会社が説明 |
| 2026年1月14日 | 350Wh/kg固体電池を搭載した寒冷地試験車が武漢から漠河へ出発。副総経理の尤峥氏が出発式に出席。▲30〜▲40℃で70項目超の試験 | 量産前の最終検証フェーズに入った |
| 2026年5月8日 | 湖北省固体電池産業技術創新聯合体を設立(東風主導、武漢大学・華中科技大学など18機関) | 産学を巻き込んだ体制づくり |
| 2026年6月 | 350Wh/kg品が「安定して量産されている」と担当者が説明。170℃熱箱試験に合格、▲30℃で残容量74%超 | 国家標準の130℃を大きく超える条件での合格を主張 |
7. 今後の計画
の多段階複数のグレードを並行して用意する構え
会社は開発中のテーマとして急速充電型の固体電池と、 より高いエネルギー密度の車載グレード新型電池技術を挙げています 事実。 また副総経理の尤峥氏は、固体電池の開発を 「第15次5か年計画期に向けた東風の戦略的選択」と位置づけています。
次はいずれも一次情報で確認できませんでした 未確定/将来。
全固体電池の量産時期/量産搭載する車種名/量産ラインの容量と所在地/ 固体電池向けの投資額/専任人員数/販売価格帯/ 2026年下半期に量産する製品が全固体なのか半固体なのか。 最後の点については、会社の担当者が「先に半固体、次に全固体」と述べていること、 および工程の説明のなかで「セルと電解液の接触界面を最適化した」と 液体の電解液に言及していることから、本稿は半固体の可能性が高いと読みますが、 会社が明示していない以上未確定として扱います。
8. この会社は全固体電池で何を目指しているか
ここは会社が直接には述べていない部分を含みます。一次情報から読み取れる範囲の推測として、根拠とともに書きます。
| 読み取れること | 根拠となる一次情報 | 区分 |
|---|---|---|
| 全固体は目的地であって現在地ではない | 固体電池室責任者の「先に半固体、次に全固体に挑む」という発言。全固体の時期は示されていない | 事実 |
| 電池を外販するより自社車両に載せることが主目的 | 試験車は自社ブランドの東風奕派。外販や他社への供給に関する記述はない | 推測 |
| 国産化そのものが目的の一部になっている | 「核心技術100%国産」「自研率100%」という表現が繰り返され、国家戦略科技力量への貢献という言い方がされている | 推測 |
| 安全性を最大の訴求点に置いている | 公表値のうち最も強調されるのが170℃熱箱試験の合格(国家標準は130℃)と、押し潰し変形時の動作 | 推測 |
| 製品を1本に絞らず複数グレードで出す構え | 240Wh/kgから500Wh/kgまでの多段階の製品系列を配置していると説明している | 事実 |
公式サイトの記事で技術的にいちばん踏み込んでいるのは、次の課題設定です 事実。 「固体電解質は硬い固体なので、液体の電解液のようにセル内の隙間を埋められない。 電極と固体材料のあいだに隙間があると電流の通行抵抗が大きくなる。 内部抵抗が高いと、充電が遅い・発熱が大きい・電力を食うという問題が連鎖し、 車両の温度制御も電気制御もすべて設計し直しになる」。
これは全固体電池の本質的な難所を正しく言い当てています。 そして東風が採った対策として挙げられているのが 「セルと電解液の接触界面を最適化して内部抵抗を最大限下げる」という記述です。 ここに「電解液」という液体を指す語が使われていることが、 本稿が「現行品は半固体だろう」と読む最大の根拠です 未確定/将来。 ただし中国語の記事では「電解液」が電解質一般を指して緩く使われることもあるため、 これだけで断定はできません。会社の明示を待つべき論点です。
9. 全固体電池分野の提携マッピング
10. 採用している技術方式
東風汽車は電解質の系統を具体的に名指ししている数少ない自動車メーカーです 事実。
| 項目 | 公表されている内容 |
|---|---|
| 電解質の路線 | 酸化物・ポリマー複合を主攻。酸化物系固体電解質とポリマー電解質を組み合わせ、配合を調整しながら進める |
| 開発の手順 | 先に半固体、次に全固体(固体電池室責任者の説明) |
| エネルギー密度 | 量産に向かう製品で350Wh/kg。2024年9月の展示品は405Wh/kg。製品系列は240〜500Wh/kgを配置 |
| 航続距離 | 満充電で1,000km超。北京から上海まで途中1回の補充電で足りると説明 |
| 安全性 | 170℃の熱箱試験で発煙・発火なし(国家標準の試験は130℃)。半分まで押し潰し変形させても安定動作 |
| 低温性能 | 低温性能が10%超向上。▲30℃で残容量74%超(2024年の展示品では容量維持率80%超と説明) |
| 重量 | 電池パック全体で従来のリチウム電池比30%軽量 |
| 試験の実績 | セルおよびシステムで国家標準・業界標準あわせて120項目超の試験を完了。寒冷地では70項目超 |
| 工程の対策 | 指向性の圧力逃がし・排気、熱電分離、新型断熱材料を組み合わせ、内部抵抗を下げる界面最適化を実施 |
固体電解質は大きく硫化物系・酸化物系・ハロゲン化物系・ポリマー系に分かれます。 酸化物系は化学的に安定で燃えにくい代わりに、セラミックなので硬く、焼かないと粒どうしがつながらない。 ポリマー系は柔らかくて加工しやすいが、常温ではイオンが動きにくい。 東風が採る酸化物・ポリマー複合は、この2つの弱点を打ち消し合わせる組み合わせです 未確定/将来。
着目すべきは、東風が硫化物系を選ばなかったことです。 硫化物系はイオン伝導度が最も高く、トヨタなど多くが本命視する一方で、 水分に触れると硫化水素が出るため、製造ラインを極端な乾燥環境にしなければならないという重い制約があります。 酸化物・ポリマー系はその制約が小さく、既存の電池工場の延長で作りやすいぶん、 性能の上限では不利になりがちです。
「350Wh/kgで1,000km」という数字は、 現行の車載リチウムイオン電池(おおむね200〜300Wh/kg級)より確かに高い水準です。 しかし405Wh/kg(展示品)と350Wh/kg(量産に向かう品)の差が何によるのかは説明されていません 未確定/将来。 量産化にあたって性能を下げる判断をした可能性がありますが、これは本稿の読みです。
11. この企業が抱えるリスク
| リスク | 内容 | 区分 |
|---|---|---|
| 全固体の時期が示されていない | 「半固体の次に全固体」という順序だけで、全固体の量産時期・目標性能はいずれも公表されていない | 事実 |
| 半固体との混同 | 会社が「固態電池」という語を区別せずに使うため、外部から全固体と誤読されやすい | 推測 |
| 生産規模が小さい | 公表されている生産設備は0.2GWhのパイロットラインのみ。量産ラインの規模は公表されていない | 事実 |
| 情報源が細くなる | 上場子会社0489の私有化・上場廃止が提案されており、実行されれば香港取引所への法定開示がなくなる | 事実 |
| 全て自前でやる構えの裏返し | 自研率100%は強みである一方、電池専業メーカーが持つ量産の知見を外から取り込む経路が乏しい | 推測 |
| 酸化物・ポリマー系の性能上限 | 製造しやすい代わりに、硫化物系に比べてイオン伝導度で不利になりやすい | 推測 |
| 数値の出所 | 350Wh/kgなどの数値は法定開示ではなく公式サイト掲載の記事に基づく。第三者による検証は行われていない | 未確定/将来 |
12. 用語集
- 全固体電池(全固態電池)
- 電解質を液体ではなく固体にした電池。中国語では「全固態」。
- 半固体電池(半固態電池)
- 電解質の一部に液体やゲルが残る電池。全固体電池とは別物で、混同してはいけない。
- 酸化物系固体電解質
- セラミック系の固体電解質。安定で燃えにくいが硬く、電極との密着が難しい。
- ポリマー電解質
- 高分子でできた電解質。柔らかく加工しやすいが、常温ではイオンが動きにくい。
- 中試線(パイロットライン)
- 実験室と量産ラインの中間にある検証用の小規模ライン。工程条件を詰めるために使う。
- 熱箱試験
- 電池を高温の箱に入れて発火・発煙しないかを見る安全性試験。中国の国家標準では130℃。
- 央企(中央企業)
- 中国政府が直接出資し、国務院系の機関が監督する国有企業。東風はその1社。
- 公告(型式公告)
- 中国で車両を販売するために必要な、工業情報化部の型式リストへの掲載。
AI生成の概念図13. 出典
- 東風汽車集団有限公司 公式サイト 資訊聚焦「东风全新固态电池零下30℃依旧能打」(2026年6月10日掲載、湖北日報2026年6月6日付の記事を編者按つきで全文転載)。固体電池室責任者の「先に半固体、次に全固体」「酸化物・ポリマー複合路線」という説明、350Wh/kg、1,000km超、170℃熱箱試験、▲30℃で残容量74%超、パック30%軽量、2018年のプロジェクト設立、2019年の第1世代開発、2021年12月の公告取得と50台投入・累計320万km、2025年6月の実験室と0.2GWh中試線、2026年5月8日の湖北省固体電池産業技術創新聯合体、自研率100%、2027年の次世代電池搭載。 https://www.dfmc.com.cn/news/zixunjujiao/news_20260610_1307.html
- 東風汽車集団有限公司 公式サイト 企業新聞「东风搭载350Wh/kg固态电池样车冬测发车」(2026年1月16日、出所は社内紙『東風汽車報』)。2026年1月14日の寒冷地試験車の出発、副総経理 尤峥氏の発言、材料と電気化学系の検証完了と中試下線、120項目超の試験、▲30〜▲40℃で70項目超、240〜500Wh/kgの製品系列、基幹技術10項目超・発明特許180件超の出願。 https://www.dfmc.com.cn/news/company/news_20260116_1246.html
- 東風汽車集団有限公司 公式サイト 資訊聚焦「新固态电池 轻松续航1000公里」(2024年9月27日掲載)。2024年9月23日の秋季発表会・第9回科技創新週での405Wh/kgの固体電池パックの展示、▲30℃で容量維持率80%超、2022年の50台世界初公開。 https://www.dfmc.com.cn/news/zixunjujiao/news_20240927_1023.html
- 東風汽車集団有限公司 公式サイト 企業介紹。商業一類の中央企業であること、前身が1969年の第二汽車製造廠であること、2024年末の総資産4,703.86億元・従業員11.7万人、2024年の販売248万台・NEV86万台・自主ブランド137万台、累計6,200万台超、有効特許2.52万件、生産拠点、本社移転と改称の経緯。 https://www.dfmc.com.cn/zoujindf/qiyegaikuang/qiyejieshao.html
- 東風汽車集団股份有限公司 2025 Interim Report(香港取引所提出、2025年8月22日)。2025年1〜6月の売上54,533百万元・粗利7,599百万元・粗利率13.9%・親会社所有者帰属利益55百万元、販売約82.39万台、新エネルギー車20.44万台、総資産317,786百万元。 https://www1.hkexnews.hk/listedco/listconews/sehk/2025/0822/2025082202324.pdf
- 東風汽車集団股份有限公司 Voluntary Announcement ― Flash Report on Production and Sales Volume for November 2025(香港取引所提出、2025年12月8日)。2025年1〜11月の上場会社の販売1,697,025台、親会社 Dongfeng Motor Corporation の販売2,204,092台、子会社DFACの位置づけ。 https://www.hkexnews.hk/listedco/listconews/sehk/2025/1208/2025120800855.pdf
- 東風汽車集団有限公司ほか Joint Announcement ― Proposed Conditional Privatisation / Proposed Distribution of VOYAH Shares / Proposed Withdrawal of Listing(香港取引所提出、2026年2月13日)。0489の私有化提案と上場廃止提案、3社の法人関係。 https://www.hkexnews.hk/listedco/listconews/sehk/2026/0213/2026021301477.pdf
本稿の固体電池に関する数値は、法定開示ではなく公式サイトに掲載された記事に基づきます 事実。 出典1と出典3は湖北日報の記事を東風汽車が自社サイトに編者按つきで転載したもの、 出典2は社内紙『東風汽車報』の記事です。 いずれも会社が自らの公式サイトで公表している以上、内容について会社が責任を負う立場にありますが、 監査を受けた有価証券報告書のような文書ではありません。
香港取引所に提出された法定開示(出典5〜7)には、 固体電池に関する記述が見当たりませんでした。 したがって本稿の技術的な数値は第三者の検証を経ていない会社発表である、という前提で読んでください。
14. 主張と出典の対応表
| 本文の主張 | 区分 | 出典 |
|---|---|---|
| 正式名称、本社(武漢)、商業一類の中央企業であること、前身が1969年の第二汽車製造廠であること | 事実 | 出典4 https://www.dfmc.com.cn/zoujindf/qiyegaikuang/qiyejieshao.html |
| 総資産4,703.86億元、従業員11.7万人、2024年販売248万台・NEV86万台・自主ブランド137万台、累計6,200万台超、有効特許2.52万件 | 事実 | 出典4 https://www.dfmc.com.cn/zoujindf/qiyegaikuang/qiyejieshao.html |
| 上場子会社0489の2025年上期の売上・粗利・利益・販売台数・総資産 | 事実 | 出典5 https://www1.hkexnews.hk/listedco/listconews/sehk/2025/0822/2025082202324.pdf |
| 東風汽車集団有限公司が0489の親会社であり、DFAC(600006)が0489の子会社であること | 事実 | 出典6 https://www.hkexnews.hk/listedco/listconews/sehk/2025/1208/2025120800855.pdf |
| 2026年2月13日に0489の私有化・VOYAH株式分配・上場廃止が提案されたこと | 事実 | 出典7 https://www.hkexnews.hk/listedco/listconews/sehk/2026/0213/2026021301477.pdf |
| 「先に半固体、次に全固体に挑む」「酸化物・ポリマー複合路線」という固体電池室責任者の説明 | 事実 | 出典1 https://www.dfmc.com.cn/news/zixunjujiao/news_20260610_1307.html |
| 350Wh/kg、航続1,000km超、170℃熱箱試験合格、▲30℃で残容量74%超、パック30%軽量、自研率100% | 事実 | 出典1 https://www.dfmc.com.cn/news/zixunjujiao/news_20260610_1307.html |
| 2018年のプロジェクト設立、2019年の第1世代開発、2021年12月の公告取得と50台投入・累計320万km、2025年6月の実験室と0.2GWh中試線 | 事実 | 出典1 https://www.dfmc.com.cn/news/zixunjujiao/news_20260610_1307.html |
| 2026年5月8日に東風主導で武漢大学・華中科技大学など18機関が湖北省固体電池産業技術創新聯合体を設立したこと | 事実 | 出典1 https://www.dfmc.com.cn/news/zixunjujiao/news_20260610_1307.html |
| 固体電解質が硬く隙間を埋められないために内部抵抗が上がるという課題設定と、「セルと電解液の接触界面を最適化した」という記述 | 事実 | 出典1 https://www.dfmc.com.cn/news/zixunjujiao/news_20260610_1307.html |
| 2026年1月14日の寒冷地試験車出発、副総経理 尤峥氏の発言、120項目超の試験、240〜500Wh/kgの製品系列、発明特許180件超の出願 | 事実 | 出典2 https://www.dfmc.com.cn/news/company/news_20260116_1246.html |
| 2024年9月23日の展示品が405Wh/kgで▲30℃の容量維持率80%超であったこと、2022年の50台世界初公開 | 事実 | 出典3 https://www.dfmc.com.cn/news/zixunjujiao/news_20240927_1023.html |
| 全固体電池の3類型の区分(自動車/電池/スタートアップ) | 本稿の計算 | 本稿による整理。企業名は本シリーズで扱う各社から例示 |
| 0.2GWhが車載電池の量産規模としては極めて小さいという評価 | 本稿の計算 | 一般的な車載電池工場が数十GWh級であることとの比較。本稿による解説 |
| 固体電池の売上・投資額・専任人員数 | 未確定/将来 | いずれも非公表。本稿では推計もしない |
| 2026年下半期に量産搭載する製品が全固体なのか半固体なのか | 未確定/将来 | 会社が明示していない。本稿は半固体の可能性が高いと読むが断定しない https://www.dfmc.com.cn/news/zixunjujiao/news_20260610_1307.html |
| 全固体電池の量産時期・目標性能 | 未確定/将来 | 出典1〜3のいずれにも記載がない https://www.dfmc.com.cn/news/zixunjujiao/news_20260610_1307.html |
| 量産搭載する車種名・量産ラインの容量と所在地・固体電池向けの投資額・販売価格帯 | 未確定/将来 | 出典1〜3に記載なし。報道ベースの数値は採用しない https://www.dfmc.com.cn/news/company/news_20260116_1246.html |
| 固体電池関連のスタートアップ出資・合弁 | 未確定/将来 | 出典1〜7のいずれにも記載を確認できず。存在しないとも断定しない https://www1.hkexnews.hk/listedco/listconews/sehk/2025/0822/2025082202324.pdf |
| 405Wh/kgの展示品と350Wh/kgの量産向け品の差が何によるか | 未確定/将来 | 出典1〜3に説明がない。本稿では推定しない https://www.dfmc.com.cn/news/zixunjujiao/news_20240927_1023.html |
| 「電解液」への言及から現行品は半固体だろうという読み | 推測 | 出典1の工程説明に関する本稿の解釈 |
| 外販より自社車両への搭載が主目的だという読み | 推測 | 試験車が自社ブランドであることと外販の記載がないことからの本稿の解釈 |
| 国産化そのものが目的の一部だという読み、安全性を最大の訴求点に置いているという読み | 推測 | 「核心技術100%国産」の反復と、強調される公表値の内容についての本稿の解釈 |
| 硫化物系を選ばなかったことの意味(製造しやすさと性能上限のトレードオフ) | 推測 | 固体電解質の一般的性質に基づく本稿の解説 |
| 自研率100%の裏返しとして外部の量産知見を取り込みにくいというリスク | 推測 | 提携関係が確認できなかったことからの本稿の解釈 |
最終更新:2026年9月23日/Troy Technical
本稿の数値はすべて東風汽車の公式サイト掲載記事および香港取引所への提出書類に基づきます。調査会社の推計値・会社が公表していない報道ベースの数値は使用していません。金額は人民元(CNY)のままで、為替換算は行っていません。「推測」と記した箇所は、一次情報から本稿が読み取った解釈であり、会社の公表内容ではありません。