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Renshine Solar|ペロブスカイト太陽電池 企業解説

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COMPANY PROFILE / ペロブスカイト太陽電池

Renshine Solar(仁爍光能)
― 南京大学発の専業。「ペロブスカイト同士を重ねる」全ペロブスカイト・タンデムで記録を持つ

仁爍光能(Renshine Solar)は、2021年末に設立された中国のペロブスカイト太陽電池の専業スタートアップです。 創業者で董事長の谭海仁氏は南京大学の教授で、同社は南京大学と組んで、シリコンを使わずペロブスカイトを2層重ねる「全ペロブスカイト・タンデム」の研究で知られています。 NLR(旧NREL)の効率データには、この方式のセル記録30.1%(南京大学との連名)と、同方式のモジュール記録22.8%が載っています。 一方で事業の現場では、1.2m×0.6mのガラス型の単接合モジュールを150MWのラインで量産・出荷しており、GW級ラインは建設中です。 研究の尖りと、量産品の地道な積み上げの両方を、同社の公式発表から整理します。

構成:仁爍光能の公式サイト(会社紹介・ニュース)、NLR(旧NREL)のセル効率データ表とチャンピオンモジュール効率チャートを一次情報として使用/最終更新 2026年9月

この記事でわかること
  1. 30秒でわかる仁爍光能と、ペロブスカイト太陽電池での立ち位置
  2. ロゴと社名の表記について
  3. ペロブスカイト太陽電池の世界で、この会社はどこにいるか
  4. 会社の規模(非上場。生産ラインで見る)
  5. ペロブスカイトにかけているリソース
  6. これまでの取り組み
  7. 今後の計画
  8. この会社はペロブスカイト太陽電池で何を目指しているか
  9. ペロブスカイト分野の提携マッピング
  10. 提供している技術・製品・サービス
  11. この企業が抱えるリスク
  12. 用語集/出典/主張と出典の対応表

1. 30秒でわかる仁爍光能と、ペロブスカイト太陽電池での立ち位置

正式名称仁烁光能(苏州)有限公司英文ブランド Renshine Solar
本社中国・江蘇省常熟市蘇州市の県級市。2021年末設立
上場非上場2026年8月、省の上場育成会議に参加
この分野での区分専業スタートアップ
(大学発)
南京大学の谭海仁教授が創業・董事長
製品の形ガラス型の単接合が主力
+タンデム・フレキシブル
単接合1.2m×0.6m。全ペロブスカイト/シリコンとのタンデムも
量産能力150MWライン稼働
GW級は建設中
150MWは2024年1月竣工。GW級は2025年2月着工
セル記録30.1%
(全ペロブスカイト)
0.049cm²、JET認証。NLRの表に南京大学と連名で登録
量産品の効率22%超(0.72m²)1.2m×0.6m、158.4W。TÜV SÜD認証と会社が発表
まず押さえるべき1点

ペロブスカイト太陽電池に取り組む企業は、大きく既存の太陽電池大手・専業スタートアップ・素材や電機の異業種の3種類に分かれます。 仁爍光能は専業スタートアップで、しかも大学の研究室から生まれた会社です 事実。 既存大手(LONGi、Trinaなど)がシリコンの上にペロブスカイトを重ねるのに対し、 仁爍光能の看板技術はシリコンを使わず、性質の違う2種類のペロブスカイトを重ねる全ペロブスカイト・タンデムです。 ただし、いま実際に売っているのは単接合(ペロブスカイト1層)のガラス型モジュールで、 研究の看板と量産品が別物である点を押さえて読む必要があります。

2. ロゴと社名の表記について

ロゴは同社の商標です。本稿では生成画像による再現を行わず、公式サイトのヘッダーのロゴ画像を img/renshine_solar_logo.png として設置しています。文字が白いロゴのため、暗い背景の上に表示しています。

表記の注意:法人名は「仁烁光能(苏州)有限公司」で、ロゴの英字は RENSHINE SOLAR です。 研究拠点の「江蘇ペロブスカイト産業技術研究院」は江蘇仁烁光伏技術有限公司という別法人を母体にしていると会社は説明しています。 日本語の定まった読みはなく、本稿では日本の漢字で「仁爍光能」(中国語の簡体字は「仁烁光能」)と書き、英字の Renshine Solar を併用します。

公式サイト:https://www.renshinesolar.com/

3. ペロブスカイト太陽電池の世界で、この会社はどこにいるか

ペロブスカイト太陽電池に取り組む企業の3つの類型 同じ「ペロブスカイトをやっている会社」でも、出自と狙いがまったく違う 既存の太陽電池大手 専業スタートアップ 素材・化学・電機 シリコンの量産から上乗せする ペロブスカイトだけで勝負する 異業種の技術で参入する LONGi/JinkoSolar Trina/Hanwha Qcells ほか Oxford PV/Swift Solar EneCoat/Renshine ほか 積水化学/パナソニック 東芝/カネカ ほか 販路と量産設備をすでに持つ 技術の尖りで先行できる フィルム・ガラス・封止の技術 主力のシリコンが本業 量産と資金の壁が高い 太陽電池の販路が細い 仁爍光能は中央の「専業」。南京大学発で、全ペロブスカイト・タンデムの記録を看板にする 量産しているのは単接合のガラス型モジュール(150MWライン)で、GW級ラインは2026年8月時点で建設中
図1 ペロブスカイト太陽電池に取り組む企業の3類型と、仁爍光能の位置づけ。区分は本稿によるもので、企業名は本シリーズで扱う企業から例示しています 本稿の計算。量産ラインの状況は仁爍光能の2026年8月のニュース(総裁の発言)、セル記録はNLRのセル効率データ表に基づきます。

製品の形は4系統あります 事実。 (1) ガラス型の単接合モジュール(1.2m×0.6m。量産の主力)、 (2) 全ペロブスカイト・タンデム(研究の看板。2端子の積層型)、 (3) ペロブスカイト/シリコン・タンデム(4端子モジュールの記録を発表。丽江の工場屋根に納入)、 (4) フレキシブル(平米級の単接合で18%超と会社が説明)。 BIPV(建材一体型)のカーテンウォール設備は2026年に江蘇省の「三首両新」リストに入りました。

4. 会社の規模(非上場。生産ラインで見る)

他社と同じ売上表が作れない理由

仁爍光能は非上場で、売上高・損益・従業員数・資金調達額を公表していません 未確定/将来。 代わりに、会社が公表している生産ラインの規模と投資額で大きさを見ます。

ライン内容時期
10MW 研究中試ライン「世界初の全ペロブスカイト・タンデムの研究ライン」と会社が説明。30cm×40cmのモジュールを生産2023年2月に全線稼働
150MW 量産ライン常熟。1.2m×0.6mの単接合モジュール。設備は100%国産で自社設計。着工から約9か月2023年4月着工、2024年1月11日竣工
GW級 ライン常熟経済技術開発区。投資総額10億元以上、完成後の年間生産額20億元超の見込み2024年5月28日契約、2025年2月20日に本社と合わせて着工。2026年8月時点で「建設を開始済み」
項目公表内容
特許中核特許の出願130件余り(会社紹介ページ)。2024年5月時点では60件余り
販売地域米国・日本・インド・フランス・韓国・ドイツなどに事業が及ぶと説明
最大の納入実績自社の1.2MW屋根発電所(9,300枚)、上海の旧工場のBIPV屋根(約6,000枚・4,000m²超)
売上・損益・従業員数・調達額非公表
本稿の計算:150MWで何枚作れるか

1.2m×0.6mの量産品は、2026年6月発表の高効率品で158.4W、2024年の1.2MW発電所では平均130Wです 事実。 150MWを130Wで割ると約115万枚、158.4Wで割ると約95万枚が年間の上限の目安になります 本稿の計算。 上海のBIPV屋根(約6,000枚)はその0.5〜0.6%にあたり、1件の大型案件でもラインの能力から見れば小さいことが分かります。 稼働率や出荷量は公表されていないため、これは能力の上限からの目安で、実績ではありません。

5. ペロブスカイトにかけているリソース

リソースの種類内容区分
人董事長 谭海仁氏(南京大学教授、中国青年五四奨章・中国青年科技賞)、総裁 陈保印氏(共同創業者)、研究開発センター総監 刘晔博士。谭海仁チームは「姑蘇重大創新団隊」に選定(2024年)。従業員数は非公表事実(人数は非公表)
金(工場)GW級ラインの投資総額10億元以上(会社発表の計画額)事実(計画額)
金(研究費・調達額)研究開発費、資金調達の額、出資者の一覧は公表されていない。2024年の竣工式には株主代表として三行資本の董事長が登壇非公表
大学・研究機関南京大学(校企連合実験室、共著論文多数)。中国科学院半導体研究所(神舟23号での宇宙実験の共同研究)。スウォンジー大学(欧州宇宙機関が資金を出す研究室で宇宙用途の試験、2024年)事実
研究拠点南京市政府の支援で江蘇ペロブスカイト産業技術研究院を設立。江蘇省の博士後創新実践基地にも認定事実
公的資金2025年江蘇省科技重大専項「多場面向けの高効率フレキシブル・ペロブスカイト・タンデムモジュールの重要技術開発」を担当。雲南省の重大科技専項(グリーン水素)にタンデム技術で参加。いずれも金額は非公表事実(金額は非公表)
外部への出資・買収他社への出資・買収の発表は見当たらない確認できず

6. これまでの取り組み

仁爍光能の記録は面積がばらばらです。研究用の小さなセルと量産サイズのモジュールを分けて読んでください。

時期できごと面積・認証
2021年末会社設立会社紹介ページ
2022年小面積の全ペロブスカイト・タンデムモジュールを初めて作製(南京大学との共著、Science 2022)。2022年10月、150MWラインの常熟への立地が決定会社発表
2023年2月10MW研究中試ラインが全線稼働。30cm×40cmのモジュール会社発表
2023年3月全ペロブスカイト・タンデム技術が「2022年度中国科学十大進展」に選出科学技術部の発表と会社の説明
2023年10月測定全ペロブスカイト・タンデムセル30.1%(定常効率)0.0493cm²/JET。NLRの表に「Nanjing Univ / Renshine」で登録
2024年1月11日150MW量産ライン竣工会社発表
2024年9月量産ラインから無作為に抜いた単接合モジュールが全面積17.2%(有効面積19.3%)0.72m²/NREL(会社発表)
2024年9月29日自社の1.2MW屋根発電所を系統連系(1.2m×0.6mを9,300枚)会社発表
2024年12月30日1.2m×0.6mモジュールがTÜVラインランドのIEC 61215・61730全項目認証。試験前後の出力低下5%未満会社発表
2025年2月20日本社とGW級ラインの建設開始会社発表
2025年全ペロブスカイト・タンデムで30%超の成果をNatureに発表(偶極パッシベーション)。グリーン溶媒の工程をScienceに発表論文(会社の紹介)
時期の記載なしペロブスカイト/シリコン4端子タンデムモジュールで31.7%384.02cm²/TÜV SÜD(会社発表)
2026年(効率表 第68版)単接合モジュール22.1%(813.8cm²、JET)、量産サイズ単接合19.3%(7,200cm²、Fraunhofer ISE)。全ペロブスカイト・タンデムモジュール22.8%(809.7cm²)を保持22.1%と22.8%はNLRのチャンピオンモジュール効率チャートで確認
2026年5〜6月神舟23号で中国宇宙ステーションに運ばれた電池の船外試験に参加。全ペロブスカイト・タンデムの大面積モジュール26.2%(JET)をNatureに発表会社発表
2026年6月1.2m×0.6mの量産品「烁電2.0」を欧州で初披露。全面積22%超、158.4W0.72m²/TÜV SÜD(会社発表)
2026年8月0.72m²全面積22.0%の技術(カルボン酸鉛による表面パッシベーション)をNatureに発表会社発表
2026年9月全ペロブスカイト・タンデムモジュールで26.4%開口面積809cm²/TÜV SÜD(会社発表)
記録の数字を読むときの注意

第三者の表で確認できたのは次の3つです 事実。 NLRのセル効率データ表に「Nanjing Univ / Renshine」の全ペロブスカイト・タンデム30.1%(JET、0.04934cm²)。 NLRのチャンピオンモジュール効率チャートに、ペロブスカイト2接合のモジュール記録22.8%(Renshine)と、ペロブスカイト単接合のモジュール記録22.1%(Renshine/Nanjing U)。 30.1%は0.05cm²に満たない研究用セルで、量産品の効率ではありません。 量産品(0.72m²)の効率は、NRELの17.2%(2024年)から、会社発表で22%超(2026年)まで上がっています。 なお会社紹介ページの年表には、2021年・2022年の欄に2025年と同じ内容が重複して表示されており(サイトの表示の不具合と考えられます)、本稿では年表のうち日付が個別ニュースで裏付けられる項目だけを使っています。

7. 今後の計画

GW級ライン建設中2026年8月時点。稼働時期の公表なし
150MWラインの将来全ペロブスカイト・タンデムへ改造2024年1月の竣工時の説明。時期は未公表
宇宙用フレキシブル全ペロブスカイト・タンデム江蘇省の重大専項。宇宙光伏の標準化作業にも参加
上場準備段階省の新鋭科技企業会議で上場支援を要望(2026年8月)

2026年8月の省科技庁の会議で、総裁の陈保印氏は「150MW量産ラインは安定して出荷しており、GW級の大規模量産ラインは建設を開始した」「技術の先行から市場の先導へ移る重要な段階にある」と述べ、 上場・産業支援・実証の場の拡大で行政の支援を求めました 事実。 2024年のGW級ライン契約時の説明では「完成後の年間生産額20億元超」とされていますが 未確定/将来、稼働時期は示されていません。

確認できなかったこと

次はいずれも仁爍光能の公式発表に記載がありません 未確定/将来。

売上高・損益・出荷量/資金調達の額と出資者/従業員数/GW級ラインの稼働時期と実際の投資額/ 全ペロブスカイト・タンデムの量産開始時期/製品価格。 報道には投資額や稼働予定の数字が出ていますが、会社の発表と一致しないものがあり、本稿では採用しません。

8. この会社はペロブスカイト太陽電池で何を目指しているか

ここは会社が直接には述べていない部分を含みます。一次情報から読み取れる範囲の推測として、根拠とともに書きます。

読み取れること根拠となる一次情報区分
単接合で稼ぎ、全ペロブスカイト・タンデムで跳ぶ二段構え量産・販売は単接合の1.2m×0.6m。150MWラインは将来、全ペロブスカイト・タンデムへ改造すると竣工時に説明推測
最初の市場は建物(BIPV)と分散型上海の旧工場屋根、BIPVカーテンウォール設備の省認定、中国建築設計研究院との提携、車棚・家庭用など、納入事例の大半が建物系推測
宇宙を長期の高付加価値市場として押さえる神舟23号での船外試験、宇宙用フレキシブル・タンデムの省重大専項、宇宙光伏の標準化作業への参加推測
実証データで「シリコンより発電する」を示して売る連雲港の実証電站で、4か月間の単位発電量がN型・P型シリコンの参照より高く、曇天で+15%と発表事実(会社が公表した運転データ)
近いうちに上場を目指す2026年8月、省の上場育成を議題とする会議に「新鋭科技企業」の代表として参加し、上場支援を要望推測
推測の根拠を1つだけ詳しく

2024年1月の150MWライン竣工の発表は、最後に「このラインは将来、より高効率の全ペロブスカイト・タンデム製品の生産用に改造する」と書いています 事実。 全ペロブスカイト・タンデムは、上下の層がどちらもペロブスカイトで、シリコンのウェーハを使いません。 つまり、単接合と同じガラス基板・同じ塗布や蒸着の設備を土台に、層を増やして効率を上げられる可能性があります。 本稿は、仁爍光能が単接合の量産で設備・歩留まり・販路を先に固め、その同じラインにタンデムを載せる道を描いていると読みます 未確定/将来。 ただし、下側に使う鉛スズ系の狭いバンドギャップのペロブスカイトは酸化しやすく、 会社自身もNature論文の紹介で「大面積での成膜均一性と電荷輸送」を課題に挙げています。 改造の時期は示されておらず、これは本稿の解釈にとどまります。

9. ペロブスカイト分野の提携マッピング

仁爍光能を中心としたペロブスカイトの関係 仁爍光能の公式ニュースに記載のある関係のみ。報道ベースの関係は含まない 共同研究・公的プロジェクト(実線・濃紺) 実証・納入(実線・橙) 戦略提携(点線) 仁爍光能 専業 南京大学 校企連合実験室 共著論文(Nature・Science) 宇宙分野の共同研究 中国科学院 半導体研究所 スウォンジー大学(2024年) 戦略提携 中国建築設計研究院(BIPV) 晶聯光電(材料とデバイスの適合) 公的プロジェクト 江蘇省 科技重大専項 雲南省 重大科技専項(水素) 実証電站(連雲港・徐圩) 江蘇方洋新能源が 運転データを公表 建物・農業への納入 上海の旧工場BIPV屋根 京能の延慶農光互補 ほか
図2 仁爍光能を中心としたペロブスカイトの関係。出典:仁爍光能の公式ニュース(2024〜2026年)と会社紹介ページ。濃紺の実線は共同研究と公的プロジェクト、橙の実線は実証・納入、点線は戦略提携です。中国建築設計研究院との協定の署名主体は、同社が設立した江蘇ペロブスカイト産業技術研究院です。晶聯光電(隆華科技グループ)との協定は日付が「1月30日」とだけあり、年は記事に書かれていません。出資者との関係は、額と顔ぶれが公表されていないため図に含めていません。

10. 提供している技術・製品・サービス

製品・技術一次資料の記述
単接合モジュール(主力)1.2m×0.6m。「烁電2.0」は全面積22%超・158.4W(TÜV SÜD)。IEC 61215/61730(TÜVラインランド)、UL、CQC、JP-ACの認証・登録
BIPV屋根・カーテンウォール・フェンス・採光屋根まで一体で提案。商用ペロブスカイトBIPVカーテンウォールの成套設備が2026年江蘇省「三首両新」の新技術新製品リストに入選
全ペロブスカイト・タンデム広バンドギャップと狭バンドギャップ(鉛スズ系)のペロブスカイトを重ねる2端子型。セル30.1%、モジュール22.8%〜26.4%(面積により異なる)
ペロブスカイト/シリコン・タンデム4端子モジュールで31.7%(384.02cm²、TÜV SÜD)。丽江のグリーン水素工場(118.4kWp)、北京・延慶の農光互補(京能集団)に納入
フレキシブル平米級の単接合で18%超、大面積の全ペロブスカイト・タンデムで23%超(会社発表)。宇宙用の開発
製造技術生物由来の安全な溶媒による大気中の製膜(Science)、「有機塩上浮」とカルボン酸鉛による大面積の表面パッシベーション(Nature 2026年8月)
素材技術者の視点:量産品の効率を上げたのは「溶媒」と「表面」

0.72m²の量産品の効率は、NRELの17.2%(2024年)から22.0%(2026年、Nature掲載の認証値)へ上がりました。 会社の紹介によれば、効き目が大きかったのは2つです 事実。 1つは溶媒で、2-メトキシエタノール・1,3-ジオキソラン・DMSOを混ぜた蒸気圧の高い溶媒と真空乾燥の組み合わせにより、 膜の表面にヨウ化ホルムアミジニウム(FAI)が多い層が自然に浮き上がるようにしました。 もう1つは表面パッシベーションで、湿気に弱いアンモニウム系の代わりに、化学的に安定なカルボン酸鉛をその層と反応させています。

大面積で問題になるのは、小さなセルでは効く処理が1m²全体に均一に効かないことと、 工場の大気中で湿気の影響を受けることです。 「表面に反応の足場を自然にそろえてから、湿気に強い材料で処理する」という発想は、 塗布工程の条件に合わせて材料を選び直したもので、量産を前提にした材料設計の好例です。 塗布製膜の考え方は本シリーズの技術解説『塗布製膜』も参照してください。

11. この企業が抱えるリスク

リスク内容区分
財務が見えない非上場で売上・損益・調達額・従業員数が非公表。資金の持続性を外部から評価できない未確定/将来
GW級ラインの立ち上げ2025年2月着工で、2026年8月時点でも「建設開始済み」。稼働時期は示されていない事実
看板技術と量産品の距離記録の看板は全ペロブスカイト・タンデムだが、量産は単接合。タンデムの量産時期は未定事実
小面積記録の読み違い30.1%は0.05cm²未満のセル。量産品の効率は22%前後で、シリコンの量産品と同水準事実
長期信頼性の実績実証データは最長でも数か月〜約2年分の発表にとどまり、25年以上の屋外耐久は未実証推測
会社サイトの情報精度会社紹介の年表に年の重複表示があり、ニュースの掲載日が実際のできごとの日と異なる事実

12. 用語集

全ペロブスカイト・タンデム
バンドギャップの違う2種類のペロブスカイトを重ねたタンデム。シリコンを使わない。
単接合
発電層がペロブスカイト1層だけの太陽電池。仁爍光能の量産品はこれ。
鉛スズ系ペロブスカイト
鉛の一部をスズに置き換えてバンドギャップを狭くした材料。全ペロブスカイト・タンデムの下側に使う。スズが酸化しやすい。
4端子(4T)
上下のセルを電気的に独立させ、別々に電極を取り出す構造。電流を揃える必要がない。
表面パッシベーション
膜の表面の欠陥を不活性化し、電荷が無駄に消えるのを防ぐ処理。
BIPV
建材一体型太陽光発電。屋根材や外壁材そのものが発電する。
JET
日本の電気安全環境研究所。太陽電池の効率を測定・認証する機関の1つ。
三首両新
江蘇省が認定する首台(套)設備・首批次新材料・首版次ソフトと、新技術・新製品の制度。
概念図:ガラス型のペロブスカイト単接合モジュールと、2層のペロブスカイトを重ねたタンデムの比較
図3 仁爍光能の単接合モジュールと全ペロブスカイト・タンデムの概念図(AI生成による概念図。実際の設備や製品を写したものではありません)。

13. 出典

  1. 仁烁光能(苏州)有限公司 会社紹介ページ「公司介绍」(中国語)。2021年末設立、中核特許130件余り、効率の到達点、江蘇ペロブスカイト産業技術研究院、年表、販売地域。 https://www.renshinesolar.com/about
  2. 仁爍光能 ニュース「仁烁光能150MW钙钛矿光伏组件项目顺利竣工投产」(150MWペロブスカイトモジュール項目が竣工・稼働)(中国語)。2024年1月11日竣工、2023年4月着工、1.2m×0.6m、将来の全ペロブスカイト・タンデムへの改造、株主代表の発言。 https://www.renshinesolar.com/article/detail?id=28
  3. 仁爍光能 ニュース「仁烁光能GW级钙钛矿光伏电池项目落户常熟」(GW級ペロブスカイト電池項目が常熟に立地)(中国語)。2024年5月28日契約、投資総額10億元以上・年間生産額20億元超の見込み、南京大学系企業との協力、特許60件余り。 https://www.renshinesolar.com/article/detail?id=29
  4. 仁爍光能 ニュース「总部暨GW级钙钛矿产线项目建设启动仪式」(本社およびGW級ライン建設の起工式)(中国語)。2025年2月20日。 https://www.renshinesolar.com/article/detail?id=41
  5. 仁爍光能 ニュース「商用钙钛矿组件获美国NREL权威认证」(商用モジュールがNRELの認証を取得)(中国語)。2024年9月、0.72m²全面積17.2%。 https://www.renshinesolar.com/article/detail?id=37
  6. 仁爍光能 ニュース「荣获德国莱茵TÜV IEC 61215/61730 全套认证」(TÜVラインランドのIEC全項目認証)(中国語)。2024年12月30日。 https://www.renshinesolar.com/article/detail?id=40
  7. 仁爍光能 ニュース「1.2MW钙钛矿分布式电站建成并网发电」(1.2MW分散型発電所の系統連系)(中国語)。2024年9月29日、9,300枚、平均130W。 https://www.renshinesolar.com/article/detail?id=38
  8. 仁爍光能 ニュース「连破两项钙钛矿组件世界纪录,总揽六项国际权威认证」(モジュール記録2件を更新、6項目の国際認証)(中国語)。効率表第68版、22.1%・19.3%・30.1%・28.2%・26.2%・22.8%、NLRチャートへの収録。 https://www.renshinesolar.com/article/detail?id=69
  9. 仁爍光能 ニュース「31.7%!仁烁光能叠层组件效率再创新高」(タンデムモジュールの効率31.7%)(中国語)。4端子ペロブスカイト/シリコン、384.02cm²、TÜV SÜD。 https://www.renshinesolar.com/article/detail?id=48
  10. 仁爍光能 ニュース「26.4%!仁烁光能再创大面积全钙钛矿叠层组件世界纪录」(大面積全ペロブスカイト・タンデムモジュール26.4%)(中国語)(2026年9月)。開口面積809cm²、TÜV SÜD、過去の推移。 https://www.renshinesolar.com/article/detail?id=90
  11. 仁爍光能 ニュース「承担科技重大专项,攻克太空光伏关键技术」(科技重大専項を担当し宇宙光伏の技術を開発)(中国語)。2025年江蘇省科技重大専項、フレキシブルの効率、スウォンジー大学との試験。 https://www.renshinesolar.com/article/detail?id=54
  12. 仁爍光能 ニュース「仁烁光能联合研制的钙钛矿电池随神舟二十三号开展空间站舱外在轨测试」(神舟23号で宇宙ステーション船外試験)(中国語)(2026年8月)。南京大学・中国科学院半導体研究所との共同研究。 https://www.renshinesolar.com/article/detail?id=24
  13. 仁爍光能 ニュース「应邀参加省科技厅新锐科技企业专题会议」(省科技庁の新鋭科技企業会議に参加)(中国語)(2026年8月26日)。150MWラインの安定出荷、GW級ラインの建設開始、上場支援の要望。 https://www.renshinesolar.com/article/detail?id=87
  14. 仁爍光能 ニュース「全球钙钛矿最高量产效率组件亮相欧洲智慧能源展」(量産効率の最も高いモジュールを欧州展示会で披露)(中国語)(2026年6月)。烁電2.0、全面積22%超・158.4W、各種認証。 https://www.renshinesolar.com/article/detail?id=73
  15. 仁爍光能 ニュース「再登《Nature》!从17.2%到22.0%」(Nature再掲載、17.2%から22.0%へ)(中国語)(2026年8月)。0.72m²全面積22.0%、溶媒と表面パッシベーションの技術、実証での発電量。 https://www.renshinesolar.com/article/detail?id=83
  16. 仁爍光能 ニュース「登顶《Nature》!26.2%效率大面积全钙钛矿叠层组件问世」(Nature掲載、26.2%の大面積全ペロブスカイト・タンデムモジュール)(中国語)(2026年6月)。JET認証26.2%、宇宙用途、鉛スズ系の課題。 https://www.renshinesolar.com/article/detail?id=71
  17. 仁爍光能 ニュース「华东地区首个规模化钙钛矿实证电站成绩单」(華東初の規模化ペロブスカイト実証電站の成績)(中国語)。連雲港・徐圩、江蘇方洋新能源の運転データ、シリコン参照との比較。 https://www.renshinesolar.com/article/detail?id=76
  18. 仁爍光能 ニュース「全球最大钙钛矿BIPV屋顶铺装完成」(世界最大のペロブスカイトBIPV屋根の敷設完了)(中国語)(2026年9月)。上海の旧工場、約6,000枚・4,000m²超。 https://www.renshinesolar.com/article/detail?id=66
  19. 仁爍光能 ニュース「钙钛矿叠层组件在绿氢工厂实现落地应用」(タンデムモジュールがグリーン水素工場に導入)(中国語)。丽江、ペロブスカイト/シリコン・タンデム、118.4kWp。 https://www.renshinesolar.com/article/detail?id=67
  20. 仁爍光能 ニュース「仁烁光能与中国院携手共筑BIPV产业新未来」(中国建築設計研究院とBIPVで提携)(中国語)(2025年11月13日)。 https://www.renshinesolar.com/article/detail?id=47
  21. 仁爍光能 ニュース「仁烁光能与晶联光电签署战略合作协议」(晶聯光電と戦略提携)(中国語)。1月30日(年の記載なし)、材料とデバイスの適合研究、量産工程の協調。 https://www.renshinesolar.com/article/detail?id=55
  22. NLR(米国立研究所、旧NREL) Cell efficiency data table(セル効率データ表)。「Nanjing Univ / Renshine」の全ペロブスカイト・タンデム30.1%(JET、0.04934cm²)。 https://www.nlr.gov/docs/libraries/pv/cell-efficiency-data-table.xlsx
  23. NLR(米国立研究所、旧NREL) Champion Module Efficiencies chart(チャンピオンモジュール効率チャート)。ペロブスカイト2接合22.8%(Renshine)、ペロブスカイト単接合22.1%(Renshine/Nanjing U)。 https://www.nlr.gov/docs/libraries/pv/champion-module-chart.pdf
  24. 仁爍光能 ニュース「北京首个钙钛矿农光互补项目铺装完成」(北京初のペロブスカイト農光互補項目の敷設完了)(中国語)。京能集団の延慶・張山営鎮の項目に単接合とシリコン・タンデムのモジュールを供給。 https://www.renshinesolar.com/article/detail?id=68
  25. 仁爍光能 公式サイト(社名表記とロゴ画像の取得元)。 https://www.renshinesolar.com/

14. 主張と出典の対応表

本文の主張区分出典
法人名、2021年末設立、中核特許130件余り、研究院と母体法人、販売地域、年表の重複表示事実出典1 https://www.renshinesolar.com/about
150MWライン(2023年4月着工、2024年1月11日竣工、1.2m×0.6m、国産設備、将来のタンデム改造)事実出典2 https://www.renshinesolar.com/article/detail?id=28
GW級ラインの契約(2024年5月28日)、投資総額10億元以上、年間生産額20億元超の見込み、10MW中試線、特許60件余り事実出典3 https://www.renshinesolar.com/article/detail?id=29
本社とGW級ラインの着工(2025年2月20日)事実出典4 https://www.renshinesolar.com/article/detail?id=41
NREL認証17.2%(0.72m²全面積)事実出典5 https://www.renshinesolar.com/article/detail?id=37
IEC 61215/61730全項目認証(2024年12月30日)事実出典6 https://www.renshinesolar.com/article/detail?id=40
1.2MW発電所(9,300枚、平均130W)事実出典7 https://www.renshinesolar.com/article/detail?id=38
効率表第68版の6項目(22.1%・19.3%・30.1%・28.2%・26.2%・22.8%)事実出典8 https://www.renshinesolar.com/article/detail?id=69
4端子ペロブスカイト/シリコン・タンデムモジュール31.7%(384.02cm²、TÜV SÜD)事実出典9 https://www.renshinesolar.com/article/detail?id=48
全ペロブスカイト・タンデムモジュール26.4%(809cm²、TÜV SÜD)事実出典10 https://www.renshinesolar.com/article/detail?id=90
江蘇省科技重大専項、フレキシブルの効率、スウォンジー大学との試験事実出典11 https://www.renshinesolar.com/article/detail?id=54
神舟23号での船外試験、南京大学・中国科学院半導体研究所との共同研究事実出典12 https://www.renshinesolar.com/article/detail?id=24
150MWラインの安定出荷、GW級ラインの建設開始、上場支援の要望(2026年8月)事実出典13 https://www.renshinesolar.com/article/detail?id=87
烁電2.0(全面積22%超・158.4W、TÜV SÜD)と各種認証事実出典14 https://www.renshinesolar.com/article/detail?id=73
0.72m²全面積22.0%、溶媒と表面パッシベーションの技術事実出典15 https://www.renshinesolar.com/article/detail?id=83
大面積全ペロブスカイト・タンデム26.2%(JET)、鉛スズ系の課題、宇宙用途事実出典16 https://www.renshinesolar.com/article/detail?id=71
連雲港の実証電站の運転データ(シリコン参照より高い単位発電量、曇天+15%)事実出典17 https://www.renshinesolar.com/article/detail?id=76
上海の旧工場BIPV屋根(約6,000枚・4,000m²超)事実出典18 https://www.renshinesolar.com/article/detail?id=66
丽江のグリーン水素工場へのタンデムモジュール納入(118.4kWp)事実出典19 https://www.renshinesolar.com/article/detail?id=67
京能集団の延慶の農光互補項目への供給事実出典24 https://www.renshinesolar.com/article/detail?id=68
中国建築設計研究院との提携(2025年11月13日)事実出典20 https://www.renshinesolar.com/article/detail?id=47
晶聯光電との戦略提携(1月30日、年の記載なし)事実出典21 https://www.renshinesolar.com/article/detail?id=55
NLRのセル効率データ表の30.1%(Nanjing Univ / Renshine、JET、0.04934cm²)事実出典22 https://www.nlr.gov/docs/libraries/pv/cell-efficiency-data-table.xlsx
NLRのモジュールチャートの22.8%(Renshine)と22.1%(Renshine/Nanjing U)事実出典23 https://www.nlr.gov/docs/libraries/pv/champion-module-chart.pdf
ペロブスカイト太陽電池の3類型の区分本稿の計算本稿による整理。企業名は本シリーズで扱う企業から例示
150MWで年間約95万〜115万枚、上海案件がその0.5〜0.6%本稿の計算出典2・7・14・18の数値を本稿が割り算したもの
売上・損益・出荷量・調達額・出資者・従業員数・GW級ラインの稼働時期と実投資額・製品価格未確定/将来出典1〜25に記載なし。報道の数値は採用しない https://www.renshinesolar.com/article/detail?id=87
単接合で稼ぎタンデムで跳ぶ二段構え、同じラインにタンデムを載せる道という読み推測出典2の改造計画からの本稿の解釈
最初の市場は建物と分散型という読み推測出典18・20などの納入・提携先の分布からの本稿の解釈
宇宙を長期の高付加価値市場として押さえるという読み推測出典11・12・16からの本稿の解釈
近いうちに上場を目指すという読み推測出典13からの本稿の解釈
25年以上の屋外耐久が未実証というリスク推測公表された運転データの期間からの本稿の解釈

最終更新:2026年9月25日/Troy Technical
本稿の数値は、仁爍光能の公式サイト(会社紹介・ニュース)とNLR(旧NREL)の公開資料に基づきます。同社は非上場で法定開示がないため、会社の発表と第三者の効率表を区別して示しました。調査会社の推計値・報道ベースの数値は使用していません。「推測」と記した箇所は、一次情報から本稿が読み取った解釈であり、会社の公表内容ではありません。