COMPANY PROFILE / ペロブスカイト太陽電池
First Solar
― 「シリコンを使わない」薄膜の巨人が、Evolar買収と特許ライセンスでペロブスカイトに備える
First Solarは、10-Kが「世界最大級の太陽電池メーカーのうち唯一の米国本社企業」と自ら書く会社で、シリコンではなくテルル化カドミウム(CdTe)の薄膜で大きくなった会社です。 2025年12月期の売上は約52億ドル、営業利益は約16億ドルに達しています。 そのFirst Solarは2023年5月、欧州のペロブスカイト開発企業Evolar ABを買収し、 オハイオ州にペロブスカイト専用の開発ラインを建て、2026年2月にはOxford PVから米国向けの特許ライセンスを受けました。 2026年7月の10-Qでは、ペロブスカイトのパイロットラインを2027年に使えるようにする見込みが初めて書かれています。 ただし、ペロブスカイト製品の効率・発売時期・投資額はいずれも公表されていません。 本稿では、会社全体の規模は簡潔にとどめ、First Solarがペロブスカイトに何をしてきたかを、米国SECへの法定開示と公的機関の発表だけで整理します。
- 30秒でわかるFirst Solarと、ペロブスカイト太陽電池での立ち位置
- ロゴと社名の表記について
- ペロブスカイト太陽電池の世界で、この会社はどこにいるか
- 会社の規模(CdTe事業は簡潔に)
- ペロブスカイトにかけているリソース
- これまでの取り組み(Evolarの買収を中心に)
- 今後の計画
- この会社はペロブスカイト太陽電池で何を目指しているか
- ペロブスカイト分野の提携マッピング
- 提供している技術・製品・サービス
- この企業が抱えるリスク
- 用語集/出典/主張と出典の対応表
1. 30秒でわかるFirst Solarと、ペロブスカイト太陽電池での立ち位置
(薄膜出身)シリコン出身ではない例外的な大手
ペロブスカイト開発ライン小型モジュールを試作。パイロットラインは2027年の見込み
米国ライセンス非独占。結晶シリコンを使う製品は対象外(2026年2月)
ペロブスカイト太陽電池に取り組む企業は、大きく既存の太陽電池大手・ペロブスカイト専業スタートアップ・素材や電機などの異業種の3種類に分かれます。 First Solarは既存の太陽電池大手ですが、LONGiやHanwha Qcellsのようなシリコン出身ではありません 事実。 同社の本業はガラスの上にCdTeの薄膜を積むモジュールで、2025年12月期の売上の約96%が米国向けです 本稿の計算。 このためペロブスカイトも、シリコンの上に重ねるのではなく、薄膜の技術として扱っています。 10-Kは「ペロブスカイトは単接合でも、場合によっては多接合でも、効率を大きく上げコストを下げる可能性がある」と書き、 Oxford PVとの特許ライセンスもわざわざ結晶シリコンを使う製品を対象外にしています。 製品の形はまだ決まっておらず、ガラス上の単接合ペロブスカイトか、薄膜同士のタンデムか、の両方を探っている段階です。
2. ロゴと社名の表記について

First Solarのロゴは同社の商標です。本稿では生成画像による再現を行わず、
公式サイトから取得した画像を img/first_solar_logo.png として設置しています(公式サイトで配布されている画像が小さいため、表示も小さめにしています)。
表記の注意:正式名称は First Solar, Inc.(デラウェア州法人)です。 買収したペロブスカイト企業の正式名は Evolar AB(ABはスウェーデンの株式会社の形態)で、10-Kは同社を「ペロブスカイト技術の開発企業」と書いています。 日本語では「ファースト・ソーラー」と読まれますが、本稿では英字表記に統一します。
公式サイト:https://www.firstsolar.com/3. ペロブスカイト太陽電池の世界で、この会社はどこにいるか
First Solarにとってペロブスカイトは、自社の強みでもあり、脅威でもある技術です。 10-Kのリスク要因は、競合技術として「結晶シリコン、ハイブリッド・ペロブスカイト、タンデム太陽電池、その他の薄膜」を並べ、 それらが自社製品より費用対効果や性能で優れる可能性を挙げています 事実。 一方で同じ10-Kは、ペロブスカイトを「自社の薄膜半導体技術の研究開発の焦点」として書いています。 ガラスに薄膜を積んでモジュールにする量産技術は、First Solarがすでに持っているものです。 つまり同社は、ペロブスカイトに負けないために、ペロブスカイトを自社の薄膜ラインに取り込もうとしていると整理できます。 技術的な背景は、本シリーズの技術解説「タンデム」「塗布製膜」も参照してください。
4. 会社の規模(CdTe事業は簡潔に)
CdTe事業そのものは本稿の主題ではないので、規模だけを押さえます 事実。
| 指標(千ドル) | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 | 2026年上半期 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 3,318,602 | 4,206,289 | 5,219,376 | 2,100,433 |
| 営業利益 | 857,266 | 1,394,420 | 1,596,864 | 795,689 |
| 研究開発費(全社) | 152,307 | 191,375 | 233,421 | 143,187 |
従業員は2025年12月31日時点で約7,900人で、多くは米国・マレーシア・インド・ベトナムで働いています。 スウェーデンにも従業員がおり、スウェーデンの技術者組合に代表されていると10-Kに書かれています 事実。
上の数字はすべてCdTeを中心とする会社全体のものです。 ペロブスカイトに使った研究開発費・設備投資・人員は、いずれも開示されていません 未確定/将来。 2026年2月のリリースは「薄膜の研究開発に累計20億ドル超を使ってきた(ペロブスカイトへの注力を含む)」と書いていますが、これはCdTeを含む累計で、ペロブスカイト分の内訳はありません。 なお2026年上半期の研究開発費の増加について、10-Qは「技術ロードマップで使わなくなった設備の減損」などを理由に挙げていますが、その設備がペロブスカイト関連かどうかは書かれていません。
5. ペロブスカイトにかけているリソース
| リソースの種類 | 内容 | 区分 |
|---|---|---|
| 人(専任組織・人員) | 「カリフォルニアと欧州のテクノロジーセンターの従業員」がペロブスカイトの効率と安定性の改善を進めていると10-K・10-Qに記載。ペロブスカイト専任の人数は非公表 | 事実 |
| 金(設備) | オハイオ州にペロブスカイト専用の開発ラインを建設・運営。小型のペロブスカイトモジュールを作る(2026年2月のリリース)。加えて2024年7月に稼働したオハイオ州の薄膜研究開発イノベーションセンターには、単接合とタンデムの薄膜モジュールの実寸試作品を作れる量産規模のパイロットラインがある。いずれも投資額は非公表 | 事実 |
| 外部への出資・買収 | Evolar ABを100%買収(2023年5月)。取得時に現金3,550万ドル(取得現金50万ドル控除後)、技術目標の達成に応じて最大4,250万ドルの追加支払い | 事実 |
| 買収で得た無形資産 | 買収対価のうち4,700万ドルを仕掛研究開発(IPR&D)、1,500万ドルをのれんに配分。IPR&Dは「ペロブスカイトの特定の生産能力に関する技術情報・ノウハウ」。のれんは「Evolarの技術者集団」と統合効果に帰属 | 事実 |
| 特許 | Oxford PVの登録特許と出願中の特許について、米国での非独占ライセンスを取得(2026年2月)。その他の条件は非開示 | 事実 |
| 公的資金 | 米国エネルギー省(DOE)太陽エネルギー技術局の「Advancing U.S. Thin-Film Solar Photovoltaics」で採択(2024年5月)。DOE負担600万ドル、自己負担150万ドル。ペロブスカイト(FAPbI₃系の広バンドギャップ)とCIGS(狭バンドギャップ)のタンデムで効率27%のモジュールを目指す研究 | 事実 |
| 大学・研究機関との共同研究 | ペロブスカイトに関する大学との共同研究は、10-K・10-Qに記載がない | 確認できず |
Evolarの対価は、取得時の現金3,550万ドルに、技術目標の達成に応じた追加支払い最大4,250万ドルを足すと、最大で約7,800万ドルです 本稿の計算。 追加支払いの義務(条件付対価)の公正価値は、取得時点で1,850万ドルと評価され、 2024年末に650万ドル、2025年末に220万ドルへと下がっています 事実。 10-Kは、この負債の公正価値の変動は「残りの目標を達成する確率と時期の見直し」にもとづくもので、研究開発費に計上すると説明しています。
ただし、減った分のうち目標を達成して実際に支払ったのか、達成の見込みを引き下げたのかの内訳は開示されていません 未確定/将来。 一方で全社のIPR&D残高は2024年末・2025年末とも43,159千ドルで変わっておらず、 会計方針上「完成すると有期の無形資産に振り替えて償却を始める」ものが、まだ振り替えられていません。 つまりEvolar由来の研究開発は、会計上まだ完成していない扱いです 事実。
6. これまでの取り組み(Evolarの買収を中心に)
| 時期 | できごと | 意味 |
|---|---|---|
| 2023年5月 | Evolar ABを100%買収。取得時の現金3,550万ドル、技術目標の達成で最大4,250万ドル。買収の狙いは「Evolarのノウハウを自社の研究開発・知財・薄膜量産の経験と統合し、高効率のタンデム(多接合)素子の開発を加速すること」 | ペロブスカイトの量産技術を外から買った |
| 2023年(10-K) | ペロブスカイト専用の開発ラインと、米国の研究開発施設(2024年完成予定、薄膜とタンデムの実寸試作用パイロットライン)を建設中と記載 | 設備投資の開始 |
| 2023年9月 | DOEが、CdTeとペロブスカイト・タンデムの製造を対象とする「Advancing U.S. Thin-Film Solar Photovoltaics」の公募を発表 | 公的資金の機会 |
| 2024年5月 | DOEが採択を発表。First Solarの「広バンドギャップFAPbI₃ペロブスカイトと狭バンドギャップCI(G)S下部セルによる高性能タンデムモジュール」(オハイオ州ペリーズバーグ)が600万ドルで採択 | 薄膜同士のタンデムという方向が公的な計画書に現れた |
| 2024年7月 | オハイオ州の研究開発イノベーションセンターが正式に稼働。量産規模のパイロットラインで薄膜とタンデムの実寸試作品を作れる | 試作の場が整った |
| 2025年(10-K) | ペロブスカイト開発ラインを「建設し運営している」と表現が変わる。条件付対価は220万ドルまで低下 | ラインが動き始めた |
| 2026年2月 | Oxford PVと特許ライセンス契約(米国・非独占・結晶シリコンを除く)。ペロブスカイト開発ラインで作る小型モジュールで、「初期段階の効率・安定性・量産性」の社内目標を達成したと説明 | 他社特許への備えと、社内の進捗の初公表 |
| 2026年7月 | 10-Qで「2027年に使えるようになる見込みのペロブスカイト・パイロットライン」に初めて言及 | 開発ラインの次の段階 |
7. 今後の計画
CEOのマーク・ウィドマー氏は、Oxford PVとの契約について「薄膜ペロブスカイト製品の製造と商業化への現実的な道筋を追求し続けられる」 「効率的で安定し製造可能なペロブスカイト素子の開発で、研究開発チームが進歩していることへの自信の表れ」と述べています 事実。 一方、10-Qは「商業規模で展開できるペロブスカイト製品」の開発を進行中の研究開発として書いており、量産の時期には触れていません。
次はいずれも一次情報に記載がありません 未確定/将来。
ペロブスカイト製品の量産・発売の時期/製品の形(単接合か、タンデムか、下部セルがCdTeかCIGSか)/ 社内で達成したという効率・安定性の具体的な数値/開発ラインとパイロットラインの投資額・生産能力/ ペロブスカイト専任の人数/Oxford PVへのライセンス料/Evolarの技術目標の中身と達成状況。 「First Solarが○年にペロブスカイトを量産」といった報道の年号は、本稿では採用しません。
8. この会社はペロブスカイト太陽電池で何を目指しているか
ここは会社が直接には述べていない部分を含みます。一次情報から読み取れる範囲の推測として、根拠とともに書きます。
| 読み取れること | 根拠となる一次情報 | 区分 |
|---|---|---|
| ペロブスカイトをシリコンの補強材ではなく、薄膜の次世代材料として位置づけている | 10-Kが「薄膜半導体技術の研究開発、特にペロブスカイト薄膜に注力」と書き、ライセンスも結晶シリコンを除外している | 事実 |
| 第一候補は薄膜同士のタンデム(ペロブスカイト/CIGS) | DOEに採択された研究がペロブスカイト/CIGSタンデムで27%を狙う。Evolar買収の狙いも「タンデム(多接合)素子の加速」。一方で10-Kは単接合の可能性も並べて書いている | 推測 |
| Oxford PVのライセンスは量産前の特許リスクの整理 | CEOが「知的財産の権利を尊重し守るという長年の立場と整合する」と述べ、契約が「製造と商業化への道筋」を追求し続けるためのものと説明 | 推測 |
| 当面の主力はCdTeの改良(CuRe)で、ペロブスカイトはその次 | 10-Qは、CuReについては2026年上半期にオハイオ州の1工場を恒久的に転換したと書く一方、ペロブスカイトはパイロットラインが2027年の見込みにとどまる | 推測 |
First Solarがペロブスカイト/CIGSのタンデムを本命と見ている、と本稿が考える根拠は3つあります。 (1) 2024年5月にDOEが採択した同社の研究は、広バンドギャップのペロブスカイトと狭バンドギャップのCIGSを組み合わせたモジュールで効率27%を目指すものです 事実。 (2) Evolarの買収は、10-Kで「高効率の多接合素子の開発を加速する」ためと説明されています 事実。 (3) Oxford PVのライセンスは結晶シリコンを使う製品を範囲外にしています 事実。 つまり同社は、シリコンの上にペロブスカイトを重ねる主流の道(LONGiやHanwha Qcellsが進む道)を自ら選ばないことを、契約の範囲で表しています。 CIGSもCdTeと同じくガラス上に積む薄膜なので、ガラス基板の大面積薄膜ラインという自社の資産をそのまま使える組み合わせです。 ただし10-Kは単接合のペロブスカイトの可能性も並べて書いており、どちらを製品にするかは会社は明言していません 未確定/将来。
9. ペロブスカイト分野の提携マッピング
10. 提供している技術・製品・サービス
2026年9月時点で、ペロブスカイトを使った製品は販売されていません。現在の製品はCdTe薄膜モジュール(改良版のCuReを含む)です。 ペロブスカイトについて一次情報で分かる技術の中身は次のとおりです 事実。
| 項目 | 内容(開示・公表の記述) |
|---|---|
| 開発の対象 | 「商業規模で展開できるペロブスカイト製品」。単接合と多接合の両方の可能性を記載(10-K・10-Q) |
| 試作の形 | オハイオ州のペロブスカイト開発ラインで小型のモジュールを作製(2026年2月のリリース) |
| DOE研究の構成 | 上部に広バンドギャップのFAPbI₃系ペロブスカイト、下部に狭バンドギャップのCI(G)S。ミニモジュールから大型化し、耐久試験を行う計画 |
| Evolarから得たもの | 「ペロブスカイトの特定の生産能力に関する技術情報・ノウハウ・その他の専有情報」(IPR&D)と技術者集団 |
| CdTeでの実績(参考) | 研究用セル23.1%(2024年5月、NREL認証)とモジュール開口面積効率19.9%。NLRの効率データ表にもFirst Solar名義のCdTe記録が並ぶ。ペロブスカイトの効率の記録はない |
2端子のタンデムでは、上のセルと下のセルに同じ電流が流れるため、上下の材料のバンドギャップの組み合わせが効率を大きく左右します。 上のペロブスカイトは広いバンドギャップ(短い波長の光を吸う)、下のセルは狭いバンドギャップ(長い波長の光を吸う)が理想です。 CdTeのバンドギャップは約1.5eVと比較的広く、ペロブスカイトの下に置く材料としては広すぎるため、 狭いバンドギャップに調整できるCIGSを下部に選んだと読むのが自然です 未確定/将来。 DOEの採択文書が下部セルを「狭バンドギャップのCI(G)S」と明記している点は、この読みと整合します 事実。
もう1つの論点は熱です。薄膜の下部セルの上にペロブスカイトを積む場合、ペロブスカイトの成膜・アニール温度が下部セルを傷めない範囲に収まる必要があり、 逆に下部セルの工程はペロブスカイトより先に済ませておく必要があります。 ガラス上に薄膜を順に積むという点で、First SolarのCdTeラインの工程設計の経験は生きますが、 CIGSは同社の現在の量産材料ではないため、下部セルの量産技術をどこから持ってくるかは開示からは分かりません。 本シリーズの技術解説「タンデム」「変換効率と評価指標」もあわせて参照してください。
11. この企業が抱えるリスク
| リスク | 内容 | 区分 |
|---|---|---|
| ペロブスカイトが本業の脅威になる | 10-Kが、ハイブリッド・ペロブスカイトやタンデムを、自社製品より費用対効果や性能で優れうる競合技術として挙げている | 事実 |
| 研究開発が成果につながらない | 10-Kが「多額の研究開発費に見合う成果が出る保証はない」と記載。Evolar由来のIPR&Dは会計上まだ完成していない | 事実 |
| 進捗が外から見えにくい | ペロブスカイトの効率・安定性の数値、投資額、人員、量産時期がいずれも非公表。社内目標を「達成した」とする説明だけがある | 未確定/将来 |
| 特許の制約 | Oxford PVのライセンスは米国のみ・非独占。米国外で製造・販売する場合の特許の扱いは一次情報からは分からない | 推測 |
| 下部セルの技術 | DOE研究の下部セルはCIGSで、CdTeの量産ラインとは材料が異なる。CIGSの量産体制を持つとの記載はない | 推測 |
| 主流から外れる選択 | シリコン/ペロブスカイトのタンデムで効率の記録を更新しているのはLONGiなどシリコン系の大手で、薄膜同士のタンデムは量産の前例が乏しい | 推測 |
12. 用語集
- CdTe(テルル化カドミウム)
- First Solarが量産する薄膜太陽電池の材料。ガラスの上に数マイクロメートルの薄膜として積む。
- CIGS
- 銅・インジウム・ガリウム・セレンからなる薄膜太陽電池の材料。組成でバンドギャップを調整できる。
- バンドギャップ
- 材料が吸収できる光のエネルギーの下限。広いほど短い波長(青い光)だけを吸う。
- 単接合/多接合(タンデム)
- 光を吸う層が1つか、複数重なっているか。多接合のほうが理論上の効率の上限が高い。
- IPR&D(仕掛研究開発)
- 買収で取得した、まだ完成していない研究開発の価値。完成すると償却を始め、失敗すれば減損する。
- 条件付対価
- 買収後に一定の目標を達成したら追加で支払う約束。公正価値で負債として計上し、見込みの変化に応じて見直す。
- CuRe
- First SolarのCdTeモジュールの改良プログラム。銅を別の元素に置き換え、温度特性や劣化率を改善する。
- SETO
- 米国エネルギー省の太陽エネルギー技術局。太陽電池の研究開発・製造への助成を行う。
13. 出典
- First Solar, Inc. Form 10-K for the fiscal year ended December 31, 2025(米国SEC提出、2026年2月24日)。ペロブスカイトの研究開発の記述、カリフォルニアと欧州の技術センター、ペロブスカイト開発ライン、薄膜研究開発イノベーションセンター、Evolarの買収と会計処理、条件付対価の残高、IPR&D残高、競合技術のリスク、売上・営業利益・研究開発費、従業員数、CdTeの効率記録。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1274494/000127449426000021/fslr-20251231.htm
- First Solar, Inc. Form 10-Q for the quarterly period ended June 30, 2026(米国SEC提出、2026年7月30日)。2027年に利用可能となる見込みのペロブスカイト・パイロットライン、CuReの工場転換、2026年上半期の売上・営業利益・研究開発費と増加理由。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1274494/000127449426000170/fslr-20260630.htm
- First Solar, Inc. Form 10-K for the fiscal year ended December 31, 2024(米国SEC提出、2025年2月25日)。研究開発イノベーションセンターの2024年7月の稼働、DOEの公募と2024年5月の採択にFirst Solarが含まれること、条件付対価の2024年末残高。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1274494/000127449425000010/fslr-20241231.htm
- First Solar, Inc. Form 10-K for the fiscal year ended December 31, 2023(米国SEC提出、2024年2月27日)。Evolarを「欧州のペロブスカイト技術開発企業」とする記述、ペロブスカイト開発ラインと研究開発施設の建設、条件付対価の2023年末残高(流動750万ドル・固定1,100万ドル)。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1274494/000127449424000004/fslr-20231231.htm
- First Solar, Inc. Form 10-Q for the quarterly period ended June 30, 2023(米国SEC提出、2023年7月27日)。2023年5月のEvolar買収の取得時点の記載と、買収の狙い(高効率タンデム素子の開発の加速)。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1274494/000127449423000022/fslr-20230630.htm
- 米国エネルギー省(DOE) Advancing U.S. Thin-Film Solar Photovoltaics Funding Program(採択一覧)。First Solarの採択課題名、所在地、DOE負担600万ドル・自己負担150万ドル、研究責任者、効率27%を目指すペロブスカイト/CIGSタンデムモジュールの研究内容。 https://www.energy.gov/cmei/systems/advancing-us-thin-film-solar-photovoltaics-funding-program
- First Solar / Oxford PV プレスリリース「First Solar, Oxford PV Enter into Patent Licensing Agreement for US Markets」(2026年2月24日、アリゾナ州フェニックス発)。非独占ライセンス、米国の用途、結晶シリコンの除外、ペロブスカイト開発ラインの小型モジュールと社内目標の達成、薄膜研究開発への累計20億ドル超、CEOの発言。 https://www.oxfordpv.com/press-releases/first-solar-oxford-pv-enter-into-patent-licensing-agreement-for-us-markets
- First Solar, Inc. 公式サイト(ロゴ画像の取得元)。 https://www.firstsolar.com/
- 米国立研究所NLR(旧NREL) Best Research-Cell Efficiency データ表(First Solar名義のCdTeの記録と、ペロブスカイト関連の記録がないこと、ペロブスカイト/シリコンの最新記録の名義)。 https://www.nlr.gov/docs/libraries/pv/cell-efficiency-data-table.xlsx
14. 主張と出典の対応表
| 本文の主張 | 区分 | 出典 |
|---|---|---|
| 正式名称、CdTe薄膜が本業であること、売上・営業利益・研究開発費(2023〜2025年12月期)、従業員約7,900人 | 事実 | 出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1274494/000127449426000021/fslr-20251231.htm |
| ペロブスカイトを単接合・多接合の両方の可能性で研究し、カリフォルニアと欧州の技術センターが担うこと | 事実 | 出典1・2 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1274494/000127449426000170/fslr-20260630.htm |
| オハイオ州のペロブスカイト開発ラインの建設・運営と、2027年に利用可能となる見込みのパイロットライン | 事実 | 出典2 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1274494/000127449426000170/fslr-20260630.htm |
| 2026年上半期の売上・営業利益・研究開発費と増加理由、CuReの工場転換 | 事実 | 出典2 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1274494/000127449426000170/fslr-20260630.htm |
| Evolarの100%買収(2023年5月)、現金3,550万ドル、最大4,250万ドルの条件付対価、IPR&D 4,700万ドル・のれん1,500万ドル | 事実 | 出典1・5 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1274494/000127449423000022/fslr-20230630.htm |
| 条件付対価の残高(取得時1,850万ドル、2023年末1,850万ドル、2024年末650万ドル、2025年末220万ドル)と会計処理 | 事実 | 出典1・3・4 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1274494/000127449424000004/fslr-20231231.htm |
| IPR&D残高が2024・2025年末とも43,159千ドルで、完成すると振り替えて償却する会計方針 | 事実 | 出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1274494/000127449426000021/fslr-20251231.htm |
| 研究開発イノベーションセンターの2024年7月の稼働と、薄膜・タンデムの実寸試作用パイロットライン | 事実 | 出典3 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1274494/000127449425000010/fslr-20241231.htm |
| DOEの公募(2023年9月)と採択(2024年5月)にFirst Solarが含まれること | 事実 | 出典3 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1274494/000127449425000010/fslr-20241231.htm |
| DOE採択課題の名称・所在地・金額(600万ドル+自己負担150万ドル)・ペロブスカイト/CIGSで効率27%の目標 | 事実 | 出典6 https://www.energy.gov/cmei/systems/advancing-us-thin-film-solar-photovoltaics-funding-program |
| Oxford PVとの特許ライセンス(米国・非独占・結晶シリコン除外)、小型モジュールでの社内目標の達成、薄膜研究開発の累計20億ドル超、CEOの発言 | 事実 | 出典7 https://www.oxfordpv.com/press-releases/first-solar-oxford-pv-enter-into-patent-licensing-agreement-for-us-markets |
| 競合技術としてハイブリッド・ペロブスカイトやタンデムを挙げるリスク要因、研究開発の成果が保証されないとの記載 | 事実 | 出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1274494/000127449426000021/fslr-20251231.htm |
| CdTeの研究用セル23.1%(2024年5月)とモジュール19.9%の記録、NLRの表にペロブスカイト関連のFirst Solar名義の記録がないこと | 事実 | 出典1・3・9 https://www.nlr.gov/docs/libraries/pv/cell-efficiency-data-table.xlsx |
| 2025年12月期の売上の約96%が米国向け | 本稿の計算 | 出典1の地域別売上(米国4,994,679千ドル÷合計5,219,376千ドル)から本稿が算出 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1274494/000127449426000021/fslr-20251231.htm |
| Evolarの対価が最大で約7,800万ドル | 本稿の計算 | 出典1の3,550万ドルと4,250万ドルを本稿が足したもの https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1274494/000127449426000021/fslr-20251231.htm |
| ペロブスカイト太陽電池の3類型の区分(既存大手/専業スタートアップ/異業種) | 本稿の計算 | 本稿による整理。企業名は本シリーズで扱う企業から例示 |
| ペロブスカイトの効率・安定性の数値、投資額、専任人員、量産時期、製品の形、ライセンス料、Evolarの技術目標の中身と達成状況 | 未確定/将来 | 出典1・2・7に記載なし。報道ベースの数値は採用しない https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1274494/000127449426000170/fslr-20260630.htm |
| 大学との共同研究、他社との合弁 | 未確定/将来 | 出典1・2に記載なし。本稿では存在しないとも断定しない https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1274494/000127449426000021/fslr-20251231.htm |
| 第一候補は薄膜同士のタンデム(ペロブスカイト/CIGS)という読み | 推測 | 出典1・6・7の記述からの本稿の解釈 |
| Oxford PVのライセンスは量産前の特許リスクの整理、当面の主力はCuReという読み | 推測 | 出典2・7の記述からの本稿の解釈 |
| CdTeはペロブスカイトの下部セルとしてはバンドギャップが広すぎ、CIGSを選んだという説明 | 推測 | 出典6の記述と半導体材料の一般的な知識にもとづく本稿の解説 |
| 米国外での特許の扱い、CIGSの量産体制、主流から外れる選択に関するリスク | 推測 | 出典1・6・7・9からの本稿の解釈 |
最終更新:2026年9月25日/Troy Technical
本稿の数値は、First Solar, Inc.が米国証券取引委員会(SEC)に提出した法定開示書類、米国エネルギー省の公表資料、同社が参加した公式リリース、米国立研究所NLRの効率データに基づきます。調査会社の推計値・報道ベースの数値は使用していません。「推測」と記した箇所は、一次情報から本稿が読み取った解釈であり、会社の公表内容ではありません。