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OIF|光通信・フォトニクス 機関解説

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INSTITUTION PROFILE / 光通信・フォトニクス

OIF(Optical Internetworking Forum)
― 光モジュールの「つなぎ方」を会員企業どうしで決める業界団体

OIFは米国カリフォルニア州に本部を置く会員制の業界団体で、国の機関でも国際機関でもありません。 役割は、光モジュールや電気インターフェースについて複数社の製品がそのままつながるための仕様(実装合意書=IA)をつくり、無料で公開することです。 データセンター間をつなぐコヒーレント光モジュールの400ZR・800ZR・1600ZRや、CPO(光電融合パッケージ)のモジュール仕様はOIFのIAです。 本稿では、OIFが光通信・フォトニクスにどこまで影響を持つのかに絞って整理します。

構成:OIFの公式サイト(組織概要、会員一覧、理事会、会員種別と会費、IA一覧、現行プロジェクト、リエゾン、法務方針)とプレスリリースを一次情報として使用/最終更新 2026年9月

この記事でわかること
  1. 30秒でわかるOIF
  2. どんな機関か ― 影響力の「型」
  3. 光通信・フォトニクスで何をしているか
  4. 影響力の範囲(権限と地域)
  5. 関わっている企業・組織
  6. 今後の見通し
  7. 用語集/出典/主張と出典の対応表

1. 30秒でわかるOIF

正式名称Optical Internetworking Forum略称 OIF
国・地域米国(カリフォルニア州フリーモント)本部の所在地。会員は世界各国の企業
機関の種類会員制の業界団体国の標準化機関・国際機関ではない
設立1998年OIFのプレスリリースの記載
人数規模会員 180社超通信事業者・装置・部品・試験機器メーカーなど
会費正会員 年9,500ドル年商1,000万ドル未満は4,900ドル。監査会員4,500ドル、学術会員1,000ドル
光通信・フォトニクスへの関与の形実装合意書(IA)の策定と相互接続の実演ZR系コヒーレント、CPO、外部光源、モジュール管理など
影響が及ぶ範囲IAを採用する世界の企業法的拘束力はない。IAは無料で公開
まず押さえるべき1点

OIFの成果物は法律や国の規格ではなく、会員企業どうしの「実装合意書(IA)」です。 OIF自身はIAを「相互運用できるハードウェア・ソフトウェア・システムをつくるときに参照する、電気・光・機械・プロトコル・ソフトウェアのインターフェースの規範的な仕様の集まり」と説明しています 事実。 守らせる権限はありませんが、データセンター間をつなぐコヒーレント光モジュールでは400ZR(2020年3月)、800ZR(2024年10月)、1600ZR(2026年9月)と世代ごとにIAが出ており、 OIFは「ZRの仕事がコヒーレント光を従来の伝送装置からルーターやスイッチに直接載せるうえで中心的な役割を果たした」と説明しています(OIFの自己評価)。

2. どんな機関か ― 影響力の「型」

光通信・フォトニクスの記事に出てくる「機関」は、企業と違って光部品を製品として売りません。 その代わりに、どういう経路で業界に影響を与えるかで4つの型に分けられます。

光通信・フォトニクスを動かす「機関」の4つの型 機関は光部品を製品として売らない。どの経路で業界に影響を与えるかで4つに分かれる 資金を出す 政策・規制を決める 標準を決める 場をつくる 研究開発に予算を配る 戦略・補助金・法律 仕様・規格・勧告 学会・展示会・業界団体 NICT/AIM Photonics 総務省/米国防総省 OIF/IEEE 802.3/ITU-T OFC/IOWN GF/OCP 何を研究させるか 何を国内で作らせるか どうつなぎ、どう測るか 誰が誰に会うか 届く範囲=自国の予算 届く範囲=自国の領域 届く範囲=採用した企業 届く範囲=参加者 OIFは「標準を決める」型。光モジュールと電気インターフェースの実装合意書(IA)をつくる IAに法的な拘束力はなく、採用するかどうかは各社の判断。複数社の製品をつなぐ共通の土台として使われる
図1 光通信・フォトニクスに関わる機関の4つの型と、OIFの位置。区分は本稿によるもので、機関名は本シリーズで扱う8機関と、その資金の出し手である政府機関から例示しています 本稿の計算。OIFは国の標準化機関ではなく会員制の業界団体ですが、成果物(IA)が製品仕様の共通の土台になるため「標準」の型に置いています。

3. 光通信・フォトニクスで何をしているか

OIFのIA一覧と現行プロジェクトのうち、データセンターの光インターコネクトと光伝送に関わるものを分野ごとにまとめます。年月はOIFのIA一覧の表記です 事実。

分野公開済みの主なIA(公開時期)中身進行中の作業(2026年9月時点)
コヒーレント光
(データセンター間)
400ZR 第1版(2020年3月)
800ZR(2024年10月)
800LR(2025年4月)
1600ZR(2026年9月)
1600ZRは1.6Tのイーサネットを1波長で送る仕様。増幅器を使う2点間の高密度波長多重(DWDM)で最大120km1600ZR+(最大1,000km、1200ZR+は最大2,000km)、1600CL(キャンパス内の長距離向け)
CPO・NPO
(旧Co-Packaging、現在は省電力インターフェース=EEI)
CPOの枠組み文書(2022年2月)
3.2Tb/s CPOモジュール(2023年3月)
外部光源ELSFP 第1版(2023年8月)・第2版(2025年1月)
112G RTLR(2025年10月)
CPOモジュールの仕様と、レーザー光源をスイッチの外に置くための差し替え式光源モジュールの仕様12.8Tb/s・6.4Tb/s のNPOモジュール(200G/レーン)、224G RTLR、AIの計算機どうしをつなぐ光インターフェース(COI)
電気インターフェース(CEI)CEI-112G系などチップとチップ、チップと光モジュールの間の電気信号の仕様CEI-224G(XSR・VSR・MR・LR)、LPO・CPO・NPO向けのCEI-224G-Linear、CEI-448G(VSR・LR)
モジュール管理(CMIS)CMIS、C-CMIS 1.5・CMIS-LT(2026年8月の会合で承認)QSFP-DDやOSFPなどの光モジュールを、どのメーカーのスイッチからも同じ方法で管理するための仕様IEEE 802.3djの付属書178Bに対応するCMIS-APSU、セキュリティ機能

IAをつくるだけでなく、複数社の製品を実際につないで見せる相互接続の実演も行っています。 2026年9月の欧州光通信会議(ECOC 2026、スペイン・マラガ)では、39社の会員企業が光システム、CEI-448G・224G、CMIS、CPO、省電力インターフェースなどの実演に参加すると発表しました 事実。

素材技術者の視点:CPO・NPOのIAは「実装の条件」まで決める

進行中の12.8Tb/s NPOモジュールのIAは、機械的な寸法、電気接続とピン配置、液冷の熱インターフェースの要件、光源、電源、光コネクタを扱うと計画に書かれています 事実。 つまりOIFのIAは電気信号の取り決めだけでなく、モジュールの外形や放熱の条件にまで及びます。 放熱材、コネクタ、封止材などの部材を供給する立場からは、IAの版が上がるたびに「どの寸法・温度条件で使われるか」の前提が変わる点に注意が必要です。

4. 影響力の範囲(権限と地域)

観点OIFが持っているもの持っていないもの
権限会員の投票でIAを承認し、無料で公開する権限。相互接続の実演を主催するIAを守らせる権限、製品の販売を認めたり禁じたりする権限、研究資金
地域本部は米国だが、会員は米国・日本・中国・欧州・台湾・韓国などの企業と大学特定の国の法律や技術基準に組み込まれる仕組み
意思決定正会員は1社1票で選挙と技術文書に投票。監査会員は会合に出られるが作業部会で発言できない個人単位の投票(IEEE 802.3とは違い、企業単位)
他の標準化団体との関係IEEE 802.3、ITU-T SG15、Ethernet Alliance、PCI-SIG、InfiniBand、SNIA SFFなどにリエゾン(連絡役)を選任。ミッションに「世界の標準化団体へフィードバックする」と明記IEEEやITUの規格を置き換える権限
輸出規制との関係公開の技術情報は米国輸出管理規則(EAR)上の「公開済み」にあたり、エンティティ・リスト掲載企業に出しても許可は不要というOIFの見解を公表各国の輸出規制を免除する権限。暗号技術などは例外で、各社が自社の責任で判断する
「事実上の標準」の読み方の注意

IAは無料で公開され、誰でも実装できますが、IAに準拠していることを法的に証明する制度ではありません。 400ZRのように広く使われる仕様もあれば、公開されても製品が広がらない仕様もあり得ます。 本稿で確認した一次情報はOIFの公式サイトとプレスリリースで、各IAに準拠した製品の出荷量や市場シェアは公表されていません 未確定/将来。

5. 関わっている企業・組織

OIFを中心にした関係図 会員企業が要件と技術を持ち寄り、IAとして無料で公開し、他の標準化団体と連絡を取り合う 会員(理事・役員の出身企業) TE Connectivity/HPE/Qualcomm Broadcom/Ciena/Nokia/Cisco Huawei/Amphenol 会員全体は180社超 OIF(米国) IAを承認し、無料で公開 リエゾン先(他の団体) IEEE 802.3/ITU-T SG15 Ethernet Alliance/PCI-SIG InfiniBand/SNIA SFF ほか コヒーレント(DC間) 400ZR(2020年3月) 800ZR(2024年10月) 1600ZR(2026年9月) CPO・外部光源 3.2T CPOモジュール(2023年3月) ELSFP 第2版(2025年1月) 12.8T NPO(作業中) モジュール管理 CMIS(プラガブルの管理) C-CMIS 1.5(2026年承認) CMIS-LT(2026年承認)
図2 OIFを中心にした関係図。出典:OIFの理事会・役員のページ、リエゾンのページ、IA一覧、現行プロジェクトのページ、2026年9月2日のプレスリリース。理事・役員の出身企業は同ページの表記どおりで、会員企業の一部です 事実。

本シリーズの企業解説との関係

区分企業(本シリーズの対象候補)OIFでの立場(一次情報の表記)
理事・役員を出しているBroadcom、Ciena、Nokia、CiscoBroadcomは理事と技術委員会副委員長、Ciena・Nokia・Ciscoは理事
正会員として掲載NVIDIA、Marvell、Lumentum、Coherent、Eoptolink、GlobalFoundries、AMD、Credo、Lightmatter、Ayar Labs、NTT、住友電工、古河電工、フジクラ、三菱電機、Corning会員一覧の「Principal Members」に社名あり(CredoはCredo Semiconductor (HK)、AMDはAdvanced Micro Devicesの表記)
会員一覧に見当たらないInnoLight、Intel、TSMC、Celestial AI、Tower Semiconductor、富士通(社名として)2026年9月に確認した会員一覧に社名がない(富士通の社名はないが、1Finityは正会員として掲載)

※会員であることは、その社がIAの作成に深く関わっていることを意味しません。IAの本文ごとの貢献企業は、本稿で確認した公開情報には載っていません。区分は本稿が会員一覧と照合したものです 本稿の計算。

6. 今後の見通し

読み取れること根拠となる一次情報区分
データセンター間の1.6Tコヒーレントでも、複数社の互換モジュールが並ぶ方向に進む1600ZRのIAが2026年9月に公開され、400ZR・800ZRと同じ手順でつくられたとOIFが説明。ECOC 2026で複数社のZR相互接続を実演推測
CPOの次の標準化の焦点は、NPOと、AIの計算機どうしをつなぐ光I/Oに移る現行プロジェクトに12.8Tb/s NPOモジュールとCOI(PCIe・NVLink・UALink向けの光インターフェース)が並ぶ推測
IEEE 802.3が決めない部分(モジュールの管理など)をOIFが補う分担が続くCMIS-APSUはIEEE 802.3djの付属書178Bを管理するための仕様と説明されている。IEEE 802.3にリエゾンを置いている推測

7. 用語集

IA(実装合意書)
OIFの成果物。複数社の製品がつながるためのインターフェースの規範的な仕様。法的拘束力はない。
ZR/LR
光モジュールの伝送距離の区分を表す呼び名。OIFの1600ZRは最大120kmのデータセンター間接続を想定。
CPO/NPO
光電融合パッケージ(光部品をスイッチのチップと同じパッケージに載せる)と、その近くに置く方式。
ELSFP
CPOで使うレーザー光源を、差し替えできるモジュールとしてスイッチの外側に置くための仕様。
CMIS
光モジュールを、ホスト機器から共通の方法で管理・診断・ファームウェア更新するための仕様。

8. 出典

  1. OIF About OIF(25年以上の活動、IAの無料公開、180社超の会員)。 https://www.oiforum.com/about-oif/
  2. OIF Member Companies(正会員・監査会員・学術会員の一覧)。 https://www.oiforum.com/about-oif/member-companies/
  3. OIF Board of Directors and Officers(理事・役員と出身企業、本部所在地)。 https://www.oiforum.com/about-oif/board-of-directors-and-officers/
  4. OIF Become an OIF Member(会員種別、年会費、正会員の1票、監査会員の制限)。 https://www.oiforum.com/become-an-oif-member/
  5. OIF Implementation Agreements(IAの定義、ZR・CPO・ELSFP・RTLRなどのIA一覧と公開年月)。 https://www.oiforum.com/technical-work/implementation-agreements-ias/
  6. OIF Current OIF Work(CEI-224G・448G、CMIS、NPO、COI、1600ZR+、1600CLなどの現行プロジェクト)。 https://www.oiforum.com/technical-work/current-work/
  7. OIF プレスリリース「OIF Releases Critical 1600ZR Coherent Interface IA」(2026年9月9日)。1.6Tを1波長、最大120km、ZRの経緯、ECOC 2026での実演。 https://www.oiforum.com/oif-releases-critical-1600zr-coherent-interface-ia-doubling-capacity-per-wavelength-for-data-center-interconnects/
  8. OIF プレスリリース「OIF Closes Q3 Member Meeting with Critical Implementation Agreements」(2026年9月2日)。CMIS-LTとC-CMIS 1.5の承認、ECOC 2026の39社の実演。 https://www.oiforum.com/oif-closes-q3-member-meeting-with-critical-implementation-agreements-for-high-speed-networks/
  9. OIF OIF Legal(エンティティ・リスト掲載企業との関わりに関する声明)。 https://www.oiforum.com/about-oif/oif-legal/
  10. OIF Liaisons(IEEE 802.3、ITU-SG15などのリエゾン)。 https://www.oiforum.com/technical-work/liaisons/
  11. OIF OIF Mission(IAの対象、相互接続試験、世界の標準化団体へのフィードバック)。 https://www.oiforum.com/about-oif/board-of-directors-and-officers/oif-mission/
  12. OIF プレスリリース「OIF CEI Technology for 56 Gbps Available for Wider Industry Adoption」(2018年1月16日)。「1998年に発足」の記載。 https://www.oiforum.com/oif-cei-technology-for-56-gbps-available-for-wider-industry-adoption/

9. 主張と出典の対応表

本文の主張区分出典
25年以上の活動、IAの無料公開、会員180社超事実出典1 https://www.oiforum.com/about-oif/
本シリーズの対象候補企業が会員一覧にあるかどうか事実出典2 https://www.oiforum.com/about-oif/member-companies/
理事・役員の出身企業、本部がカリフォルニア州フリーモント事実出典3 https://www.oiforum.com/about-oif/board-of-directors-and-officers/
会員種別と年会費、正会員の1票、監査会員は作業部会で発言できない事実出典4 https://www.oiforum.com/become-an-oif-member/
IAの定義、400ZR・800ZR・800LR・1600ZR・CPO・ELSFP・RTLRの公開年月事実出典5 https://www.oiforum.com/technical-work/implementation-agreements-ias/
現行プロジェクト(NPOの液冷・光コネクタ、COI、CEI-448G、CMIS-APSU、1600ZR+の距離)事実出典6 https://www.oiforum.com/technical-work/current-work/
1600ZRの内容、ZRの経緯に関するOIFの説明事実出典7 https://www.oiforum.com/oif-releases-critical-1600zr-coherent-interface-ia-doubling-capacity-per-wavelength-for-data-center-interconnects/
CMIS-LT・C-CMIS 1.5の承認、ECOC 2026で39社が実演事実出典8 https://www.oiforum.com/oif-closes-q3-member-meeting-with-critical-implementation-agreements-for-high-speed-networks/
輸出管理規則に関するOIFの見解事実出典9 https://www.oiforum.com/about-oif/oif-legal/
IEEE 802.3・ITU-T SG15などへのリエゾン事実出典10 https://www.oiforum.com/technical-work/liaisons/
世界の標準化団体へのフィードバックをミッションに掲げる事実出典11 https://www.oiforum.com/about-oif/board-of-directors-and-officers/oif-mission/
1998年に発足事実出典12 https://www.oiforum.com/oif-cei-technology-for-56-gbps-available-for-wider-industry-adoption/
機関の4つの型の区分、本シリーズ企業の区分け本稿の計算本稿による整理
IAに準拠した製品の出荷量・市場シェア未確定/将来出典1〜12に記載なし。本稿では推計しない
第6章の見通し3項目推測出典5〜8・10の内容からの本稿の解釈

最終更新:2026年9月26日/Troy Technical
本稿の数値と記述はOIFの公式サイトとプレスリリースに基づきます。「推測」と記した箇所は、一次情報から本稿が読み取った解釈です。