主要成果
UNIST(蔚山科学技術院)が主導する研究チームは、極低温液体水素タンク内に多孔性の金属有機構造体(MOF)を組み込むことで、水素のボイルオフ(蒸発)を抑制し、貯蔵期間を大幅に延長できることをモデル化しました。特にIRMOF-20を用いたシステムでは、中真空断熱条件下において、従来の液体水素のみを貯蔵した真空断熱タンクでは約64日で枯渇するところを、約221日まで延長できるという結果を得ています。
技術・詳細
本研究では、液体水素をそのまま貯蔵する従来の真空断熱タンクと、極低温空間に多孔性の固体相を導入したタンクの比較シミュレーションが行われました。具体的に用いられたIRMOF-20というMOF(金属有機構造体)を統合することで、体積容量の約97%を維持したまま、貯蔵期間の劇的な延長を実現しています。このアプローチは、極低温下での「クライオ吸着(Cryo-Adsorption)」を利用して水素の挙動を制御し、外部からの熱侵入による蒸発速度を遅らせる仕組みに基づいています。
背景・業界の文脈
液体水素の貯蔵における最大の課題の一つは、極低温を維持するための断熱性能と、それに伴うボイルオフによる水素損失です。従来の真空断熱技術だけでは、長期間の貯蔵において不可避的に水素がガス化し、損失が発生します。本研究は、物理的な断熱層だけでなく、タンク内部に吸着剤として機能する多孔質材料を配置するという化学的なアプローチを組み合わせることで、この課題を解決しようとするものです。
今後の展望
今回の成果はモデル化によるシミュレーションに基づいたものですが、IRMOF-20のようなMOFを液体水素貯蔵システムに統合することで、貯蔵期間を3倍以上に延ばせる可能性が示されました。体積効率をほぼ維持したまま保存期間を大幅に延長できるため、液体水素の輸送や長期貯蔵におけるインフラ効率の向上が期待されます。
毎週の技術動向レポートを無料でお届け
各分野の分析レポートを読む価値があるかどうか一目で判断できるインフォグラフィックをメールで受け取れます。
📢 メールマガジンに無料登録(週刊・技術動向レポート)
ご登録いただくと、Troy-Technical から週刊で技術動向レポート(メールマガジン)をお届けします。
- 取得したメールアドレス・選択分野は配信目的にのみ使用します。
- 第三者へ提供することはありません。
- 配信はいつでも解除できます(各メール下部のリンクから)。
詳しくはプライバシーポリシーをご覧ください。
登録は1分・いつでも解除できます



