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Nipro|細胞培養技術 企業解説

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COMPANY PROFILE / 細胞培養技術

ニプロ
― 売上6,600億円の医療機器メーカーが、脊髄損傷の細胞製品「ステミラック注」の本承認を待っている

ニプロは透析装置・注射器・医薬品・医療用ガラスを手がける大手医療機器メーカーで、細胞培養の分野では少し意外な存在です。 しかし同社は、患者自身の骨髄の幹細胞を体外で培養して点滴で戻す再生医療等製品「ステミラック注」を札幌医科大学と共同開発し、 2018年12月28日に条件及び期限付承認を取得しました。承認期限の7年が迫った2025年11月14日には本承認を申請しています。 あわせて、研究用の無血清・完全合成培地や培養容器も販売しています。 本稿では医療機器事業全体は最小限にとどめ、細胞培養にかかわる再生医療事業に何を投じ、どこまで進んでいるかを一次情報で整理します。

構成:ニプロ 2026年3月期 有価証券報告書(2026年6月25日提出)、決算短信・IR資料(2026年5月12日、同年8月の第1四半期)、中期経営計画(2025年5月)、同社ニュースリリース、PMDAの承認品目一覧、中央社会保険医療協議会の議事録を一次情報として使用/最終更新 2026年9月

この記事でわかること
  1. 30秒でわかるニプロと、細胞培養技術での立ち位置
  2. ロゴと社名の表記について
  3. 細胞培養技術の世界で、この会社はどこにいるか
  4. 会社の規模(医療機器事業は簡潔に)
  5. 細胞培養にかけているリソース
  6. これまでの取り組み
  7. 今後の計画
  8. この会社は細胞培養技術で何を目指しているか
  9. 細胞培養分野の提携マッピング
  10. 提供している技術・製品・サービス
  11. この企業が抱えるリスク
  12. 用語集/出典/主張と出典の対応表

1. 30秒でわかるニプロと、細胞培養技術での立ち位置

正式名称ニプロ株式会社英文名 NIPRO CORPORATION
本社大阪府摂津市千里丘新町3番26号
上場東証プライム 80861996年12月に東証一部上場
この分野での区分再生医療等製品(主)
培養液・容器(従)
会社全体は医療機器・医薬品メーカー
主力の細胞製品ステミラック注自己骨髄由来の間葉系幹細胞。脊髄損傷が対象
承認の種類条件及び期限付承認
(2018年12月28日)
PMDAの承認品目一覧で確認
本承認申請2025年11月14日2026年9月時点で承認の公表は確認できず
再生医療等製品の売上8.5億円2026年3月期。連結売上の約0.13%
まず押さえるべき1点

細胞培養技術に関わる企業は、受託開発製造(CDMO)・装置や消耗品や培地のサプライヤー・細胞治療や再生医療の開発企業の3種類に分けられます。 ニプロの細胞培養分野での主たる類型は細胞治療・再生医療(自社名義の承認製品ステミラック注を製造販売)で、 従たる類型がサプライヤー(研究用の培養液・培養容器・凍結保存容器)です 事実。 「細胞培養」の2つの意味でいえば、同社の細胞培養は②細胞そのものが製品になる再生医療と、その研究用の培養材料に集中しています。 ①抗体などのバイオ医薬品の生産については、韓国Samsung Bioepisとの提携でバイオシミラーの国内承認を取得していますが、 これは導入品の商業化であり、ニプロが生産培養を担うという記載は一次情報にありません。

2. ロゴと社名の表記について

ニプロのロゴは同社の商標です。本稿では生成画像による再現を行わず、 公式サイトで使われているロゴ画像(SVG)を img/nipro_logo.svg として設置しています。

表記の注意:法人名は「ニプロ株式会社」、英文名は NIPRO CORPORATION です。 再生医療等製品の販売名は「ステミラック注」(登録商標)、一般的名称は「ヒト(自己)骨髄由来間葉系幹細胞」です。 研究用培養液を製造しているのは連結子会社の株式会社細胞科学研究所(仙台市)で、ニプロが販売しています。 医薬品の製造子会社「ニプロファーマ」とは別の会社です。

公式サイト:https://www.nipro.co.jp/

3. 細胞培養技術の世界で、この会社はどこにいるか

細胞培養技術に関わる企業の3つの類型 同じ「細胞を培養する会社」でも、何を売っているかがまったく違う 受託開発製造(CDMO) 装置・消耗品・培地 細胞治療・再生医療 他社の薬を受託して培養・製造 培養に使う道具と材料を売る 細胞そのものを製品にする Lonza/Samsung Biologics AGC Biologics/WuXi ほか Thermo Fisher/Cytiva/Sartorius Merck/味の素/Corning ほか 住友ファーマ/タカラバイオ Allogene/ReproCELL ほか 設備と実績で受注を集める どの薬が成功しても売れる 承認されれば独自の製品になる 設備が埋まらないと赤字 顧客の投資が冷えると落ちる 承認と製造コストの壁が高い ニプロは右端(ステミラック注を自社で製造販売)が主で、中央(研究用の培養液・容器)も手がける ただし会社全体は医療機器・医薬品が中心で、再生医療等製品の売上は連結売上の約0.13%にとどまる
図1 細胞培養技術に関わる企業の3類型と、ニプロの位置づけ。区分は本稿によるもので、企業名は本シリーズで扱う20社から例示しています 本稿の計算。ステミラック注の承認はPMDAの平成30年度承認品目一覧、再生医療等製品の売上8.5億円は2026年3月期IR資料、比率(8.5億円÷連結売上6,605億円)は本稿の計算です。

4. 会社の規模(医療機器事業は簡潔に)

医療機器・医薬品事業そのものは本稿の主題ではないので、規模だけを押さえます 事実。

指標(連結)2025年3月期2026年3月期2027年3月期(会社予想)
売上高(百万円)644,586660,538700,000
営業利益(百万円)26,59837,62440,000
研究開発費(百万円)―26,817―
従業員数(人)39,16838,593―

細胞培養にかかわる事業(再生医療)の規模

指標数値出所と定義
再生医療等製品の売上(2025年3月期)5.4億円2026年3月期IR資料の製品別売上
再生医療等製品の売上(2026年3月期)8.5億円(前期比58.6%増)同上
再生医療事業の売上(2027年3月期第1四半期)258百万円(前年同期160百万円)第1四半期決算短信のセグメント注記。2026年4月から再生医療製品事業を「調整額」に含めて開示
再生医療事業の利益(同上)△1,551百万円(前年同期△1,749百万円)同上
再生医療の設備(東京CPF・東京都羽村市)帳簿価額18,058百万円/従業員115人有価証券報告書の主要な設備の状況(2026年3月31日)
ここで注意

2026年3月期の有価証券報告書では、再生医療は「医療関連」セグメントに含まれ、独立したセグメント数値は開示されていません。 2026年4月からは「調整額」の中に再生医療事業の売上と利益が注記されるようになり、2027年3月期第1四半期は売上258百万円に対して15.5億円の損失でした 事実。 IR資料の「再生医療等製品」の製品別売上(同四半期2.2億円)とは定義が異なるため、両者を足したり比べたりしないでください。 また会社は「再生医療の製造原価の一部を研究開発費へ振替えております」と注記しています。

5. 細胞培養にかけているリソース

リソース一次情報で確認できた内容確認
人(組織・拠点・人数)社内に再生医療事業部(常務取締役が事業部長)。東京CPF(羽村市)の再生医療の製造・研究設備に従業員115人。再生医療研究所(滋賀県草津市)は総合研究所・医薬品研究所と合わせて578人で、再生医療単独の人数は非公表。2016年12月に再生医療研究開発センターを開設一部確認
金(研究開発費・設備投資)連結研究開発費26,817百万円のうち医療関連事業等が17,649百万円。再生医療分だけの研究開発費・設備投資額は非公表。東京CPFの帳簿価額は18,058百万円(うちリース資産10,923百万円)一部確認
外部への出資・買収研究用培養液は連結子会社の細胞科学研究所(仙台市)が製造。子会社化の時期と取得額は一次情報で確認できなかった一部確認
大学・研究機関との連携札幌医科大学とステミラック注・STR03を共同開発。ヒト造血幹細胞用培養液「HemEx®-TypeH」は東京大学医科学研究所の山﨑聡教授らの技術を発展させたもの確認できた
素材技術者の視点:完全合成培地は「ロット差との戦い」

ニプロが2026年4月に発売した「CiMS®-U」は、間葉系幹細胞用の生体由来成分を含まない完全合成培養液で、脂肪由来に加え臍帯由来の間葉系幹細胞でも安定した培養ができると会社は説明しています 事実。 細胞培養では、牛胎児血清などの生体由来成分がロットごとに組成が違うことが、再現性と品質管理の大きな障害になります。 完全合成培地は、成分をすべて化学的に定義することでこのばらつきと未知の混入リスクを減らす手段です。 造血幹細胞用の「HemEx®-TypeH」でも、医薬品添加剤用に開発された高分子化合物を使ってアルブミンを使わずロット間差を抑えたとされています。 注射器や輸液バッグを医薬品品質で作ってきた会社が、培養液も「医薬品・医療機器と同じ品質で製造」すると打ち出している点に、医療機器メーカーらしい発想が見えます。 培地の基礎は本シリーズの技術解説『培地』で詳しく説明しています。

6. これまでの取り組み

時期できごと意味
2016年12月再生医療研究開発センターを開設再生医療の研究拠点
2018年3月ヒト間葉系幹細胞用培養液「CiMS」を発売研究用培養液事業の出発点
2018年12月28日ステミラック注が条件及び期限付承認を取得(先駆け審査指定再生医療等製品)。効能は外傷性脊髄損傷(ASIA機能障害尺度A・B・C)に伴う神経症候・機能障害の改善脊髄損傷を対象とする再生医療等製品として同社は「世界で初めて」と説明
2019年2月20日中央社会保険医療協議会で算定薬価が報告される:1回分14,957,755円(原価計算方式、先駆け審査指定制度加算10%)公的医療保険の対象に
2020〜2024年度前中期経営計画ではコロナ禍で投与が難しく、投与施設数・症例数が計画に遅れて目標未達と会社が総括普及の遅れを会社自身が認めている
2023年12月ヒト造血幹細胞用完全合成培養液「HemEx®-TypeH」を発表(2024年1月発売)東大医科研の技術を製品化
2024年10月自己骨髄由来間葉系幹細胞「STR03」のALSを対象とした第II相治験を開始(予定106例、二重盲検。1例目の投与完了とあわせて2025年7月24日に発表)ステミラック注と同系統の細胞で適応拡大を狙う
2025年5月中期経営計画で、2025年12月までの再申請と2026年の本承認取得の見込みを示す本承認を中計の前提に置いた
2025年11月14日ステミラック注の本承認を申請。使用成績比較調査で承認期限(7年)内に有効性・安全性を社内で検証したと説明条件及び期限付承認からの移行手続き
2026年4月完全合成培養液「CiMS®-U」を発売。再生医療製品事業の開示区分を変更培養液の改良と、再生医療の損益の見える化

7. 今後の計画

ステミラック注本承認の審査中2025年11月14日申請。2026年9月時点で承認の公表は確認できず
中計の売上目標再生医療事業
+56億円
2024年度→2027年度の増加額。うちステミラック注+49億円
適応拡大ALS・慢性期脊髄損傷STR03の第II相治験と、複数回投与の企業治験を推進
投与施設全国的な拡大中計の方針。施設数の目標値は示されていない

2025年5月の中期経営計画は「2026年の本承認(正式承認)の取得を見込む」と書いています。 同じ資料の工程表には「本承認の取得 2027年01月」との表記もあり、資料の中でも時期に幅があります 未確定/将来。 PMDAの2026年度承認品目一覧(本稿確認時点で2026年7月17日承認分まで掲載)に、ステミラック注の本承認は掲載されていませんでした。 一方、厚生労働省の薬価基準収載品目リスト(2026年5月20日以降適用)には、ステミラック注が引き続き掲載されています 事実。

確認できなかったこと

次はいずれも一次情報に記載がありません 未確定/将来。

ステミラック注の本承認の時期/条件及び期限付承認の期限(2025年12月)到来後の取り扱い/ これまでの累計投与症例数と投与施設数/使用成績比較調査の結果の数値/ 再生医療事業の設備投資額・研究開発費/細胞科学研究所の子会社化の時期。

8. この会社は細胞培養技術で何を目指しているか

ここは会社が直接には述べていない部分を含みます。一次情報から読み取れる範囲の推測として、根拠とともに書きます。

読み取れること根拠となる一次情報区分
当面の目標はステミラック注の本承認で、再生医療事業の売上増のほとんどをこれに頼る中計の再生医療事業の増収計画+56億円のうち+49億円がステミラック注事実
1つの細胞製造の仕組みを複数の疾患に使い回すステミラック注と同じ自己骨髄由来間葉系幹細胞(STR03)でALSの治験を進め、慢性期脊髄損傷への適応拡大も掲げている推測
培養液は再生医療の標準化と品質管理の部材として育てる有報が「高品質な細胞の安定供給を支えるこの培地技術を核に、再生医療の産業化を加速させるソリューションの開発」と記載事実
再生医療は全社の中で小さく、赤字の先行投資事業として扱われている第1四半期の再生医療事業は売上258百万円・損失1,551百万円。開示区分を調整額に移した推測
推測の根拠を1つだけ詳しく

ステミラック注とSTR03は、どちらも「患者自身の骨髄液から間葉系幹細胞を取り出して体外で培養し、静脈に点滴で戻す」製品です 事実。 違うのは対象疾患(脊髄損傷かALSか)と投与回数だけで、採取キット・培養工程・凍結保存・医療機関への輸送という製造の仕組みは共通にできる可能性が高いと考えられます。 自家細胞の製品は患者ごとに1ロットを作るため、工程を1本にまとめて対象疾患を増やすことが、設備の稼働率と1件あたりのコストを改善するほぼ唯一の方法です。 ニプロがALSや慢性期脊髄損傷への適応拡大を中計に明記したのは、この事情と整合的だと本稿は読みます 未確定/将来。

9. 細胞培養分野の提携マッピング

ニプロを中心とした細胞培養分野の提携関係 有価証券報告書・同社ニュースリリースに記載のある関係のみ。報道ベースの関係は含まない ニプロ 再生医療事業部 札幌医科大学 ステミラック注・STR03を共同開発 東京大学医科学研究所 造血幹細胞の増幅技術を培養液に 細胞科学研究所(仙台) 連結子会社。研究用培養液を製造 Samsung Bioepis(韓国) バイオシミラーの国内商業化 共同開発・技術の導入 製品の導入(生産培養は相手側) グループ会社 細胞培養の分野で一次情報に記載のある外部の相手は多くない。CDMOや装置メーカーとの提携は確認できなかった
図2 ニプロを中心とした細胞培養分野の提携関係。出典:同社ニュースリリース(2023年12月14日、2025年7月24日・11月17日、2026年4月28日・9月3日)。Samsung Bioepisとの提携は抗体医薬(バイオシミラー)の商業化で、細胞培養による生産はニプロの役割として記載されていないため、他と区別して示しています。

10. 提供している技術・製品・サービス

区分製品一次情報での説明
再生医療等製品ステミラック注(ヒト(自己)骨髄由来間葉系幹細胞)患者自身から採取した骨髄液中の間葉系幹細胞を体外で培養・増殖させ凍結保存したもの。医療機関で患者末梢血と骨髄液を採取して製造所へ運ぶ採血キット・骨髄採取キットを副構成体に含む。点滴で静脈内に投与(PMDA承認品目一覧)
開発中の細胞製品STR03(ヒト自己骨髄由来間葉系幹細胞)ALSを対象とした第II相治験(静脈内複数回投与、二重盲検無作為化比較、予定106例)
研究用培養液CiMS®-U(間葉系幹細胞/間質細胞用、完全合成)、CiMS(2018年発売)、HemEx®-TypeH(ヒト造血幹細胞用、アルブミンフリー)細胞科学研究所が製造しニプロが販売。いずれも研究用で臨床用ではない
培養容器・保存容器培養関連製品、細胞保存関連製品(凍結保存用容器・試薬)「医薬品・医療機器と同じ品質で製造」と説明。非医療機器・非医薬品
素材技術者の視点:製品の中に「採取キット」が入っている意味

PMDAの承認品目一覧によれば、ステミラック注は培養した細胞そのものに加えて、医療機関で骨髄液と末梢血を採るキットを副構成体として含む製品です 事実。 自家細胞製品では、原料(患者の細胞)の採取・輸送の条件が最終製品の品質を左右するため、原料側の器具まで製品の一部として管理する設計になっています。 採血・輸液・透析の器具を大量に作ってきたニプロにとって、この「原料を採る器具」は本業の延長線上にあります。 細胞培養の技術だけでなく、採取から輸送、培養、凍結、投与までの器具を自社でそろえられることが、医療機器メーカーが再生医療に参入する意味だと読めます 未確定/将来。

11. この企業が抱えるリスク

リスク内容区分
本承認の審査結果2025年11月に本承認を申請したが、承認の時期・可否は未確定。中計の再生医療の増収計画は本承認を前提にしている未確定/将来
投与症例の確保会社自身が前中期経営計画(2020〜2024年度)の振り返りで、再生医療事業部の売上高成長率を目標年平均249.8%に対し実績16.3%とし、「投与施設数、症例数の確保が…計画に遅れをとっており、目標未達」と記載事実
再生医療事業の赤字2027年3月期第1四半期は売上258百万円に対し損失1,551百万円事実
全社の中での優先度再生医療等製品の売上は連結の約0.13%。損失が続く場合、経営資源の配分で見直しの対象になりうる推測
ALS治験の結果STR03の第II相治験(予定106例)の結果次第で、同じ細胞技術の適応拡大が止まる可能性がある未確定/将来

12. 用語集

再生医療等製品
人の細胞や組織を加工した製品や遺伝子治療製品。医薬品・医療機器とは別の区分として薬機法で定められている。
条件及び期限付承認
再生医療等製品で、有効性が推定され安全性が確認されれば、条件と7年を超えない期限を付けて早期に承認する制度。期限内に改めて承認申請が必要。
本承認
条件及び期限付承認ではない通常の承認。ニプロは「新再生医療等製品」として改めて申請した。
使用成績比較調査
製品を使った患者と使わなかった患者の情報を比べて、有効性と安全性を評価する市販後の調査。
間葉系幹細胞(MSC)
骨髄・脂肪・臍帯などから取れる幹細胞。炎症を抑える物質などを出す働きが治療に使われる。
完全合成培地
血清など生体由来の成分を使わず、すべて化学的に定義された成分で作った培地。本シリーズの技術解説『培地』を参照。
先駆け審査指定制度
画期的な医薬品などを早期に実用化するため、優先審査などを行う制度。ステミラック注は対象品目。
ASIA機能障害尺度
脊髄損傷の重症度を A(完全麻痺)から E(正常)までで評価する尺度。ステミラック注の対象はA・B・C。
CPF
Cell Processing Facility。細胞を加工・培養する施設。ニプロは東京都羽村市に「東京CPF」を持つ。
概念図:採取キットから培養・凍結・点滴投与までを器具ごとつなぐ自家細胞製品の流れ
図3 ニプロの自家細胞製品の流れの概念図(AI生成による概念図。実際の設備や製品を写したものではありません)。

13. 出典

  1. ニプロ 有価証券報告書 第73期(2025年4月1日〜2026年3月31日、2026年6月25日提出)。沿革・売上高・従業員数・研究開発活動(細胞治療商品)・設備投資・主要な設備(東京CPF)・セグメント情報。 https://www.nipro.co.jp/assets/document/ir_library/73rd/securities_report.pdf
  2. ニプロ 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月12日)。売上高・営業利益・2027年3月期予想。 https://www.nipro.co.jp/assets/document/ir_library/73rd/financial_results.pdf
  3. ニプロ 2026年3月期 IR資料(2026年5月)。製品別売上高(再生医療等製品)、再生医療の製造原価の研究開発費への振替。 https://www.nipro.co.jp/assets/document/ir_library/73rd/ir_materials.pdf
  4. ニプロ 中期経営計画(2025年5月)。前中計の振り返り(再生医療の目標未達)、再生医療事業の売上増減計画、ステミラック注の本承認スケジュール、適応拡大の方針。 https://www.nipro.co.jp/assets/document/ir_library/72nd/midtermplan.pdf
  5. ニプロ 2027年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年8月)。セグメント変更と再生医療事業の売上・利益。 https://www.nipro.co.jp/assets/document/ir_library/74th_first/financial_results.pdf
  6. ニプロ 2027年3月期 第1四半期 IR資料(2026年8月)。製品別売上高(再生医療等製品)。 https://www.nipro.co.jp/assets/document/ir_library/74th_first/ir_materials.pdf
  7. ニプロ 再生医療等製品「ステミラック®注」本承認申請のお知らせ(2025年11月17日)。 https://www.nipro.co.jp/assets/document/newsrelease/251117.pdf
  8. ニプロ ヒト自己骨髄由来間葉系幹細胞「STR03」のALSへの適応に向けた第II相臨床試験開始のお知らせ(2025年7月24日)。 https://www.nipro.co.jp/assets/document/newsrelease/250724.pdf
  9. ニプロ ヒト間葉系幹細胞/間質細胞用完全合成培養液「CiMS®-U」販売開始のお知らせ(2026年4月28日)。 https://www.nipro.co.jp/assets/document/newsrelease/260428_2.pdf
  10. ニプロ ヒト造血幹細胞用完全合成培養液「HemEx®-TypeH」販売開始のお知らせ(2023年12月14日)。 https://www.nipro.co.jp/assets/document/newsrelease/231214_1.pdf
  11. ニプロ バイオ後続品ウステキヌマブBS点滴静注130mg「ニプロ」の製造販売承認取得(2026年9月3日)。 https://www.nipro.co.jp/assets/document/newsrelease/260903.pdf
  12. 医薬品医療機器総合機構(PMDA) 平成30年度承認品目一覧(再生医療等製品)。ステミラック注の承認日・承認の種類・構成・効能。 https://www.pmda.go.jp/files/000231456.pdf
  13. 医薬品医療機器総合機構(PMDA) 2026年度承認品目一覧(再生医療等製品)。 https://www.pmda.go.jp/files/000282058.pdf
  14. 厚生労働省 中央社会保険医療協議会 総会 第409回議事録(2019年2月20日)。ステミラック注の算定方式と算定薬価。 https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000205879_00054.html
  15. 厚生労働省 薬価基準収載品目リスト(注射薬、令和8年5月20日以降)。ステミラック注の掲載。 https://www.mhlw.go.jp/topics/2026/04/dl/tp20260520-01_05.pdf
  16. ニプロ 再生医療事業の紹介ページ(培養関連製品・細胞保存関連製品)。 https://www.nipro.co.jp/business/regenerativemedicine/
  17. ニプロ 公式サイト(ロゴの確認用)。 https://www.nipro.co.jp/

14. 主張と出典の対応表

本文の主張区分出典
正式名称・英文名・本社所在地・上場の沿革、再生医療研究開発センターの開設事実出典1 https://www.nipro.co.jp/assets/document/ir_library/73rd/securities_report.pdf
売上高・従業員数・研究開発費・設備投資、東京CPFの帳簿価額と従業員数事実出典1 https://www.nipro.co.jp/assets/document/ir_library/73rd/securities_report.pdf
2026年3月期の営業利益と2027年3月期予想事実出典2 https://www.nipro.co.jp/assets/document/ir_library/73rd/financial_results.pdf
再生医療等製品の売上(5.4億円→8.5億円)、製造原価の研究開発費への振替事実出典3 https://www.nipro.co.jp/assets/document/ir_library/73rd/ir_materials.pdf
再生医療等製品の売上が連結売上の約0.13%本稿の計算出典1・3の数値から本稿が計算
再生医療事業の第1四半期の売上258百万円・損失1,551百万円、開示区分の変更事実出典5 https://www.nipro.co.jp/assets/document/ir_library/74th_first/financial_results.pdf
第1四半期の製品別売上(再生医療等製品2.2億円)事実出典6 https://www.nipro.co.jp/assets/document/ir_library/74th_first/ir_materials.pdf
ステミラック注の条件及び期限付承認(2018年12月28日)、先駆け審査指定、構成と効能事実出典12 https://www.pmda.go.jp/files/000231456.pdf
算定薬価1回分14,957,755円(原価計算方式・先駆け加算10%)事実出典14 https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000205879_00054.html
本承認申請(2025年11月14日)と使用成績比較調査による検証事実出典7 https://www.nipro.co.jp/assets/document/newsrelease/251117.pdf
2026年度のPMDA承認品目一覧(7月17日承認分まで)にステミラック注の本承認がないこと事実出典13 https://www.pmda.go.jp/files/000282058.pdf
2026年5月20日以降適用の薬価基準収載品目リストにステミラック注が掲載されていること事実出典15 https://www.mhlw.go.jp/topics/2026/04/dl/tp20260520-01_05.pdf
本承認の時期、期限到来後の取り扱い、累計症例数・施設数未確定/将来一次情報で確認できなかった https://www.nipro.co.jp/assets/document/newsrelease/251117.pdf
中計の本承認見込み・再生医療事業の増収計画・適応拡大方針・前中計の目標未達事実出典4 https://www.nipro.co.jp/assets/document/ir_library/72nd/midtermplan.pdf
STR03のALS第II相治験(2024年10月開始、予定106例)と札幌医科大学との共同開発事実出典8 https://www.nipro.co.jp/assets/document/newsrelease/250724.pdf
CiMS®-Uの特長、細胞科学研究所が製造しニプロが販売、CiMSの2018年3月発売事実出典9 https://www.nipro.co.jp/assets/document/newsrelease/260428_2.pdf
HemEx®-TypeHの特長と東京大学医科学研究所の技術事実出典10 https://www.nipro.co.jp/assets/document/newsrelease/231214_1.pdf
Samsung Bioepisとの提携によるバイオシミラーの承認取得事実出典11 https://www.nipro.co.jp/assets/document/newsrelease/260903.pdf
培養関連製品・細胞保存関連製品を医薬品・医療機器と同じ品質で製造、脊髄損傷の再生医療等製品として「世界で初めて」承認を受けたという会社の説明事実出典16 https://www.nipro.co.jp/business/regenerativemedicine/
再生医療単独の人数・研究開発費・設備投資額、細胞科学研究所の子会社化の時期未確定/将来一次情報に記載なし。本稿では推計しない https://www.nipro.co.jp/assets/document/ir_library/73rd/securities_report.pdf
細胞培養技術の3類型の区分と、ニプロの主従の類型本稿の計算本稿による整理。企業名は本シリーズの20社から例示
1つの細胞製造の仕組みを複数の疾患に使い回すという読み推測ステミラック注とSTR03の共通性からの本稿の解釈
再生医療が赤字の先行投資事業として扱われている、全社での優先度のリスク推測第1四半期の損益と開示区分の変更からの本稿の解釈
採取から投与までの器具をそろえられることが医療機器メーカーの強みという読み推測PMDA一覧の製品構成からの本稿の解釈

最終更新:2026年9月23日/Troy Technical
本稿の数値はすべてニプロの有価証券報告書、決算短信、IR資料、中期経営計画、同社ニュースリリース、PMDAの承認品目一覧、厚生労働省の中央社会保険医療協議会議事録に基づきます。調査会社の推計値・報道ベースの数値は使用していません。「推測」と記した箇所は、一次情報から本稿が読み取った解釈であり、会社の公表内容ではありません。