ハイブリッド・シリコンシーラント|シリカエアロゲル等の配合による耐火性能と強度

Bioengineer.org(Architectural Research の論文紹介)
概要
シリカエアロゲルとナノグラフェンフレークを配合した新しいハイブリッド・シリコンシーラントが、標準的な耐火試験において60分以上の遮炎性と断熱性を維持することに成功した。従来の配合が約40分で失敗したのに対し、表面処理を施したナノ材料の導入により、耐火性と機械的強度の両立を実現している。これにより、高層ビルの接合部における弱点であった耐火シーリング材の性能向上が期待される。
詳細

主要成果

研究チームは、シリカエアロゲルとナノグラフェンフレークを添加した改良型シリコンシーラントを開発し、標準的な耐火温度曲線を用いた試験(KS F 2845)において、60分以上の遮炎性と断熱性の基準を満たすことに成功した。対照群となった従来の配合では、非加熱面の温度上昇が約37分で臨界点に達し、約40分で火炎の貫通が確認され、基準を満たさなかった。また、表面処理を最適化した「実験グループ4」では、引張強度が対照群の28 kgf/cm²から41 kgf/cm²へと46.43%向上し、密着強度も30 kgf/cm²(約15.38%増)に達した。

技術・詳細

本技術の核心は、相補的な2つのナノ材料の活用と、その分散性を高める表面処理にある。シリカエアロゲルは、空隙率が90%を超え、室温で約0.013 W/(m·K)という極めて低い熱伝導率を持つため、熱伝達経路を遮断して温度上昇を抑制する。一方、厚さ約1ナノメートルのナノグラフェンフレークは、物理的な障壁としてガスや熱の移動を妨げ、酸素の侵入や可燃性分解ガスの放出をブロックする緻密なチャー(炭化)層の形成を促進する。

ナノ材料特有の凝集を防ぐため、研究チームは以下の表面修飾戦略を採用した。

  • 大気圧プラズマ処理による化学的に反応性の高い官能基の生成。
  • シリカエアロゲルをリン酸アンモニウム水溶液に、ナノグラフェンフレークをシランエマルションに浸漬させ、樹脂との化学的な架橋を誘導。

さらに、高温でガラス状の保護層を形成するホウ素処理チタンや、熱酸化分解連鎖を遮断するラジカル捕捉剤として機能するベンズイミダゾロン化合物(Pigment Yellow 181)を配合している。

背景・業界の文脈

高層ビルの防火区画における接合部や設備貫通部のシーラントラインは、長年、防火エンジニアにとって困難な弱点とされてきた。従来の耐火シーラントは、水酸化アルミニウムや酸化鉄などの無機充填剤を大量に使用して耐火性を高めていたが、これはシーラントに不可欠な弾性や密着性を低下させ、建物の日常的な挙動や経年劣化への耐性を損なうというトレードオフの関係にあった。

今後の展望

本研究で示された防御メカニズムは、段階的な複合防御として機能する。初期段階ではエアロゲルが内部温度を約200 °C以下に抑え、次いで約220 °C以上で水酸化アルミニウムが吸熱分解して冷却水蒸気を放出し、約300〜600 °Cの間ではナノグラフェンがチャー骨格を構築してガス移動を制限し、600 °C以上の高温域でもエアロゲルの構造崩壊を防ぐ。最適化された配合(実験グループ4)は、200 °Cで4週間の加速熱老化後も初期引張強度の85%以上を維持した。今後は、ラボスケールの試験結果から、実際の現場への適用に向けた検証が課題となる。

元記事: https://bioengineer.org/hybrid-silicone-sealant-withstands-fire-for-over-an-hour-in-building-joints/

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