ペロブスカイト太陽電池|岐阜大が開発した電子輸送層の構造と発電効率への影響

ニュースイッチ(日刊工業新聞) 日本
概要
岐阜大学の研究グループが、同一結晶でありながら微細構造が異なる2種の酸化チタンを積層した新たな電子輸送層を開発した。低温化学合成法を用いて形状の異なる微粒子を組み合わせることで、単層の酸化チタンと比較して発電効率を約10%向上させている。この手法は、界面での不整合の低減や、実用化に向けた生産工程の簡素化に寄与することが期待される。
詳細

主要成果

岐阜大学工学部の萬関一広准教授らの研究グループは、ペロブスカイト太陽電池の性能向上に寄与する、新たな電子輸送層を開発した。この電子輸送層は、同一の結晶相でありながら微細構造が異なる2種類の酸化チタンを積層させた構造を持つ。この新構造を導入した結果、単層の酸化チタンを用いた場合よりも発電効率が約10%向上した。

技術・詳細

電子輸送層とは、太陽電池において光によって発生した電子を発電層から抽出し、電極へと送る役割を担う膜であり、一般的に酸化チタンや酸化スズが用いられる。今回の開発では、独自に開発した「低温化学合成法」が応用された。

この合成法を用いると、ルチル相という同一の結晶相であっても、合成温度によって酸化チタン微粒子の形状を制御できる。具体的には、50度Cでは「束状」、60度Cでは「粒状」という、数十ナノメートル大の異なる形状の微粒子が得られる。研究グループは、これら2種の微粒子を電極上に順番に塗布し、500度Cで加熱処理を行った。

得られた2層の膜はそれぞれ電子物性(エネルギー準位)が異なるため、これが「エネルギーの階段」として機能し、電子が電極へ移動しやすい環境を構築している。

背景・業界の文脈

ペロブスカイト太陽電池の実用化に向けては、電子輸送層の最適化が重要な課題の一つとなっている。従来主流となっているのは異なる材料を積層するタイプだが、材料が異なると界面での不整合が生じやすいという課題があった。今回のように同一の結晶相を持つ材料で構成することで、界面の不整合を低減できる可能性がある。また、材料を統一することで、実用化段階における生産工程の簡素化も期待される。

今後の展望

開発した低温化学合成法は、今回使用した2種類以外にも、電子物性が異なる酸化チタン微粒子を合成することが可能である。今後は、電子物性の異なる複数の層を組み合わせることで、多様なペロブスカイト層に最適化した電子輸送層を個別に開発していく方針である。

元記事: https://newswitch.jp/p/50634

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