主要成果
韓国のメモリメーカーであるSK hynixは、次世代の高帯域幅メモリ(HBM)である「iHBM」の量産化および商用化に向け、国内外の材料・設備サプライヤーとの協議を開始した。このiHBMの最大の特徴は、メモリチップの熱抵抗を最大30%低減させることで、HBMの積層構造における深刻な課題である放熱性能を大幅に向上させる点にある。
技術・詳細
従来のHBMは、DRAMを垂直に積層し、その下にベースダイを配置する構造となっている。このため、ヒートシンクや液冷クーラーがスタックの最上部に位置することになり、積層の中間に発生した熱が外部に逃げにくい「熱の閉じ込め」が発生していた。また、熱はパッケージの最上部にあるヒートスプレッダーやコールドプレート、および底部の基板を通じてシステムヒートシンクへ伝達されるため、上下方向への同時移動が必要となり、効率的な放熱が困難であった。
iHBMでは、この限界を克服するために「統合冷却素子(Integrated Cooling Elements: ICE)」と呼ばれる冷却要素を、ダイ間物理層(D2D PHY)に直接組み込む設計を採用している。これにより、パッケージ内部で直接的に熱を逃がす経路を確保し、熱抵抗の30%削減を実現する計画である。
背景・業界の文脈
HBMの製造プロセスでは、DRAMモジュールを積層し、それをシリコンインターポーザ上のベースダイに接続することで、GPUチップと並列に配置させる。インターポーザはパッケージ基板を介してプリント基板(PCB)に接続される。このような複雑な積層構造こそが、高性能化に伴う発熱量の増加と、それに伴う放熱効率の低下というトレードオフを生んでいた。SK hynixは、この物理的な構造上の制約を、冷却素子の統合というアプローチで解決しようとしている。
今後の展望
SK hynixは現在、HBM4メモリチップの製造に注力しているが、iHBM技術は次世代の「HBM5」チップへの適用が計画されている。また、iHBMの製造には同社が既に展開しているMR-MUF(Mass Reflow-Molded Underfill)技術が活用される見込みであるため、サプライチェーンの構築は既存のパートナー企業と同様の体制で進められると予想されている。
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